第5話:配信アーカイブ#295
:草原、林道、森の中に伸びる城壁、と来て森か
:そうか三層って城壁メインか
:Aの配信見てたら三層から森ってイメージになるよね
:うっそうと茂った、というか暗い森だなあ
:というかAの配信は基本森だから…
:1~6層以外は探索しませんの?
「7層以降は僕じゃ依頼を受けられないからねえ。ソロで活動できるのは六層までがギリのギリなのさ」
:はえー
:まあ危険だしね、ソロ冒険者って
:安心して眠ることもできんからなあ
:見張り役いねぇってのがちょっとキツすぎる
:普通は三層でもソロで潜る人いねぇんだけどな
「まあ報酬はがっつり独り占めできるから、これでも下手な前線攻略者より稼げてはいる筈なんだけどね」
:「筈」って……
:Aって基本探索にしかお金使わないからな
:普通の冒険者は金銭感覚狂うものだがAは優先順位が狂っておる
:この人探索以外は何してんだろ
「何もしないをしてるよ……っと、早速」
:えっなにか来た?
:何も見えない。暗い
:若干気が揺れたような…?
:なんか飛んで
:普通に避けるんじゃねえよ意識外からの攻撃をよ
「引っ張り出してみようか」
:はい出ましたナイフ投げ
:木々の中に飲み込まれてるみてぇだな
「よっと」
:なんかつり出されたぁ!?
:クラヤミナゲザルですね。主に森のような高所を取れる箇所に姿を現す猿型の魔物です。野球選手のような速度で石や鉄鉱石を投げて獲物を仕留めるのが特徴的ですね。ちなみに肉は少し臭みはありますが赤身が多めなのでダイエットに最適です。
:猿系魔物ってあんな魚みてぇに釣りだせるもんじゃねえ筈なんだけど
:普通猿の握力で対抗されるもんだからな、そこを他の猿に狙われて死ぬのが普通よ
:ダイエットに最適でもあたし猿は食べたくないなあ
「とまあこんな感じに不意打ちされるから気を付けようね」
:魔物とはいえ猿とはいえためらいなく首の骨へし折ったな
:やっぱゴブリンもだけど人間に近い分、来るもんがあるね
:こういうのに抵抗が無いのも冒険者の才能の一つなんだけどねえ
:子供うっさいって思った時にやっちゃいそうで子供作れなさそうなんだよなああたし、というかあたしの周りの女性冒険者全員
:うわあ職業病
「んじゃまあ、これら蹴散らしながら進むとしよっか。生でもいけるなこれ」
:あのさあ、サトウキビみたいに猿の皮剥がしてノータイムで食べるのやめよう!!
:良い子のみんなは真似しないでくださいね
:Aって状況によったら食人も躊躇わなさそうで怖い
:実際やったことあるしやらせたことあるんだよなあ、過去配信で
:鬼還の腕輪無しで極限状態だったから仕方なかったとはいえあれはびっくりした
:登録者ごっそり減ったからなあれで
「えーっと、ここと、ここに、こうっと」
:虫感覚で落とすじゃん猿を
:入れ食いだねえ、納品用アイテムポーチに詰め込むねえ
:自動で転送されて換金されるから便利よねあれ
:処理班今どうなってるか心配。人型の魔物納品されたらノイローゼなる人結構いるらしいから
「来たじゃん……虫の話したから来たじゃん!!」
:羽の生えたムカデ!羽の生えたムカデじゃないか!!
:でっか、やっば、こっわ
:フライングセンティピードですね。それなりの速度で空を飛び口から毒針を発射してきます。毒針自体は結構な額が付くのですが、厄介なことにその毒は特殊なフェロモンを放出しているため同種を呼んでしまいます。
:あたしあれに殺されて生きたままバリバリ腕食べられたんだよね
:麻痺毒で魔痺毒だからなあ、魔力注入封じられたら鬼還の腕輪を起動させることもできねぇし
:毒消し使っても完全無効化できないのほんとひで
:あれに襲われたら救助待つしかねぇもんな
「……これで注意引けたりしないかな」
:猿の死体を投げるな
:ウキー!ウキキー!!
:まあ倫理観殺さないと生きていけないから…ダンジョンは…
:猿もよう配信を見とる
:コメント打てるとか知能が高いな…
「ねぇー引っかかってよー!」
:ガン無視で草
:肉食いに来たって訳じゃなさそう
:Aよ何か襲われるのに心当たりはないか
:心当たりなんてありすぎるんだよなあ…どんだけダンジョン潜ってると思ってんだこいつ
:フライングセンティピードは警戒心が強く、一番脅威と認識した相手を確実に仕留めに来ますからね。死体程度では釣られることはありません
「……仕方ない、面倒だけど」
:おおージャンプした。
;当然のように上に乗るよねAは
:上級探索者なったらあれができんと生きていけんのだろう
:あれ基準にされて困ってんだよなあ、できるかあんなん
:踏み台にして攻撃避ける、くらいならあるけど……
「大百足は、こう!」
:すれ違いざまに胴体にナイフぶっ刺して二枚おろしはやっぱおかしいって
:フライングセンティピードは重量がありますので、一度加速が付いたら止まれないんですよね
:だからって理から外れすぎてるんだよなあ
:迫ってきてるよ二匹目!
:流石にAも不味いか!?
:……あれ
:普通に避けた
:ぐるぐるジャンプで牙潜り抜けて体に着地してってなんだその曲芸
:しかもそのまんま体にナイフ突き立てて真っ二つって…
「三匹目は……あれ?」
:逃げてった
:俺あいつの言葉わかんないけどわかるよ、勝ち目無いって思ったんだろ
:俺だって勝てる気しねぇもん
「これもう回収しちゃって大丈夫かな?」
:いいと思う
:フライングセンティピードは勝てないと判断した相手にはまず挑みませんからね。少なくとも逃げたあれは放置していて大丈夫なはずです
:つうか何回も戦ったんだからある程度仕様は分かるだろ
「しょうがないでしょここに来るの久しぶりだったんだから! もう覚えてないよ!!」
:あーた#175の時にここ来たでしょうが!!
:最近…最近…?
:久しぶりか最近か判断に分かれる範囲だな
「全く……んじゃちょちょいと回収するから待っててねみんな」
:はーい
:わかりました
:あれ普通にできる芸当なんです?
:あれってどれ?
:大百足に対する回避行動とカウンター
;ナイフで肉薄して切り殺すってのがまず無理
:牙の間をジャンプで潜り込むとか正気のやり方じゃないわ!
:百足の体を道路みてぇに走るとかなにそれ、うねる足場であんな速度出ねぇよ
:こればっかりはスキルじゃどうにもならねぇ腕前の話になるからな
:鷹の目のみでやれる芸当じゃねえ
:そもそもあれ戦闘用スキルじゃねえんだよなあ
「牙以外売り物にならないんだよねぇムカデって……」
:納品お待ちしております\40,000魔獣素材研究所
:いつもスパチャ投げてるな魔獣素材研究所
:五万円で資産価値五百万の魔獣の素材が安定供給されるならボロ儲けだし…
:いつ聞いても呆れかえる魔物素材の値段
「まあ売り物が少ない分解体の手間が省けて助かるけどもね」
:大百足退治した後に出る感想がそれかあ
:やっぱA頭おかしいわ
:上級冒険者でも死を覚悟するもんですよ大百足って
「まずはー、っと首のところにナイフを刺して……こう、ぐいっと」
:おおー外れた
:百足の鱗?外殻?って売れないんすか?
:加工が難しいんで即席の鎧にすることはあるがって感じだな
:酸化が進みやすいんだよな死んだ後の大百足って
「取り外したら、足を二本頂いて……毒ヅメにカバーとして付けて、切り取った触覚で強く縛って……と、ほい」
:なんか……雑じゃない?
:それで納品用アイテムポーチぶち込んでいいの?
:ダクトテープとか梱包で下手に包み込むよりはありがたいですね
:魔物素材仕分けする身としてはもうちょい安全性の方を……いや人工物の付着物とか気にせず処理できるのはありがたいんだけどね?
:本来なら分厚い皮手袋くらいやった方がいいよ安全面からして
「まあ……死ぬときは死ぬから、そこまで安全性気にしてもね」
:死んでも気にしないお前が異常すぎるんだよ!




