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EMPTINESS  作者: 朱希
6/10

対面と喧嘩

アルダの拳がリスキーの頬にクリーンヒットした数秒後、 突如教室のドアが開かれた。

リスキーが床に崩れこむ。

アルダが扉の方へ視線を向けると背の高やや筋肉質な男が気まずげに立っていた。


「あー••••••カルバドス先生、 担任の、に、お前らを連れてこいって言われてな••••••」

男は角刈りの金髪頭に触りながらリスキーの方へ視線を向けた。


「いてぇー」

リスキーは頬をさすりながらブツブツ悪態をついていた。

アルダは右手でリスキーの腕を掴んで立ち上がらせ、男に頷いた。


廊下を歩きながらアルダは不安になった。


多分、 みんなに変な目で見られるんだろうな••••••


そう思っているうちに教室に着いた。

男がドアを開く。


「お、 来たか。 初日からすまねーな。 スタウト」


スタウトと呼ばれた男は一礼して席に着いた。

担任のカルバドスは紫のモヒカンヘア、 鼻ピアス、 黒のタンクトップにジャージズボン、 さらには肩に蛇のタトゥーという教師にあるまじき外見でアルダを震わせた。


「入学式そうそうやらかすなんて紫の小僧くらいかと思ったが」

そこでカルバドスはメリケンサックを付けた拳をアルダとリスキーの2人の目の前に突きつけた。


殴られると直感し、 2人は身構え、 目を瞑った。

だがいつまでたってもその感触がこない。


「おい」


カルバドスが口を切った。

「てめーら、 いつまで突っ立ってんだ?」


「え?」

「オレはグータッチしようとしただけだぜ?あ、 こいつをまず外さねーとな」

カルバドスはメリケンサックを外した。


予想外の対応に2人は顔を見合わせた。

恐る恐る手を差し出すと無理矢理合わせられる。

「オレも昔はてめーらみたいな時期はあった」

この瞬間、 クラスの生徒全員が「今もだろ!!」と思った。


アルダとリスキーがとりあえず席に着くと、

リスキーの後ろに座っていた女子生徒が聞き取るのがやっとというレベルの声で何か呟いた。


「今なんて言ったのかなぁ」


それはリスキーへの言葉だったらしく、 彼は立ち上がり女子生徒の机を叩いた。

女子生徒の表情は長い黒髪によって隠されうかがうことができなかったが、 手の震えと耳が赤くなっていることでリスキーと同じく興奮しているのが分かった。


「最悪っていったの••••••だってっこいつシェリーの大っ嫌いなキュヤハニ人だもん!!」

シェリーという生徒はリスキーの首を指差しながら震えた声で叫んだ。


キュヤハニ人••••••?

アルダはそのような人種を聞いたことがなかった。

シェリーはさらに続けた。


「あいつらは悪魔に身を売った最低なやつらっ!!そんなやつがなんでっ••••••なんでここにいるっ!!」

「うるせぇっ!!」

リスキーが再び机を叩いた。


「オレは基本、 女子には手を出さない主義だがお前は違うみたいだなぁ!!この発情期の雌犬が!!」


リスキーはシェリーの青白い華奢な太腿を協調したニーハイソックスを指差すと、 そのソックスの入り口部分から何やら取り出した。

シェリーは暴れたがリスキーはそれを投げ捨てた。


それは他の生徒によってキャッチされた。


「お金••••••?」

生徒の手には数枚の紙幣が握られており、 それが何を意味するかアルダにも分かった。


「最悪最悪最悪最悪ぅぅぅぅっ!!!コロスコロスコロスッ!!!」


シェリーはホルダーから二本の鞭を出してリスキーに飛びかかった。リスキーも制服の裏ポケットからバタフライナイフを取り出し臨戦態勢に入った。


これはまずい!!もしかしたらリスキーも私も退学になるかもしれない!!

アルダはカルバドスに視線を送ったが、彼は止めに入ることはなく寧ろ笑いながら参戦していた。だがすぐに笑い止むと2人に向かって叫んだ。


「オレは喧嘩は大好きだぜ?だけどヤるんなら外でヤってくれねーか?」




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