表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

第1話

「囚人番号666番、出なさい」

死刑囚の番号として666番を割り振るのは、所長の気まぐれなのか、はたまた神のいたずらか。今では所以を知るものはいない。

「座れ」

電気椅子に縛り付けられた666番は、

「言い残す言葉はあるか?」

という刑務官の言葉に、縛られた右手の中指を立て、こう言い放つ。

「クソくらえ。こんなクソッタレの世の中からオサラバできるんなら本望さ」

強がりか本心なのか、当人にしかわからない言葉を吐き捨てる。

「本当にそれでいいのか?よろしい、それでは今から死刑を執行します」


死刑の執行方法を選べる中で、わざわざ電気椅子を選択するくらい、彼はイカれていた。彼の犯した犯罪は、州民を、いやアメリカ全国民を恐怖に陥れた。複数の公共施設の無差別爆破、通り魔的誘拐、そして誘拐した人物を徹底的にいたぶって殺害、死体の首を切り落とし、200ある国道の中央に一つずつ配置した。殺害した数は1000人を超え、200人以上が重軽傷を負った。


事件発生時、警察は証拠のなさや周到さから、グループによる計画的な犯行として捜査を進めていたが、被害者の関連性のなさから捜査は難航していた。しかし、1953年の某日、一人の被害者からの電話により、急転直下解決に向かった。彼の殺した人数はもちろん世界一、彼の収監された監獄の隣の部屋の囚人もシリアルキラーであったが、刑務官に「ヤツの隣だけは勘弁してくれ、殺されちまう」と泣いて請うたと言われている(実際に666番は隣の房に入れられた二人がうるさかったからと殺人を計画していたようで、死刑執行の1週間前にフォークを隠し持っているのが確認された)。





「うーん、この表現でちゃんとわかってもらえるかな、それに冗長に見えるし…もっとバッサリ切って、残虐性を意識した構文に書き換えるべきか…」

「そこから長すぎるとさすがに一話がそれで終わっちまうよ。見どころも作れずに打ち切りなんてのはみたくねぇからよ」

執筆を始めてすぐに筆が止まった賀来雪雄(かくゆきお)の独り言に、雪雄の持つ原稿を覗き込みながら、角尾雅満(つのおまさみつ)は能天気に答える。

「よくわかんねぇけど、速くバトルシーンを書いてくれよ!新しいのそんなやつなんだろ?」

「でもキャラクター設定がわからないとストーリーも薄っぺらくなっちゃうし、なによりそもそも題名負けしちゃうだろ。あまりさっさと紹介を終わらせてもいいことないよ」

この二人、週刊の某漫画雑誌に連載経験のある、漫画家のコンビである。雪雄の書いた小説をもとに雅満が絵を描き、作品は完成する。

前回の連載では、1話が1位、2話で4位、その後はしばらく低迷するも盛り返し、最終順位4位という人気作品だった。


「まどろっこしい説明は短くしてさ、もっとキャラクターをカットいっぱいに描ける場面を増やしてくれよー」

「説明を書くの僕なんだからいいだろ?それに、アンケートにもキャラの掘り下げが浅いってあったし、今回はもう少しきちんとキャラクターをわかってほしいんだよ」

今回手掛けている作品ははやりの転生モノで、超絶残酷な殺人者が死刑になった直後に異世界に転生し、同じように誘拐事件を起こすが、さらった相手に諭されて改心し、前世の技術を用いて悪党を成敗するという分かりやすいストーリーだ。内容が単純な分、ストーリーの書き手の力量が試される。前作はそれなりに凝った作りだったので、よほど変な場所がなければそれなりに面白くなり、雅満の作画の良さも相まって後順位を取ることができた。今回は作画だけでごまかすことはできないうえに、ほかにも多くの作家が同様の作品を描いているので、キャラクター、世界観、設定に何か違う部分を作っておかないと、一瞬で読者に飽きられてしまう。


「うーん、編集さんに聞いてみるか」

一話を書いてみましたが、人数が増えると会話シーンがわかりにくくなってしまいそうなので、次話からは、各鍵括弧の前に人を表すマーク(漢字頭文字一文字が一番いいかな?)でもつけるようにします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ