第53話:配信アーカイブ#456
:あれっ、Aの配信ついてる…?
:長いこと配信してなかったから死んだものかと思ってたけど
:長いこと(5日間)
:あの負傷で生き返る訳ないと思うんだけど…誰が配信してんの?乗っ取り?
:普通の冒険者なら死亡後5日間配信してなくてもまあ普通だけどAだからな
:ぶっちゃけ生き返ってもトラウマなるもんだと思ってた
「本物だよー。長いこと休止してたのはまあ、流石にちょっと休憩してたっていうか、させられてたっていうか……」
:ウルタールちゃんにでも捕まってたのかな
:PTSDって落ち着いてから発症しがちって聞くけど、こんな休憩取って大丈夫だったのか?
:若干腕鈍ってそうだがはたして
「そうだねー。腕は結構鈍ってると思うよ? だからリハビリがてらって感じで……抜け出してきちゃった」
:抜け出してきちゃったじゃねーよ!!
:ちょっと!Aなんでダンジョン潜ってるの!?
:あーウルタールさんに見つかったなこれは
:というかなんか速度上がってない?配信始めたばっかなのにもう中間地点突破しやがった
:慣れてきた、にしても動きがおかしい…電車かな?
「あっ気付いた? それがねー、なんかあれから生き返った後妙に体が軽いっていうか……ほら、足の速さも人間らしくない速度になってんだ」
:あー、蘇生強化入ったか
:とんでもない損傷から生き返ることができたらなんか身体能力すげぇパワーアップしたり、珍しいスキル手に入れたりしたりするって話は聞いたことあるな眉唾だけど
:あれだっけか、蘇生確率0.1%を乗り越えた者にだけダンジョンから贈り物のようなものを与えられるんだっけか
:普通あのまま死んでるくらいの傷だったのよ…なんでそんな生き生きと潜れるのよあんた…
:肉体の再構成時に足りない箇所を魔物の素材や魔力やらで作り直すからって話は聞いたことがある
:それって本当に人間の体なんですかね……?
「宝くじを当てちゃったって感じかなー?」
:随分物騒な宝くじですね…
:まあ実際、最前線を攻略し続けるには普通なら死んでる状態からの蘇生という号運を何度も引かないと不可能ではある
:運ゲーじゃねえか探索者って
:普通なら死ぬくらいの損傷から生き返って、そっから探索できるだけのバイタリティが必要だからな…なんだこのクソゲー
:割とマジでクソゲーだよ冒険者ってのは
:普通に死ぬ分も生き返る確率99%…生死の賭けに1%はあまりに大きい…
:その割に浅いところで納品するより稼げないからな奥地のは…
:だって日常に必要なのは六層までで揃うもん……
「あははっ、まあそういうもんだよねーっと。もうボス部屋だ……えっもうボス部屋!?」
:なんでお前が驚いてんだよ
:あれっこれ枠立てたの今日よね?なんでもうボス部屋いるの?慣れてても二日はかかる距離なのに
:蘇生強化入ったからってのにしてもちょっと強くなりすぎてる気がするなあ
:蘇生強化って、死体の魔力暴露量と質によってその伸び具合が変わるって話があるんだが……あのリビングアーマーの魔力とんでもなかったんじゃねえかもしかして
:あんなスタンピードを操ることができる魔物なんて早々いねぇもん、そりゃとんでもない奴よありゃ
「さて……と、今回潜ったのは、ちょっと試したいことがあるからなんだよねー。ということでゴキ、犠牲になってくれるかな」
:酷い略称だなあ
:ゴブリンキング、略してゴキ
:流石にその略し方は酷いと思います
:外見自体は人間サイズのゴブリンが山賊の恰好をした、っていう割とイケてる感じなんだが……弱いんだよなあこいつ
:試したいことってなんじゃい
「ちょっと新しいスキルを手に入れたっぽからねー、それの的になってもらおうと思って」
:可哀想になってくるな見てて
:攻撃避けるのにゴキを見てすらいないからな
:まあ……何度も潜るとこいつの攻撃慣れるし……
:ぶっちゃけ目隠ししててももう勝てる領域にいるからな冒険者によっては
:新しいスキル?そんなの手に入れる機会。。。あっ
:蘇生強化で手に入れやがったか
:大丈夫?あれで手に入るスキルって大抵癖が馬鹿みたいに強いのばっかだよ?
:蛇山とかチカちゃんとかも一応持ってるけど……使わないからな、扱い辛すぎて
「まっ、それの確認も兼ねてだ……ねっ!!」
:蹴り飛ばしたぁ!!
:ちょっと強化ありすぎじゃない?
:ゴキすっごい勢いで吹っ飛んでいったぞ
:ゴキって言うのやめたげてよぉ!!
「んじゃいくよー! えっと……こう、かな────ッッッッ!! ああああああああ痛い痛い痛い痛い!!」
:ちょっAそれなになになに怖い怖い怖い
:なんかすっごい痛そうなんですけど!?
:腕がねじ切れてる・・・いやねじ曲がってる?
:突然腕が黒くなったかと思ったら何が起きてるのこれ!?
:なんかボキボキバキバキ音鳴ってるんですけど!?
:これ右腕大丈夫かねマジで
:ねえA大丈夫な奴なのそれ!?血すっごい出てるけど大丈夫な奴なのそれ!?
:なんか、腕だけ図形変換で渦巻かせたみたいな感じに変形しておる…
:痛がってる場合じゃないぞゴキが迫ってきてるぞ!!
「……あー……これもう二度と使わない……」
:うわなにこれ
:ドラゴンの顔?
:真っ黒いドラゴンの顔上半分を上下にくっ付けたみたいな…
:気持ち悪っ
:これ発動すると何がどうメリットあるの
「うーん……とりあえず、っらぁ!!」
:殴ったぁ!?
:その腕って殴る為のものかなあ!?
:あっでもサーベル……ごと飲み込んだ!!
:その腕のドラゴンちゃんと動くんだ、、、
:うわあ、腕ごとゴキを捕まえたよ
「……このまま魔法を使うといいのかな」
:魔法を!?このまま!?
:もしかしてこのスキルの本質って魔法の強化なのか?
:まあ腕がドラゴンになったからってそれだけで戦闘能力が上がるもんでもないとは思っていたが
:もしかしたら魔法使い全員欲しがる能力かもなこれ
:変形時にAがあんなに痛がってたの見たら、どんな性能だろうと絶対欲しくないってなるわ……
「純魔の大剣──!?」
:うおっまぶしっ
:あれ、ゴキは?
:ゴキの姿が無い
:どこにいるかわかんねぇよ!
:なにその太いの…ロケットの炎じゃん
:おかしい!範囲がおかしいって!!どこまで伸びてるのそれ!?
:あきらか過剰火力だな。。。
:悲鳴上げる間もなく蒸発しちゃった、、、
:上に向けててよかったなマジで、下手したら階段ぶっ壊してたぞ
「……二度と使うことはないかな、これ」
:うんうんそうしとき
:ちょっと流石に…ねえ…?
:火力が上がり過ぎちゃってるもんな
:強すぎる力って扱いに困るよな
:素材が消滅しちゃうしね…
:こんなんどう使えっていうんだ
:私いらないわこのスキル




