3話
「何が起こった!ここはどこだ!」
よんろくと融合した俺は、暗く何もない空間にいた。周りを少し見渡すとそこには、瞼のような形をした覗き穴と言うのだろうか。得体は知れないが覗き穴らしきものがあった。その穴を覗くと外の様子が見える。これは、よんろくが見ているものが俺にも見えるという構造になっているのだろうか。そこには、研究員らがおり何やら嬉しそうにこちらに話しかけているのが分かる。
「シロ様!不死身体融合実験は成功しました!これからは、シロ様が楽しみにしておられた外の世界へ行けることができます。」
「ご苦労様です。これから外に参りますね。それより彼は何処へ消えたのですか!?」
「はい、あの警部はシロ様の体の中にいます。おそらく、あの警部が外に出る時は、今度はシロ様が中に入るものだと推測されます。しかし、肝心なあの警部を外にする方法は分かりかねます。それに当たって、これからその方法を見つける必要があります。あの警部しか不死身の体を持っていませんので、その方法を見つけない限り危険ですのでシロ様を外に出すことはできません。」
などという研究員とよんろくの会話が聞こえる。よんろくの声は聞いたことはなかったが、何というか裏がありそうで怖いという印象を与える声だった。研究員の話を聞いていて方法を見つけるなどの話をしていたが、おそらく俺が出ようと思わなければ体が入れ替わることはないのではないか?なので、研究員らには悪いがここに他の警部を呼んでよんろくを射殺してもらうのが手っ取り早そうだ。しかし、この中では本部に電話するという動作ができそうにない。よって、一回外に出る必要があるのだが…
(どうしたものか。)
このよんろくがトイレなどの研究員らが入って来ないような場所に行かせる必要があるな。暫し待つか。そして、その時は来た。よんろくがトイレに向かう。世界滅亡兵器が排泄を行うのか不安はあったが、排泄を行うようだ。女子トイレに来て、俺はむずむずとした感情を覚える。このままよんろくが排泄するのを待って観察しても良かったのだが、俺はあくまで警察官なので観察したいという邪な感情を抑えた。俺は体の入れ替える感覚を思い浮かべ実行に移す。
(俺の体へと戻れ!)
すると、体の変化が始まった。その痛みは予想以上だった。感覚としては、体に一本線の切り込みを入れられ、その一本線の切り込みから思いっきり皮膚と肉をひっくり返される様な痛み、肋骨を全て全力で開けられ折られるなどの感覚の痛みがし、俺が外になり、俺の体へと戻っていた。
これは、想像と違いすぎる痛みで気絶しそうになった。多分ここで気絶してしまったら、中途半端に中外で変化してしまい、半人間、半世界滅亡兵器などというイカツイ存在になりそうだ。俺は携帯機器を取り出す。迷わず警察署に連絡する。
「黒上か?今はどういう状況になっている?」
「はい!世界滅亡兵器を反現実的な方法になってしまいましたが、捕らえました。」
「本当か!?反現実的とはどういう意味だ!まあいい、これからそちらに向かう。話は現場で聞くとしよう。」
「了解です!お待ちしております。署長。」
署長との会話を終了する。そして、俺はある事に気付く。そのある事というのが一番の問題だ。よんろくへの戻り方がわからない。なんて馬鹿な事をしてしまったんだ。よんろくを外にしろと念じればいけるかもしれないが、なんせその方法はここへ今からやって来る警察官達の前で中外変化させなければいけない。なぜなら、よんろくが逃げてしまうからだ。当然今の署長との電話の内容がよんろくに聞かれている可能性がある訳で、実験の為にここで中外変化してしまってはよんろくに逃げられてしまう可能性がある。ここへやって来る警察官の前で変化出来ればいいのだが、俺が中で戻れと念じたように中からしか命令を聞かないなどの話になったら、警察官達は完全な無駄足である。おそらく、大勢の警察官達が来るだろう。などと考えているうちにサイレンが聞こえてくる。ここは、署長にしっかりと説明するしかないか。俺は研究所前で署長らが来るのを待った。署長達が到着すると、俺の方へやって来た。
「黒上!よんろくは何処だ!」
「署長。実はですね。よんろくは俺の中におります。研究所の実験により、よんろくと俺が合体してしまったという形になっております。」
「それは本当なのか?」
「は!本当であります。」
「よんろくを外に出すことは可能か?」
俺は、何回も念じたがよんろくを外にすることは出来なかった。
「よんろくを外に出す手段が分かりません。」
「そうか…」
すると、署長がサインを出すと共に複数の警察官が俺に向かって拳銃を構えた。
「お前は結婚していなかったよな?お前の親御さんには悪いが、ここで死んでもらう。国の為と思って幸福な死を迎えてくれ。」
警察官は容赦なく俺に向かい、拳銃の照準を合わせ、引き金を引いた。俺は目を瞑り俺が死にゆくのを待った。
グダグダにならないように展開を動かし続けて、次の展開が気になる物語を目指しています。文章が読みづらい所もあると思いますが、どうしても会話よりかも文章多目という読みづらいスタイルになってしまいます。大変申し訳ございません。なるべく読みやすいような小説にする為、色々と工夫して参ります。早めに次の話も出したいと思いますので、不死身の体と(ryを読み続けて貰いたいと恐縮ながら思っております。