1月1日
元日は朝から晩まで人々が神様の社を訪れる。前日の夜もしかり。
社は神様の家でもあるのだから、神様も親族とゆったりしたいのではないだろうか。
家族と羽子付きでもと、外へ出たら人々の雨あられとか、余計心が狭くなりそうだが。
「初詣に行ってくるからなー、入り浸って溶けんなよー」
俺は部屋の炬燵にへと呼びかけた。
「あ、ついでに甘酒買ってきて~」
そう、こたつむりからゆる~い返事が戻ってきた。
俺は神社に参拝したあと露店で甘酒を飲んだ。場の雰囲気というやつだ。
帰り道コンビニで甘酒とつまみを買った。
「ただいまー」
返事はなかった。
リビングに駆け込むと案の定溶けかかっている少女がいた。
雪のような白い髪をした少女の寝巻きの浴衣は、自身の体で濡れており透けている。
即座に部屋の暖房を切り寒気をし、彼女を浴槽に突っ込み、冷凍庫からとってきたブロックアイスを覆いかぶせ、シャワーで水をかけてやった。
「あっ……」
「あっ、じゃねーよ」
彼女の頭を軽くはたいた。
「今回の理由は?」
「退屈でうとうとしちゃった」
「ちゃんと水分補給しろよな。甘酒買ってきといたから、落ち着いたら出てこいよ」
着替えを置きに行ったら、浴室の扉が少し開き「ありがとう」と言われた。
彼女が上がるまで毛布にくるまって新春の特番を見ることにする。
そう家には雪女が住んでいる。