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自治省の悪臣  作者: 雪 柳
24/52

第七章 自治省の自治部隊 その1 

<キリル>

「第五章 自治省の殲滅部隊 その2」にて、

「夏に婚約、秋に結婚、来年には一子誕生」とか言って(こぶし)を固めて

いましたが。また、「第六章 自治省の救助部隊 その4」にて、

「王都に戻ったら直ぐに婚約を発表しよう…婚礼式は紅葉の綺麗な時期に」

とか口説いていましたが、もう7月が終わりますよ~確実に無理ですね。


あっはっは、と作者の特権。登場人物虐(いじ)めてストレス解消。

だって前章(第六章)はちょっと内容的にしんどかったですもの。

(読んでくださっている皆さまも、う~ん?だったのでは…お赦しを)

本章はちょっと楽しく、明るくなると良いな~無理かな~?と思いつつ。



7の月も終わりに近づき、ファネ国王都キサラには例年以上の酷暑が到来していた。

カプレス山脈から吹き下ろされる冷風により、朝晩はまだ

凌ぎやすいが、日中は屋外での長時間作業に特別注意報が発令されるほどだ。


とはいえ、外が()だるような暑さでも、工部省ご自慢の最新型冷却(クー)装置(ラー)が作動

していて、自治省のある旧カリン宮の中はなかなかに快適であった。


自治省政務次官室に内務省政務次官レムルが先触れなく顔を出した。

次官級(クラス)の高官が単身で他省を訪問するなど、

そう頻繁に起こらないはずなのだが、リアン付秘書官たちはもう驚かない。

どうやら経験不足を自認しているリアンが頭を下げて、

先輩次官であるレムルにいろいろ教えを乞うているらしいのだ。


「レムル次官、折角お運びいただいて申し訳ないのですが、

リアン次官はただ今、席を外していまして…」

8人の秘書官のうち一番若いミシェラが代表して内務省次官を迎え入れる。


「ヴァンサラン補佐官と官員食堂で遅い昼食中でしょう、分かっています」


どうやらリアンの不在を狙ってワザワザ来たらしい。

となると、ロクなことではない。次官付秘書官一同は背筋を正した。


「こんなものが、人事院から回って来たのですがね…」

レムルの手の中で数枚の書簡が踊っている。心当たりのある4名が一気に蒼冷めた。


「キタラ秘書官、高齢による退職願。陛下により却下されました。

 貴方は過去に恩赦を受ける代わりに終生、王に仕えることを誓願していますね。

 忘れたとは言わせませんよ」


「リーグ秘書官、母親の介護のため異動願。定時に帰れる職場を希望、と。

 おかしいですね。御年73歳のお母上は先日ニム街の歌声(カラ)喫茶(オケ)で夜通し

 楽しんでおられたという目撃証言がありますが…」

この異動願は内務省次官(レムル)権限で却下、と付け加えられる。


「フェイ秘書官、地方行政を学ぶため隣国イサへ留学希望。

 貴方の経歴なら行かせてあげたいのは山々ですが、今秋枠はもう一杯です。

 来年度にまた申請して下さい」

フェイは横に座っているアイルから「お前、抜けがけだぞ」と、ど突かれた。


「それから、ミシェラ秘書官。

 貴方の育児休暇申請が一番命知らずでしたよ。

 こんなものが長官の目に触れたら、どうなったと思うんです?

 妻が4人目の子どもを身ごもって大変だからって…

 未だ婚約一つ決められない上司に言うことですか」


ひいいっとミシェラだけではなく、8人全員の顔がひきつった。

ミシェラが後先考えず、育児休暇申請書を提出したのも大問題だが 

レムルの「未だ婚約一つ決められない上司」発言に皆が震撼する。

事実だが言葉にしないで欲しかった。


「…ということで4件全て却下させていただきます。

 もしも机の中に他の申請書を暖めている方がいらっしゃいましたら、

 諦めてください」


「レムル次官。いつまで私はここに?」

モムルが真っ先に尋ねた。彼の本来の所属は内務省なのだ。

長官(キリル)命令で、覆面として自治省次官室に配属されているのだが、

そろそろ動きたい。そうでなければ、いつまでも査定が最低位置(ランク)のままだ。

「さあ…?」

レムルは曖昧に首を傾げただけだった。


「リアン次官がお嫁に行ってくれれば我々は解放されるのでしょうか?」

アイルが(すが)るような眼を向けて内務省次官に訴える。

嫁ぎ先はもちろん長官の所だ。それ以外はありえない。

あったら8人の未来は確実に消される。


「さて、どうでしょうかねぇ。

 あの方の性格ですと、結婚しても仕事を続けるとか言いそうですね」


「勘弁してください!!!」

8人の声が揃った。


「長官と次官の間に立って御苦労されているのは分かります。

 ミルケーネ公爵がイロイロ面倒くさい方なのは…ええ、それはもう、

 20年来の付き合いのある私が、よーく分かっています。

 けれども、拾った子猫(リアン)が大虎になるまでは責任もって世話しなければ

 なりません。全てはファネ王国のためなのです」


レムルの有無を言わさぬ命令に一同うなだれる。


拾った訳ではない。彼らはどちらかと言うと、拾われた側だ。

全てはアギール家令嬢が自治省次官就任式で行なった質問票(アンケート)に始まった。

ある者は真剣に取組み、ある者は適当に回答し、

ある者はわざと間違いを作り、またある者は白紙で出した。

そうして何故か今いる8人が次官付に選ばれた。

才能を見込まれたのかもしれないが…素直に喜べない。


内務省政務次官が退室して後、8人はしばし無言で睨み合った。


貴族もいれば平民もいる。年代も経歴もバラバラ。

中央出身者もいれば地方出身者もいる。既婚者も元・既婚者も未婚者もいる。


「ふ、抜けがけはナシだぜ、兄弟」

フェイの肩をアイルが叩いた。


「ぼ、僕らは協力して自治省の平安を守らなければ」

今回、一番「ダメな奴」の烙印を押されたミシェラは震える声で再起を誓った。


「じ、自治省の、自治省による、自治省のための政治を…」

トウトウが訳のわからないことを唱えだした。


しかし彼らが真実願うのは長官と次官の幸先でも自治省の繁栄でもない。

ひたすら…ひたすら自分たちの未来が断たれないことを祈っていた。


*** *** *** *** ***



「…は?王妃さまのお茶会?またですか?」

リアンは机から顔を上げると、ついうっかり本音を漏らしてしまった。


「また、とは無礼でしょう!

 折角の王妃さまのお心遣いを何と心得るのです!」

フッサール伯爵夫人フローネが、両手で次官の机を叩いた。

そのせいで書類の山が一つ雪崩を起こす。

ヴァンサラン補佐官が慌てて飛びつき、何とか事なきを得たが心臓に悪い。


「でも、マリンカ王女の成人式を2カ月後に控えて王家も忙しいでしょう?

 自治省だって、このところの猛暑で各州からの嘆願書が増えているし…

 私だけお茶しに行く訳にもいかないのよ」

何故か、王妃さまのお召しが10日に1回程度から7日に1度、

最近では3日に1度程度まで増えているのだ。


後見してくれるのは非常に有難いのだが、茶会に行く度に貴重な執務時間が

2、3時間、長い時は4、5時間も削られてしまうのだ。

王妃さまの茶会にはフッサール伯爵夫人が女官役で仕候するほか、

かなりの確率でミルケーネ公爵が顔を出し、当前のようにリアンの真横に陣取る。

時々に国王陛下や太王太后、マリンカ王女、稀にはワグナ殿下まで出席する。


叔父クロンほどではないが、どちらかというと王家が苦手

(当たり前だ。リアンの両親が何で駆け落ちする羽目になったのか忘れて

もらっては困る)なリアンにとって、茶席は困惑以外の何ものでもなかった。

…最近はだいぶ開き直ることにしているが。


「どうせ断れないんだ。ちゃちゃと行って早く戻ってこい」

ヴァンサラン補佐官がリアンから書類を取り上げる。


「でも皆に仕事を押し付けて…」

「大丈夫です。

 茶会出席もお仕事だと思ってください…こちらをお願いしますので」

トウトウが書類の山から手際よく数枚をつまみ出し、次官に手渡す。


「王家の皆様が個人資産で支援してくださっているものです。

 ばっちり署名をもらってきてください」

「ええと、南洋群島・パンマ椰子の整備と椰子ガニの保護…って陛下?

 こんなの支援しているんだ。

 カプレス州山岳地帯の雪豹ほか絶滅危惧種の保護は、まぁ長官か、納得。

 王妃様がソニム州高原地帯の花耳兎の保護で

 …えっ?フローネ、ミマイ州の七色羊に関する特別賞って、何これ?」

「…いるのよ、そういう羊が。

 一見、普通に白い羊毛なんだけど、光に翳すと七色の光彩を放つの」

聞かれて、まんざらでもない様子で身振り手振りを交え説明してくれる。

意外に、と言っては失礼だが、フッサール伯爵夫人はモフモフ可愛いものが

好きらしい。


「ふーん、まぁ個人資産を何に使っても文句は言わないけど」

リアンは早速、七色羊・継続支援のための書類にフローネの署名(サイン)をもらった。


*** *** *** *** ***


エリエ宮の見慣れた一室に通されると、既に先客が来ていた。

こちらを見て立ち上がった女性は何と太王太后イルーネ。

第10代国王イランサの4番目の正妃で、王家最長老の御方だ。

現王である第12代国王ソランサにとっては義理の祖母にあたり、

キリル・ヒョウセツ・ミルケーネ公爵の生母でもある。


身分の低いリアンの方が先に入室していなければならないのにとんだ失態だ。

「これは、ご無礼をいたしました」

いくら茶会に行くのは嫌だとゴネていたとはいえ、太王太后を待たせるのは

非常にまずい。一昔前なら不敬罪で牢屋行きだ。


「何も無礼はありませんよ。貴女と少し二人きりでお話したくて、

 私が王妃に頼んだのです」

そう言うと、イルーネはリアンに近づき、金茶の前髪をそっと掻き上げた。


「本当だわ。額に跡が残っている」

それは2カ月ほど前、トマス州視察の際に逆上した村人から投石を受けて

できた傷跡だった。

顔半分が紅く染まるほど出血があり、一時は縫わなければと思うほど

だったが、驚くほど治りが良く、今では注意して見なければ分からない程だ。


「馬鹿なことをしたと…反省しています」


それは苦い教訓だった。

結局、リアンにできたことなどほんの僅かであった。

あとは国軍大将と内務省長官とフローネの父親であるアジヤ侯爵の功績だ。


イルーネが至近距離からリアンを観察するかのように見つめている。


正直に言おう。

リアンはこの老貴婦人が苦手であった。

嫌いな訳ではない。むしろ敬意を抱いてはいる。


ただ心の中を…それも自分でも把握できない部分までも読まれてしまいそうで、

戸惑ってしまうのだ。


と、同時に長官のご生母様であるからか、なぜか「負けたくない」という

反抗心が湧いてくる。王家最長老のお方に対して、実に不遜だが。


「赤の他人を助けるために動くのは、馬鹿なことではないわ

 …ただ無謀なことではあったわね」

「申し訳ありません」


長官には迷惑のかけ通しだった。グウタラ長官などと陰口を叩いていたが、

本当は自分の方が役立たずなことを、リアンは自覚している。


「キリルがね…どうしても貴女の傷跡を完全には消せないと言って、

 珍しく私のところに“お願い”に来たのよ」

くすくす笑う表情は悪戯好きな少女のようだ。

とても60過ぎの老夫人には見えない。

よくよく見れば灰色の髪も白髪とは少し違うようだった。


「人の身に干渉するのは慎まなければならないのだけど、私はもう巫女では

 ないし…可愛い一人息子の願いごとは聞いてあげたいじゃない?」

だからね…

そう言って、左手をリアンの傷に添わせると、一度だけゆっくり撫でた。

細波(さざなみ)のような波動が身体を包みこみ、リアンの中で溶けるように消えた。

この感覚は初めてではない。似たような波動を何度か経験している。


はっとして部屋の壁に嵌め込まれた鏡を覗きこむ。

かすかに残っていた傷跡が綺麗に消えていた。手で触ってみても全く違和感がない。


「巫女様の力…?」

冠婚葬祭の時くらいしか神殿に足を向けないリアンである。

今自分が体感したことを俄には信じられない。


「そんなご大層なものではないのだけれど」

太王太后は肩をすくめてみせた。

「昔はともかく、今はほんの少し治癒能力が残っているくらいなの」


「聖王家のお血筋というのは本当なのですね」

「…疑っていた?」

「いえ、そういう訳では。ただ、前王朝…聖王家に関する記録は

 あまり残っていないようですので分からなくて」

「…調べたの?」

「長官が時々、分厚い歴史書をご覧になっていることがありまして、

 どのようなものかと気になって…いえ、そのっ」

イルーネが淡々と尋ねるので、リアンもありのままを答えて

しまったのだが途中で焦りだす。

自治省次官としての職務から逸脱しているではないか。

上司が読んでいる本が“気になって”って、聞きようによっては…。


「キリルが好き?」

その質問は直球で飛んで来た。

もはや、「私も歴史ものに興味がありまして」などと逃げを打てなくなった。


王家最長老がリアンの答えを待っている。じっと見つめて待っている。

実に…気まずい。


中央官僚として、この場合の模範解答は何だろう。


模範解答その1「もちろん部下としてお慕いしています」

模範解答その2「もちろん部下として尊敬しています」

模範解答そのX「もちろん部下として…」


迷惑しています。困っています。

時々、邪魔です、うるさいです、うざったいです…。


(ダメだ)

嘘もつけないが、真実(ほんとう)のことも、ご生母さまにはとても言えない。

リアンは進退極まった。


イルーネは小さな笑い声を立てた。


「百面相になっているわよ、リアン。

 私はそんなに難しい質問をしてしまったかしら?

 では、質問を変えるわね」


まだこの尋問は続くのか。

何でだ?と思うも、相手は王家最長老だし、傷跡を消してもらった恩もあるし、

そもそも王妃様のお茶会に招かれたはずだし…リアンは動けないでいた。


「キリルはどんな存在だと思う?色に例えると何色?」

またまた謎のご下問である。

リアンは悩むのを止めて直感で答えることにした。


「ええと、良くも悪くもでっかい存在だと思います。

 色に例えるなら白でしょうか」

「ふうん。“でっかい”存在…確かに王国にとってはそうね」

「あ、いえ、私にとっては、という意味です」

上の空で補足してしまったリアンである。

イルーネが弾かれたように目を(みは)るのに気がつかない。


「どうして“白”なの?あの子の髪は黒で、瞳も藍色なのに。

 内務省長官として人に言えないこともたくさんしていて、

 白の印象(イメージ)には、程遠いでしょうに。

 …まぁ、確かに雪豹に例える貴族たちもいたけれど」

「ええと、雪豹とかではなく。白絹とか白磁のような手が思い浮かんで」

自分で言っておいて、リアンは恥ずかしくなる。


「自治省で初めてお会いした時、とても綺麗な手をしているな、と感じまして。

 働かない人の手なのでムッとしたんですけど、

 今では自治省でくらいはグウタラしていて欲しいと思っています」

内務省長官として“必要”と判断すれば、きっと彼は自らの手を

汚すこともを躊躇わない。

リアンからは小銃(カラス)を奪ったくせに、キリル自身はリアンの知らない所で

それを使っている。

嫌だ、と思う。自分だけ安全な所で守られているのは嫌だ。


「長官を助けることが私の仕事です」

最後にそうリアンは付け加えた。


「よく分かったわ、リアン」

何が分かったかサッパリだが、イルーネは満足しているようだった。

「ええと、それで茶会は?」

二人で話し初めてから随分時間が経っている。何で誰も来ないのだろう。


「ああ、ごめんなさい。別室に皆いるわよ?」


なんと。


「リアン」

イルーネがそれまでと違う厳かな雰囲気を(まと)って宣言する。

「キリルと貴女の婚約発表は時期尚早と判断しました」


爆弾発言である。

確かにトマス州視察では、キリル扮する内務省査察官から求婚されていたが。

王都に戻ってから、日常の忙しさにかまけて忘れていた…ふりをしていた。


「貴方もそれでいいですね?キリル」


今度こそ、リアンの心臓は止まった。

奥扉から滑り出てきたのは、藍色の瞳を煌めかせたミルケーネ公爵その人だ。


「…どの辺りから聞いていました?」

「“これは、ご無礼をいたしました”から」

つまりは最初からだ。


リアンは分かっていたけれど、イルーネとキリルが親子であることを

再確認した。二人して性質(たち)が悪い。


そしてイルーネの巫女としての神力が、キリルに多少なりとも

承継されていることを、改めて認識した。


「硝子で切った手の傷も、トマス州での頭の傷も長官が治してくれて

 いたんですね。道理で治りが早いと…でも大丈夫なんですか?

 神力は人の身には負担が大きいと聞いたことがありますが」


「…心配してくれるんだ」

キリルの口元が嬉しそうに綻ぶ。

「…当然です」

リアンの口元が悔しそうに歪む。


「私の心配はしてくれないのかしら?」

二人の世界が築かれる一歩手前で太王太后が割って入る。


「太王太后様、あの、その」

リアンがワタワタする。

「いろいろありがとうございます、母上」

キリルがリアンの手を取ったまま、イルーネに頭を下げる。


「見込はありますから、頑張りなさい」

「もちろんです」

見込?何を頑張る?

しかしリアンはやんごとなき親子の会話に口を挟むほど愚かではなかった。


別室では既に豪華な顔ぶれで、お茶会が行われていた。

長卓の向こう側には国王ソランサ陛下、王妃シャララさま、

王女マリンカさま、そして何と、王弟ワグナ殿下までいる

こちら側には太王太后イルーネさま、ミルケーネ公爵、リアン、

そしてフッサール伯爵夫人フローネ。


つまりは主だった王族が勢ぞろいしている訳で…リアンは自分が

かろうじて危機を脱したことに気がついた。


あのままイルーネが婚約に承諾(ゴーサイン)を与えていたら、

そのまま具体的計画(プラン)に向けて王族会議が始まりそうな勢いだったのだ。


リアンはイロイロ騙された気がして、いつにもまして凄い勢いで、

茶を飲み干し、焼き菓子とケーキにパクついた。


フローネが自治省次官の作法がなっていないと横から小言を連ねたが、

イルーネが連れてきた侍女シェリアがまたも絶妙な補助(サポート)をしてくれたので、

リアンは事なきを得た。


婚約発表が延期になった割に機嫌の良いキリルが

自治省から持たされた王族宛て書類に署名してもらう作業を手伝ってくれた。


国王、王妃に加え、マッカラ州における香木育成基金に太王太后が署名し、

ソン州での梅園作りの助成金にベリルが、

シアラ州砂漠地帯のサボテン保全基金にマリンカがそれぞれ署名した。

これにフッサール伯爵夫人の“七色羊”特別賞を加えて、全ての署名を

集めることに成功した。


かくて自治省政務次官はホクホクして自分の執務室に戻ったのであった。


という訳で、

リアンが栄養満点で回復力をアップさせていたのではなく、

キリルがお母さま譲りの治癒能力で治してくれていたことがようやく判明。


本物語は「魔法もの」ではないので、キリルの特殊能力がドーンと大きく

出てくることは、この先ないと思っていてください(たぶん)。


ファンタジーものはまた別の機会に書きたいな、と野心を燃やしつつ。




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