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うさぎのすみか(外or部屋)

小宮山家のヒエラルキーの頂点に位置するお母さんの意見は絶対だ。

最強にして最悪、この世の物理法則に反する力を持つお母さんには決して誰も逆らえない。

いくらミミと桜が結託しても、お母さんの前では塵に同じ。

残念だけど、ミミが私の家に住むなんてことできない…

「別に良いわよ〜」

「わーい!ありがとうお母さん。よかったね、ミミちゃん!」

桜がミミと手を取り合って喜んでいる。

良いのかよ。

「ちょっと待ってよお母さん!本当にいいの?」

「ちょうどかわいいペットが欲しかったから、ちょうどよかったわ〜」

ミミに対する認識はペットなの?

人間の体にうさ耳ついてるだけだけど、どう頑張っても人間よりだよ?

うさぎ成分は2パーセントくらいしかないよ?

「そういうことだから、ミミちゃん今日からよろしくね?困ったことがあったら遠慮なく言ってね?」

お母さんが微笑みながら言うと、ミミは満面の笑みで答えた。

「ママさんありがとうございます!このお家に住まわせていただける以上贅沢は申しません!ただ、1日3食有機野菜にアルプスの名水で作られた湯で野菜と少々の富士の天然水、あと、高級敷き布団と高級羽毛布団だけあれば結構です!」

「遠慮ねぇなこいつ!?」

お母さん的に許容範囲なのだろうか?

「そんなわがまま言う子は、うちの子じゃありません。他の家で飼われてください」

お母さんは冷たくと言った、ダメだったっぽい。

ミミは耳をしょんぼりさせながら、お母さんに泣きついた。

「せめて、せめて、湯で野菜だけでもお願いします!あれのために、わたし人間界に来たんです!」

お前さっきの言葉はどうした。

「さっき、ウサギの天敵がどうとか言ってなかった?」

ミミは鼻をフンと鳴らすと、目を細めて言った。

「同胞がどうなろうと知ったこっちゃねぇです。私は私のため(湯で野菜のため)に生きる」

「腹のなか真っ黒じゃねーか!」

最悪である。

「湯で野菜くらいならなんとかなるわ〜、でもお部屋がないから、ミミちゃんはお外で寝てね?」

「お母さんミミのこと犬か何かと勘違いしてない?」

誰も突っ込まないけど、完全にウサミミの付いた人間だよ?外で首輪とかしてたら確実に通報される系ウサギだよ?

「湯で野菜くれるなら、なんでもバッチコイです!」

「ダメだよ!確実に逮捕者が出る!」

やいのやいの言っていると、事態を静観していた桜が不意に声をあげた。

「それなら、ビッ○…じゃなかった、お姉ちゃんの部屋に住めば良いじゃん。ヤリ○ン…じゃなくて、お姉ちゃんの部屋なら部屋もベットも広いし、ミミちゃん一人くらいならどうにでもなるでしょ?どう?彼女にウサミミ付けさせて喜んでいる変態お姉ちゃん?」

「私の心がゴリゴリと削れていく。ミミは彼女じゃないし、私は変態じゃない」

ミミからも何か言って欲しい。

「あーん、私は楓さんの彼女ですよう、いけずぅ」

「ミミはお願いだから黙ってて、これ以上誤解を与えないで…」

するとお母さんが優しく言った。

「楓ちゃんのお部屋のベットが大きいのは、昔お父さんと一緒に使ってたベットだからよ?」

そんな告白いらないんだけど、お母さん。

「あーもう、わかったわかった私の部屋で一緒に住むよ!」

すると、ミミは嬉しそうに耳をピコピコさせて言った。

「もう、最初からそう言えば良いのに、素直じゃないんですから楓さんは。一緒に愛を育んでいきましょうね」

「育めるかー!」育めるかー!育めるかー!・・・

11月下旬の昼間に私の叫びがこだました。

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