正座したうさみみ(全裸)
兎の天敵っていうと何が思い浮かびますか?
結構たくさんますよね。
狐とか鷹とかハブとか。
あと人間。
天敵多すぎです!
そこで兎達は考えました。
この世界で一番強いのってなんだろうって。
ライオンかしら?
それとも虎?
いやいや、サメだろう?
議論は紛糾しました、結局なんでも食べる人間が一番強いということになり一匹の兎を人間界に送り出そうと決めたのです!
「それがこの私なんですよ」
「なるほどわからん」
11月も終わろうかという寒い日の朝。
朝起きるとわたし、小宮山楓の部屋にうさ耳を付けた女の子がいた。
全裸で。
状況を整理しよう。
布団の上にはわたし。
そしてその横に正座したうさみみ(全裸)がいる。
昨日部活から帰ってきてお風呂入ってご飯食べて宿題やって寝た。
その間になにがあったんだっけ・・・
大事なことなのでもう一度いっておくと
「なるほどわからん」
うさみみはニコニコしている。
「いや、あなたが兎代表として人間の生活をしたいということは分かったよ?でもなんでわたしの部屋にいるわけ?」
頭を抱えていると、階段を上ってくる足音がした。
「Hey!my sister、起きてるかい?」
これはあれだ、テンションが高い時の妹、桜だ。
「yaaaa!起きてるよ」
同じようなノリで返事をする。
「ヒュー今日もいい活舌してるねぇ!入るぜよ?」
今入られると非常にまずい。
だって、全裸の女の子がいるんだもん。
「yaaaa!ちょっとヘルプだぜ妹よ」
「助けてほしいの?じゃあなおさら入るよ?」
間違えた。
取りあえずこのうさ耳をどうにかしないと。
うさ耳に布団の中に入るよう手招きした。
「ストップ!ドントストップだ!my sisiter!」
「止まるのか止まらないのか、取りあえず入るよ~」
間一髪で間に合った。
と思ったけど間に合ってない。
私は布団を膝に掛けたままあぐらをかいているけど、その上にうさ耳が乗っている状態なのだ。
つまり、足に掛けてある布団が異様にこんもりしている。
「あれ?姉ちゃん・・・」
「なっなに?桜?」
ばれたかな・・・
「太った?」
断じて太ってはいないが、全裸のうさ耳を連れ込んだと思われるよりはましだ。
「うっうん、太ったみたい」
「姉ちゃん、泣いてるけど大丈夫?」
「うん、大丈夫よ」
女としてのプライドより、人としてのプライドの方が大事だもん。
仕方ない仕方ない。しくしく。
「なんか布団めっちゃ動いてるけど・・・」
「あっこら、動かないの!」
布団の中でじっとしているせいで、うさ耳は息が苦しくなったらしい、私の胸元まで顔を寄せてきた。
「姉ちゃん・・・」
「うっうん?なに?」
今度こそばれたかな?
「赤ちゃんできたの?」
「できるか!」
ビクッ!うさ耳が急に跳ねた。
そして私の足にも10のダメージ!
急に大声を出したせいでびっくりしてしまったらしい。
うさ耳はそのまま部屋の隅まで駆けて行った。
脱兎の如しというのはこういうことなんだろうなぁ。
そんなうさ耳をぼーっと見ていると桜から怒鳴られた。
「うそつき!」
今度は私が跳ねる番だった。
「さっさくらちゃん?」
「姉さんはさっき赤ちゃんなんていないって言ったくせにいるじゃない!このあばずれ!クソビッチ!マザーファ〇カー!おかーさーん、姉さんがうさ耳の赤ちゃん産んだ!」
そういうと桜は階段を駆け下りて行った。
さよなら、わたしの日常。こんにちわ、わたしの非日常。