第62話:配信アーカイブ#481
:14層……ついにここまで来たか
:ここまで来たかっていうにはまだまだ浅瀬だぞ
:飛行船の群れを渡り歩いていかないといけない不思議ぷかぷかゾーン!!
:色とりどりの飛行船を渡り歩けって中々無茶言ってるよなこれ
「あははっ、本当なんでもありだねぇダンジョンってのは!!」
「……ウルタール、おんぶ。破りそうで怖い」
「あー……大丈夫よ。ここのは結構丈夫だし、謎の力で破けることはまず無いから」
:怖がってウルタールさんに抱き着いてる…
:そうだよね、チチェロちゃん手足が獣の爪だもんね。手の中に仕舞えないタイプの
:そりゃ怖いわこんな風船渡り歩くん
:Aみたいに剣片手にグングン行けるのがおかしいんだよなあ
「っと、敵出てきたよーウルタールー」
「チチェロ、大丈夫そう?」
「……ウルタールのことは守れると思う」
:もしかしてだけどチチェロちゃん高所恐怖症?
:いや大地も見えないところで飛行船の上乗って戦え言われたらみんなビビるでしょ
:というか敵……なんだこいつら
:乗客ゾンビですね。推定この飛行船の乗客がゾンビとなった魔物です
:こいつら価値はそこまでなんだよな……豪華なドレスとかタキシードとか着てるし宝石じゃらっじゃら身に着けてるけど
:宝石は高く売れないからな……商業ルート絞ってるせいでダンジョン産のは値が付かん
「んじゃ気にせずぶった切れまくれるねぇ!! ……あれっ、弱くない?」
:普通もうちょい躊躇するんだがな
:一歳の慈悲なく真っ二つに斬りやがった
:ぶっちゃけこの階層は一層と同じくらい弱いよ雑魚は
:いや下手したら一層より弱いかもしれん
「そんなことあるんだねぇ……」
「気を付けなさいよ、A。こいつらに噛みつかれたりしたらゾンビになっちゃうから」
「……やっぱそう上手くはいかないんだねぇ」
:バラしちゃうかー
:無限にわき続けるってだけで動き鈍いんだけど、ゾンビ感染しちゃうのがなー
:どういう訳か鬼還の腕輪が機能しにくいんだよな、ゾンビ化って
:ゾンビ化ってのを研究したことあるんだが、生体情報的には半分くらいの割合で生きてるって判断されちまうんだ。だから誤認しちゃうの
:糞敵ぃ!!
「うわーマジかー……思ったより厄介なダンジョンだね?」
「おまけに実入りが少ないのよね……燃え上がるは炎、フレイム!!」
:人間たいまつだー!!
:よく燃えてるんだけど本当に生きてるって判断されるんかこれ
:燃えても気にせず数歩くらいは歩くの見てると生きてるとはとても思えないな…
:生体反応って言っても要は電気信号やら血管の動きやらだから、それを再現してしまえばいくらでも誤魔化せるんだよ
「楽に、って訳ではないけど……サクサク進もっかー」
「そうね。処理は任せなさい」
:なんかもう怠い感じの流れ作業になっちゃってる
:ゾンビが出たら燃やすか切って殺す。近づかれる前に殺す
:噛みつかれたらマジで厄介だけど基本的にのろのろ動くだけだし対処は簡単なんよ。即死なだけで
:ぶっちゃけ殺す難度に関しちゃ一層の魔物よりやりやすいからな。ただ完全人間の形してるのがネックだけど
「あんまり歯ごたえ無いねー。起源サッカー!!」
「ここまで来られた冒険者だと、ねえ……」
:まるで七層以降は倫理観が無いみたいな言い方を!!
:ゾンビの頭でサッカーすんな倫理観子宮の中に置いてきたんか
:あんだけ死んだら倫理観の一つや二つ欠損するやろ
:すっごいスパスパ進んでいく…無双ゲーかな?
:確かにAくらいの頻度で死んでたら倫理観狂いそう
:冒険者引退して会社員やってるけど「こいつ面倒だし殺すか」が結構頭の中によぎるぞ
「うわあ職業病ー……!!」
「疑問なんだが、冒険者って稼げるのになんで普通に働くんだ? お金溜まってるだろ?」
「あっ、チチェロちゃんそれは……」
:あっそれは
:確かに、チチェロちゃんにとっての冒険者ってAとウルタールさんだけか……
:死ぬ恐怖から逃れるために酒暴食女に逃げるからやで
:破損した探索用道具新調してよし潜るぞってなった時にPTSD発症して動けなくなったりとかもあるから…
:普通投資に回す心の余裕無いんだよなあ
:後は人間と関わりたいってのがあるから働く人もいる。私とかその口だし。それで殺すかって頭よぎるから厄介なんだけど
「……色んな人間がいるんだな」
「そうよ、Aは割とおかしい側の人間ってこと忘れちゃ駄目だからね」
「ねえー酷くないー?」
「私はAの事好きだけど、一般常識は教えておかないといけないでしょ?」
:ウルタールさんAにがっつり惚れてるのにその言い草は草
:まあ客観的に見たら異常者だからなAって…
:女買いません酒飲みません薬もやりませんで死んでも気にせずダンジョン潜りながら株に金つぎ込む精神性の持ち主だからな……
:正直私が同じ条件で潜ったら数回で発狂すると思う
:通帳とか株の利益見てニヤニヤしてるのかと思ったらそういった話も聞かないし
:マジでどうやって死ぬ恐怖を乗り越えているのかわからん
「……えっ、ダンジョン潜るのって楽しくない?」
「これを素で言えちゃうのがAの凄いところよね」
「そういう風に調整されていないのにここまでの領域に至れるのは素直に凄い」
:いやあ勝てないわ
:そりゃトップも一目置くというか、ダンジョン探索においては勝てない言うわAには
:やっぱチチェロちゃんの口から出る情報がことごとく物騒なんだよなあ!!
:調整ってなに!? ねえチチェロちゃん!?
:ぶっちゃけAと同じメンタル持ってたらもっと探索できていた階層増えてただろうからなあ
:Aに協調性さえあればなあ……
「……そんなに物騒な事言ってた?」
「まるで僕に協調性無いみたいな……」
「まあ、組織には向いてないわよね……個人の付き合いならともかく」
「ねえみんな酷くない!?」
:そういう日常過ごしてますみたいな顔で普通にゾンビ殺せるところが異常なのよ
:ここに来慣れている最前線の人でも割と苦悶のというか、若干居心地悪そうな顔してるよ
:ゲームの時と違って躊躇しちゃうんだよなあ普通は
:やっぱおかしいんだよなあA
「あーもう! ボス部屋来たし早く抜けよう!! このままじゃ僕のメンタルがクライシスしちゃうよ!!」
「ふふっ、拗ねちゃってる拗ねちゃってる」
「……もしかしてだけど、このパーティーって異常者ばかりか?」
:お気づきになられましたか
:Aに着いていけてるウルタールさんも十分異常者側だからな
:下手しーチチェロちゃんが一番常識人まである
:おかしいなチチェロちゃんダンジョン側の人間の筈なのにな




