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愛(湯で野菜)

そう、あれはクリスマスキャロルが流れる頃でした。

誰を愛しているのか見えなかったあのころ。

手を伸ばしてくれたのは楓さんだったのです。

背中を毛布代わりに抱き合ったりしました。

でも私達には愛のすれ違いがありました。

出会う前に戻ってまた自由になりたい。

そう考えた私たちは別れたのです。


「ねぇミミちゃん何の話?」

お母さんの疑問はもっともだと思う。

過去の回想を始めたと思ったら、ミミはクリスマスキャロルが流れる頃とか言い出した。

「なるほど」

桜がフムフムと頷いた。

「つまりね、ミミさんは兎だから年中発情期、でもミミさんのいた場所には女の子しかいなかったから交尾できなかった、これが誰を愛しているのかわからなかったあのころを表しているの。」

なんだそれは、そして女の子が交尾とか言わない。

「そっそうなの?ミミ?」

ミミは満足げに頷いた。

「その通りです、続けてください」

なんで偉そうなんだこのうさ耳・・・


「そしてそこにやって来たのが飼育係としてミミさんのお世話をしていた、私のお姉ちゃん楓だったのです。お姉ちゃんは給食で出てきた湯で野菜が嫌いだったから、飼育係の特権を使いお昼休みに湯で野菜をお腹に隠し学校で飼っていた兎にあげていました。」

「なんでばれてるの!?」

隠していたはずなのに

「だってお姉ちゃんが飼育係で昼休みに兎と遊んでいるとき私も混じってたし」

あっそっかぁ、いたなぁ

「そしてお姉ちゃんは兎のミミさんを抱っこしたりしてお昼休み遊んでいました。それが背中を毛布代わりにして抱き合ったりの下りですね」

「ねぇミミ、すごい無理やりな比喩表現ね」

「無理なんかじゃないですよ!現に桜さんは分かってくれています!」

多分桜にしかわからないと思う。

お母さん話が長くて寝ちゃったし


「愛のすれ違いっていうのは、お姉ちゃんが湯で野菜を兎にあげているのがばれて、持ってこなくなったことを表してるのよ。」

愛のすれ違いがそうくるのか。

「ミミにとっての愛って湯で野菜なの…」

「だってあの時ペレットしかくれなかったじゃないですか!湯で野菜とか貴重だったんです!」

兎も大変なのね。

「愛なんて所詮もので決まるんですよ…」

桜がボソッと呟いた。

なんか闇を見た。


「お姉ちゃんと出会う前の自分は愛(湯で野菜)なんて知らなかったのに、お姉ちゃんに出会ってしまって愛(湯で野菜)を知ってしまった。愛(湯で野菜)を知る前の自分に戻って自由になりたいってことね。」

どれだけ湯で野菜好きなんだ。

「私たちがわかれたっていうのは、お姉ちゃんの小学校卒業ね。これがわたしの推理。どう?ミミさん!」

桜はミミを指さして自信満々に言った。

人様(兎様?)を指さすんじゃありません。

「くっくっくっ、ブラボーブラボーだよ、桜君」

急にどうしたんだこのうさ耳は、気でも狂ったのかな?

「ただ君は見落としをしているよ、桜君」

「なんですって!?」

なんだこいつら、ノリノリじゃないか。

「私は背中を布団代わりに抱き合ったりしていると言ったね?桜君」

「それがどうしたのよ!」

「ねぇミミ、桜、急にどうしたの?このノリについていけていない私はおかしいの?」

「おかしいとは思わないのかね桜君」

「なにがおかしいのよ…はっそういうことなのね!」

無視ですかそうですか。

そしてどういうことなのよ。

「そう兎を抱くときは両手でしっかりもって抱かなければならない。つまり背中をというのはおかしいのだよ!桜君」

「くっそうか、背中を毛布代わりに抱き合うというのはウサギ小屋で寝ていたお姉ちゃんにミミさんが引っ付いて寝ている状態なのね…今回は私の負けだわ」

崩れ落ちる桜にミミは優しく手を差し伸べた。

「いや、桜君、君の推理は素晴らしかったよ。素晴らしい洞察力だった。桜君、いや、桜ちゃん」

「ミミ…さん」

そういうと、二人はがっちりと固い握手をした。

わたしは色々突っ込みたかったけれど、めんどくさかったから部屋に帰って寝た。

起きると、お母さんはそのまま寝ていたし、桜とミミは探偵と怪盗ごっこをして遊んでいた。

今日も平和な一日でした。

小宮山 楓


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