四ノ果実 《告白成立!?》
「ちょっとぉあの子じゃない?」
「えーどこ?」
「嘘でしょー!あんな子が?」
(・・・やっぱり気のせいじゃないかも・・。)
「雫最近有名人って感じだねー。」
「うん。なんなのかしらね。」
廊下を歩く海崎と美咲
高校に入学して約1か月が経った頃から、知らない女子から変な目で見られている感じなのだ。
「リアルに自覚無い感じ?」
「自覚って?あたし何かした?」
拍子抜けした顔で海崎を見る美咲
「何よ?何なの?」
「はぁ~・・・妬みに決まってんじゃん!」
「妬み~〈笑〉何に妬むのさぁ~アハハハウケる―」
ペシペシと美咲を叩く
「マジちょっとは自覚しなさいよっ!駿河くんに決まってるでしょーが!ついでに最近黒瀬君とも仲がよろしいみたいだしっ!」
「やっぱりか。」
「え?気づいてたの?」
「まーね、駿河がここ一か月で何人かに告白されたって言ってたし。」
ウンザリした表情をする海崎
「えーそんな話するんだ。」
「普段はしないよ~、駿河の色恋沙汰なんて興味無いし~。ただ、何か振るたびに何故かあたしの悪口が入るらしいよ。」
「あ~何か予想つくわ~〈笑〉ちなみにどんな悪口?」
「何で予想つくのさ。なんかね、あんな可愛くも無い女のどこがイイ?だの、目つきの悪いあの女は駿河のなんなの?だの私の方がイイ女だの・・・。そいつらあたしの何を知ってんだって感じだよ全く〈怒〉」
言っているうちにワナワナと怒りが込み上げてくる海崎
「アハハうけるー女の妬みを恐ろしいからね~雫気をつけな~♪」
「笑いごと?まぁ、駿河もそれを心配して告白されるたびに、告白してきた奴の名前と特徴と悪口を教えてくるのよ。」
「何それー意外~!めちゃ大事にされてんじゃん。」
「大事に?!何言ってんの!勝手に巻き込んでるだから当然でしょ!」
しかめっ面で美咲に詰め寄る。
「怖いよー!そんな顔ばっかしてるから目つき悪い女呼ばわりされるんじゃんかぁ~!」
「失礼なっ!生まれつきこの顔じゃっ!」
「も~イケメンに守られてるお姫様なんだから、もっとヒロイン演じなさいよ♪」
「美咲っいい加減にしてよっ!」
「す、すいません。」
「え?」
急に声をかけてきた女子3人
「何?うちらに何か用?」
美咲が答える
「あの、海崎雫さんですよね?」
海崎の目をじっと見る3人
(うわ~。何か面倒な気配漂ってる~。)
美咲は腕組をして気怠そうに3人を見た
「そうだけど?何かよう?」
海崎も笑顔をやめ、真顔で聞き返す。
「駿河君と付き合ってるの?」
「付き合ってないけど。ただの幼馴染みだけど。」
「ただの幼馴染み程度なら、自分だけ特別みたいな振る舞いやめてもらえませんか。」
「はぁ?あんたら何言ってんの。」
鼻で笑う海崎
「最近黒瀬君にまで手を出そうとしてるって聞くし。」
「ちょっとーあんた達根も葉もないこと言ってんじゃないわよ。つーか妬みで雫に絡むとかチョー醜い〈笑〉」
バカにするように3人に食って掛かる美咲
「はぁ?マジあんた誰よ!部外者は引っ込んでなよっ!」
「部外者はあんた達だって一緒じゃん。雫と駿河君の関係性を部外者のあんたらにとやかく言われる筋合いないっしょ♪」
(美咲・・・スゴッ・・。)
怒りより、美咲の口の達者な感じに目が点になる海崎
「マジむかつくー!お前に話してねーんだよ!」
「そうよっしゃしゃってんじゃねーよ!」
「うざいんですけどー!」
「ちょっと、美咲に当たってじゃねーよ。」
凄みをきかせた目つきで3人を睨む海崎
ビクッ!!
「な・・・なによ・・・全然怖くないから・・・」
そう言いながら、3人寄り添う姿に一瞬笑いそうになる海崎と美咲
その時
「おい、海崎何してんだ?」
「あ。駿河。」
3人の背後から駿河と黒瀬が現れた
「えっ、駿河君と黒瀬君!」
3人は振り返り2人に笑顔を向けた
(なんだこいつら・・。つーかうちのクラスの女じゃん・・・)
「駿河、あんたのファンらしいよ。」
ニタっとして3人を見る海崎
「そうそう、黒瀬君のファンでもあるらしいよ」
美咲も乗っかる
「ちょっとっ止めてよ!何言ってんのよっ!」
3人は赤面しながら海崎と美咲を睨む
「絡んできたのあんたらじゃん。何今更手の平返してんの?ダサ。」
目が笑っていない状態で笑顔を見せる美咲
(コエ―・・千葉さん・・・怖い・・・。)
黒瀬はゾッとしていた。
「あのさぁ。海崎は俺の大事な女だから、あんま変な事すると許さねぇから。」
(だ・・・大事な女ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!)海崎&美咲&黒瀬
「ちょっ!!す、す、駿河ぁぁ〈恥〉」
海崎は駿河の胸元をガッと掴んだ
「えー嘘でしょ~!」
「やっぱり付き合ってたのぉ〈泣〉」
「ショックーー!」
3人は半泣きでその場から走り去ってい行った
「あんな目つきの悪いブスに負けたぁぁぁぁ!!」
ゴンッ
その言葉が海崎の頭に落ちてきた
「アハハ何ぃ今の捨て台詞~ウケる~♪」
「凄いな・・何今の?」
黒瀬は唖然としていた
「おい、離せよ・・。」
胸ぐらを掴まれたままの駿河
ググッグ・・・
「く、苦し・・・い・・」
力を込める海崎
「おいおい、ちょっと駿河が死ぬって〈焦〉」
「ゲホッ・・・ゲホッ・・な、何すんだこの怪力ッ〈怒〉」
「はぁ〈怒〉何すんだじゃねーから!」
「アハハやれやれ~♪」
楽しそうな美咲
「千葉さんっ煽っちゃダメっしょ〈汗〉」
「何怒ってんだよ。」
「あんた、もしかしてだけど・・・振った女どもにさっきみたいな事言ってないでしょうね!」
「さっきみたいな事って。」
「だ、だから・・お、おれの・・」
カァ~・・・・
ドンドン赤面していく海崎
「俺の大事な女だから~的な事でしょ~♪」
プシューー・・・
頭から湯気がでる海崎
(あ・・・ショートした・・・。)
へたり込む海崎を傍観する黒瀬と美咲
「なんで?マズイの?」
キョトンとしている駿河
「駿河君、そんな事言ったら余計に雫を追いこんじゃうよ~。」
「なんで、あーいっときゃ手出ししねーだろ。」
「お前なんも分かってねーな。」
「そーよっあんたあんな事言ったら、余計にあたしが女子に妬まれるでしょーが!事実無根なこと無責任に言ってんじゃねーよ!」
床に這いつくばったまま顔を駿河に向け睨む海崎
「事実無根じゃねーだろ。俺にとっては大事な女なんだから。ほらさっさと立てよ。」
(え・・・?)
手を差し出す駿河だが海崎は口が半開きのまま固まっている
「ねぇ・・駿河君それって・・何?あれ?雫のこと好きって事・・・かな・・」
さっきまではしゃいでた美咲も目をキョロキョロさせている
「なんか分かんねーけど俺ちょっと今ドキドキしてんだけど・・。」
黒瀬は何とも言えない表情をしていた
そんな2人を表情一つ変えずにチラッと見たあと固まる海崎の前に座り
「つーか、卒業式の日に言っただろうが、俺には海崎がいればそれでいいって。俺なりの告白だったんだけど。」
「マジでーー雫そーだったの~!!ちょっとぉどーゆーことよぉ!!」
美咲は海崎の肩を鷲掴みにし激しく揺らした
「おいっ!海崎さんから魂でてるぞ!!落ち着けって千葉さーん!!」
(え・・・何・・・また聞き間違い・・・えへへ・・そーだよねー何か悪い夢見てんだよねー・・アハハ)
「うわっ、何か目がいっちゃてるまま笑ってるぞ〈怖〉」
「雫~っ!あんた何なのよー〈怒〉」
「・・・・・たく。」
《保健室》
「ん・・・ん・・」
パチ
(あれ・・ここどこっ!!)
バサッ
キョロキョロ
(保健室・・?何で・・?)
「起きたのー?」
カーテンの隙間から美咲が顔を出した
「あれ?何であたし・・・」
「覚えてないのー?」
「・・・・・あ。」
一瞬にして海崎の顔色が青くなった
「何で顔青くしてんのさっ。普通赤くなるもんでしょ。」
「夢じゃない・・?聞き間違いじゃない・・。」
自分に自問自答する海崎
「たくホント羨ましいわ。あんなイケメンに告白されちゃうなんてね~・・・。」
少し意地悪に言う美咲
「告白っ・・あーーーなんなんだぁ!」
頭を抱える海崎
「何でそんな嫌そうな訳?」
「・・・ねぇ。彼氏彼女の定義って何?」
真顔で美咲に聞く
「は?そりゃぁ~一緒に居て幸せ~とかぁ、相手に触りたいとかぁキスしたいとかぁ~あんなことやこんな事したい~とかぁ~♪簡単に言えば欲情する関係〈照〉」
美咲は、手を頬にあて体をうねらせながら言う
「・・・・・」
「あれ?雫?」
無反応な雫を見ると
「ちょっと、なんて顔してんのっ!めっちゃ引いてんじゃんか!何っ!」
おぞましい程ドン引きしている海崎の表情は嫌悪感に満ちていた
「ありえない・・マジ無いわ・・。」
「は・・・?」
「無い無い無い。無理無理無理。あーマジ無い。うん。そう、あり得ない。」
「ちょっと誰に言い聞かせてんのさ・・・」
「ありがと、今の聞いてだいぶ落ち着いたし、答えが見えた。」
冷静さを取り戻した海崎
「はい?どーゆーこと?」
「あいつが、あたしに欲情するわけ無いし何か女友達の延長戦と恋愛ってやつはき違えてんだよきっと。一緒に居て楽とか、一緒に居るのが当たり前的なとこあるし・・・。」
「そーかなぁ?」
「そうだよ、それにあたし自身あいつとイチャイチャ的なこと考えられないし〈苦笑〉」
海崎はベットから出て、上履きを履いた。
「へー本当に、その気無いんだね雫。」
「無いよ。つーか中学の時からあいつモテてたけど、あたしにはあいつをそういう目で見る気持ち全然分かんなかったし。」
「そんなもんなのかなぁ幼馴染みって?男は皆恋愛対象じゃないんだ~。雫にはちゃんと男友達とボーイフレンドの境界線があるんだね~。」
「さぁ?前にも言ったけど恋愛したことないから良く分からん。」
「ハハ・・でもさ、駿河君には何て返事するの?」
「返事?」
眉間に皺を寄せて美咲を見る
「だって告白されたんだから、返事しなくちゃだめっしょ?」
「返事つーか、勘違いだって言う。」
「それはダメじゃん!?本気かもしんないんだし。」
「ナイナイ。」
笑顔で返す海崎
(・・・・なんかちょっと駿河君可哀想・・・。)
「待っててくれてありがと、行こう。」
「うん。」
一方駿河達は
「大丈夫かな海崎さん。」
「大丈夫だろ。」
「うまく行きそうなのか?お前の告白。」
「あいつは激ニブだからな、少しは考えるんじゃね?」
「つーか意外。」
「ん?」
「そーゆーの興味無いのかと思ってた。告白全部断ってるし、女の話しねーし。」
「お前もだろーが。」
「俺はお前が興味無さそうだからしないだけ。彼女作らないのは、俺は自分が好きな女と付き合いたいからだよ。」
爽やかな笑顔で話す黒瀬
「あぁそれたぶん俺も同じ。」
「フフ。」
「何だよ、気持ちわりぃ・・。」
「いや、海崎って面白いよな。」
「そうか?」
「あぁ、そこらへんの女となんか違うって感じ。お前が選ぶの分かるよ。」
「・・・なんだそれ。意味分からん。」
「まっ、うまく行く事祈ってる。」
「祈んなくて結構。」
「つれねーなー〈笑〉」
「うるせ。」