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異世界生徒会活動記  作者: もくすけ
プロローグ
1/11

プロローグ(前編)

 あれは高校2年生の冬、僕は1か月程前に生徒会長になったばかりの時だった。

 生徒会の仕事や勉強で忙しく最近寝不足気味の日が多くなったある日の5時限目、食後に手強くなってきた睡魔との厳しい戦いに負けそうになっていたそんな時に、教壇に立つ数学教師の後ろの黒板から急に眩しい光があふれてきた。

 気がつくと何故か体育館らしい所の壇上で、目の前には並んでいる生徒、隣には他の生徒会役員達がいた。(ちなみにうちの高校の生徒会役員は朝礼の時等は壇上に並ぶ)

でも何故か声は出ないし身動きも取れないしで壇上の人物を全員無言で見つめていた。

 最初は校長先生かと思ったが、金髪でしかもフサフサなので絶対に違う人だ。なら新任教師のでも来たんだっけ?なんて考えていたら


「初めまして生徒諸君、まずは自己紹介をさせてもらおう。私はこの世界の神の一柱のプリシバルだ。色々と混乱していると思うだろうが説明をしても良いだろうか?」


 プリシバルと名乗った自称神(金髪)が右手を上げると急に身体が自由になり、並んでいた生徒達からの話し声もあちこちから聞こえてきた。


 それは「異世界召喚キターーー」やら「また異世界に来てしまったのか」なんて神経の太そうな声や、「そんなの嫌っ、私を家に帰して」なんて泣き声で辺りが一気にざわつきだした。


「静かにしたまえ!」


プリシバルは静かにそう言って今度は左手を上げると一瞬で辺りはまた静寂に包まれた。何その便利能力、是非教えてもらいたい。


「乱暴な対応をしてしまって申し訳ないが落ち着いて静かに聞いて欲しい。

 とりあえず現状について説明をさせてもらおう。今、君達はこれまで生きてきた所とは別の世界の神である我々の神域にいる。そして先程異世界召喚と言った者がいたが、別に君達は元の世界から召喚された訳ではない。何故なら君達はこちらの世界の魂の原型に君達の魂を複写させて生まれたのだから。故に本当の君達は今も変わらず元の世界で生活を続けている。家に帰してと言った者もいたが、写したものであっても同じ次元に同じ魂を存在させる事はできないのだ。なので君達が望んでも元いた世界に戻す事は出来ない。」


 今の話が本当なら僕が二人いるって事?それとも僕は僕じゃないのか?落ち着いていたつもりだったけど、今ので相当混乱してきた。そんな時


『君が忙しいのは理解しているが、そんな一方的な話方では彼らにうまく伝わらないと思うぞ。』


と突然プリシバルの隣に黒髪で三十代ぐらいの男性が現れて言った。


『驚かせてすまない。私は君達の世界の神の下で異世界関連の担当をしているワタリという。私からも少し話をさせてもらいたい。とりあえず色々と質問もあるだろうが全員一度に話をする訳にもいかないので、ここはこの学校の生徒の代表と話しをさせてもらおうか。

 代表は・・・君だね。』


そう言ったワタリがこちらを見た瞬間、僕の身体や声に自由が戻っていた。


『君が生徒の代表だね。何と呼べばいいかな?』


 そういえば僕が生徒会長だった。大分動揺してたみたいだな。よく見たら何故かここには教師が一人もいない事にも今更気が付いた。

 ならば3年生の先代の生徒会長はまだいるんだし、年長者に変わって欲しいなぁと先代を見たら目を逸らされたので気を取り直して


「初めまして。僕が生徒会長をしている星野奏多ほしのかなたと言います。」と挨拶をしてみたら


『色々と質問もあるだろう、いくつか言ってみたまえ』


とワタリに言われたので、

「では最初に、先程僕達は元の世界から魂を複写してこちらの魂に写したとおっしゃいましたが、何故そのような事が必要だったのでしょうか?」と聞いてみた。まずここからだよね。


『それはこのプリシバルが説明しよう。

 私達と君達のいる世界、その他いくつかの世界は次元という壁を挟んでお互い繋がっている。そして少し前になるがその中の一つが邪神に滅ぼされたのだ。

 あやつは忌々しい事にその後次元の壁を破りこの世界に現れて暴れ始めた。我らも地上の者達と力を合わせ邪神を撃退しようとしたが、世界を滅ぼし力をつけた邪神を倒しきる事はできず、結界にて侵攻を止めているのが現状だ。

 そして邪神によって犠牲になった者の魂の傷は深く、この世界に再び生まれ出でるまでには長い時が必要になってしまう。そうするとその間に生命から出る力 -マギナ- が不足する恐れがある。我らはマギナによって神力を使う事が出来るのだがその状態では邪神を抑えておく事や弱体化させる事も出来なくなり、いつかこの世界も滅ぼされかねん。2つも世界を滅ぼすような力をつけたら最早手に負えなくなる可能性もあるのだ。

 そこで繋がり合ういくつかの別の世界の神に協力してもらい、その世界の人間の魂を写し邪神討伐やマギナの供給を手助けしてもらう事にしたのだ。』


邪神とか討伐とか言ってたけど僕らその為に呼ばれたの?人選間違ってませんか?

「僕達は邪神と戦う為にこの世界へ来たんですか?」


『いや、君達に邪神討伐は求めておらん。それは別の次元からこういう戦いに慣れた者達を呼んでいる。君達に期待したいのは、この世界で生きる事によって元の魂の傷を早く癒す事とマギナを生み出してくれる事だ』


良かった。邪神はお任せしますね。生活するだけでいいなんて少しは気が楽になったよ。

「では次にそのマギナっていうものはどうすれば生み出す事が出来るのでしょう?」


『マギナは人間の生命の力だ。マギナには人間が生きていく中で感じる喜びによる正のマギナや、怒りや悲しみ等で生み出される負のマギナがある。負の化身たる邪神には正の感情で生み出される物の方が当然効果は高い。だが先程話したように、邪神との闘いで失った命を嘆いたり、まだ邪神が存在し続ける不安など、今この世界では負のマギナが出る事が多いのだ。なので我々の為にもこの世界で幸せに生きて欲しいと思っている。』


「その件は解りました。では次に何故僕達が選ばれたのでしょう?」


『それは実際に君達を選んだ私が説明します。』


次はワタリか


『魂の上書きをする為にはあまり年齢が上だと自己が確立してきている為に馴染むのに時間が多くかかる恐れがあり、かつ生きていく為に自立出来るであろう年齢という事で高校生を、集団で呼んだ方がこちらの手間も少なく、呼ばれた方も馴染みやすいだろうと思い学校全体が良いだろうと思い探した所、虐めや暴力行為等の集団生活に害悪のある者が極めて少ない君達の高校を選んだのだ。』


こんな状況なのにニヤついちゃった。先代見たらめっちゃ照れてるし。ハイハイ、あなたイジメとか大嫌いって何度もその芽を摘み取りまくってたね。僕も散々付き合わされたっけ。イジメをしそうな生徒を見つけると心の痛みを知れって言いつつ体の方に痛みを与えそうな事をするのを止める役が多かった気がするけど。でもこういう事を言われるとあの苦労が報われた気がして嬉しいな。


『まぁ全く居なかった訳ではなかったので、その者達はここには居ないけどね。』


一言余計だよ、先代今度は怒ってるし。僕やワタリ睨んでるし。感情顔に出し過ぎですって、怖いんでこっち睨むのやめて下さい。さっさと話題変えないとマズイなこりゃ。

「解りました。では疑う様で申し訳ありませんが、僕達が複写された事を証明できる様な物って何かありますか?」

先代の怒りの矛先をそらす為にも先程の不用意発言の仕返しを込めてややこしい質問を返してみた。


『それも当然の質問だね。ではちょっと周りを見てごらん』


そう言って指を一回鳴らしたら周りからモニタのような物がいくつも浮かび上がり、その中では授業を受ける僕達の姿が映っているのが見える。

少しは困るかと思ったけどこれは凄い。すみません今度からワタリさんと呼ばせて下さい。


『見てごらん、これは元の世界の今この時間の君達だ。あれからだいたい1時間弱ってところかな』


 確かに黒板の日付や当番の名前、数学の次の理科の実験を欠伸をしながら授業を受ける自分の姿を見て、今の自分の状況についてあれこれ考えたりした。自分に出来る事、自分がしなければならない事なんて柄にもない事を考えた。

 どこか遠くへ行きたいなんて考えた事もあったけど、流石に遠すぎるって。

初投稿になります。誤字脱字それなりにあると思いますので可能な限り直します。

完結目指して頑張ろう

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