4月4日
今日は若者老人共に人気を誇るお笑いコンビ”ダウン〇ウン”の結成日とされている。
そしてあんぱんの日らしく、商店街であんぱんが安売りされていた。
雪女と食べる分に加えてラーメン屋の店主の分も買う。この頃あの人にはお世話になっている。
ラーメン屋の戸には準備中と書かれた札が掛かっていた。
がらがらと戸を開け、ごめんくださいと中へ声をかける。
奥から、はーいと返事が聞こえてきた。
「なんじゃお主、まだ準備中じゃぞ」
俺の顔を見るなり、あしわりたいと気持ちがこもった言葉をかけられる。
「いや、今日はただの差し入れ」
あんぱんが入った袋を手渡す。
「これあそこの商店街にある高いやつではないか、よいのか?」
「どうぞどうぞ」
「このあんぱんな~、いつも行く時売り切れててな」
今日はセールだから多く作ってたのかもしれない。
「そうじゃ、お返しをせんとな。それに今日はあの日だからじゃな」
唐突に何かを思いついた鬼の始祖は俺の意見も聞かぬまま、俺を体ごと店の中へと引きずり込んだ。
今日の晩御飯は釜飯風だった。海老を主とした炊き込みご飯に、すき焼き、卵焼き、こごみうど馬鈴薯の煮物である。
そんな豪華な料理を目の前にして、俺はお預けされている。
犬のように待っているのではなく、ただ普通に待っているのだが。
雪女と供食しにくいのはいつものことだが。雪女がゲームに熱中していることはよくある。
けれど今日のは俺が原因だ。主に俺の格好がだ。
そんな俺の格好は、紺色の浴衣に白の羽織、頭にはロングヘア―のウィッグをつけている。
紺色の浴衣には淡い水色の柄が施されている。これは女店主の嗜好かもしれない。
そんな女装している俺を、雪女はゲーム用タブレット端末で写真を撮り続けている最中だ。
ご飯を共に食べるのはまだまだ先になりそうだ。




