違う、私は処女だ!
わたし、小宮山楓は今絶体絶命のピンチを迎えている。
「それで、説明してくれる?楓?」
我が家のヒエラルキー最頂点に君臨するお母さんと対峙しているからだ。
あの後、桜がお母さんを呼ぶとお母さんは一階からすっ飛んできた。
すっ飛んできた慣性の力を利用し全力でわたしはぶん殴られ、窓を突き破りゴロゴロと屋根を伝い、庭の池まで落っこちた。
それで庭で正座させられている。脛に砂利が食い込んで痛い。
母さんはため息をついた。
「あのね楓、母さん怒ってるわけじゃないのよ」
「えっ怒ってないの?」
あれで怒ってないのか。
「ただ、キレてるだけなの」
何が違うというのだろう。
「説明してくれる?お母さん実の娘に手を下したくないの」
「えっ殺す気なの?実の娘なのに?」
「返答次第ではしかたないわよね」
ヤル気だ、お母さんはヤル気だ。
「本当に知らないんだってば!朝起きたら横にいたの!」
それを聞くと母さんは微笑んだ。
分かってくれたのかな。
「お母さん悲しいわ、実の娘に手を下さなきゃならないなんて」
「なんにもわかってない!」
私は桜に助けを求めた。
「ねぇ桜からもなにか言ってあげて?」
「うるせークソビ〇チ、しゃべりかけんなド〇スが」
「さっ桜さん?」
「おめーみてーなヤリ〇ンが姉かと思うと私は悲しいですよ、ファ〇キュー」
ダメだ、怒りで我を忘れている。
それにこれ以上何か言われると私の心はぽっきりいっていしまいそう。
本当になにも知らないのにひどい。
「あっあの~」
桜に両手を縛られ、お母さんに介錯されそうになっていると、二階の窓からうさ耳が顔を出していた。
「わたし、楓さんの子供ではないですよ?」
おっいいぞうさ耳、そうやって誤解を解いてくれ。
「わたし、楓さんのお嫁さんになりにきたんです」
「なにも、解決してない!」
その瞬間、桜が可哀想なものを見る目でうさ耳を見ていた。
「本気ですか?お姉ちゃん…じゃなかった、このヤリ〇ンは誰にでも股を開くヤリ〇ンですよ?」
「違う、私は処女だ!」
「何を堂々と言っているのですか、このヤリ〇ンは」
桜と私でぎゃーぎゃー喧嘩するなか、お母さんはうさ耳に微笑んで言った。
「え~と、名前を聞いても良いかしら?」
「はい!宇佐野ミミと言います!」
「そう、ミミちゃん…楓のお嫁さんになるっていうのは本当なの?」
「本当です!昔約束しましたから!」
約束?こんなうさ耳と会っていたなら忘れることはないはずなんだけど…