第26話:配信アーカイブ#381
「なんか……ボスのバリエーションおかしくない? 急にネタ切れ感が……」
「それは私もちょっと思ったわ」
:実際見た目同じで武器だけ違うってだけだもんな
:景色も代わり映えしなければボスも正直代わり映えしねぇもんな
:なんでゲームの使いまわしをリアルでも見なきゃいけないんだ
:八層は大剣の物理特化、九層は魔法剣士、で十層目がなあ……
「ボスラッシュ、だもんねぇ。確かに連戦はちょっとキツかったけど……」
「死にまくったものね……何回死んだかしら」
「二桁は行ってる」
:いくら短期間で何度も挑みまくってるとはいえ結構時間かかったな
:どうしても一度の探索が長くなってしまうからな
:まあ冒険者の配信ってそういうもんよね
:最終的に切り抜きでしか見なくなるのあるある
:AI様様だわ
「まあお陰でお金はかなりのペースで増えていって嬉しいんだけどねえ」
「こんな深くまで潜ってお金の為に働いてるのもAくらいなものよ」
:先生の躯に腰掛けながらしみじみ言わないで
:なんか俺達が悪いことしてるみたいに見えてくる
:まあ実際……住処に踏み込んで好き勝手荒らしまわっているのは俺らではあるんだが……
:そういや七層から十層までで大体どれぐらい稼げるのん?
「四千万ちょい、かな? 三人で探索してるからね、三人で分けてもかなりのものになるよ」
:マジかそんなに稼げるのか
:やっぱダンジョン探索者って夢あるよなあ
:まあ金になるのは2層からではあるんだが…1層の素材は全然価値無いし
:ってことはやっぱ税金とか凄いんじゃね?あっその為の株か
「いや実際は蘇生費とか探索の道具とかで全然残らないよ、経費で落とせはするけど」
「そうなのよねぇ……基本自転車操業な中それなりに稼いでるってだけで、結局手元に残るのは……スパチャもこみこみで月三百万くらい?」
「その倍くらいは残らないか?」
:それでもまあまあ……数か月死ぬ目にあってそれは割高なのか?
:いやぶっちゃけかなり安い。正直割に合ってないレベル
:確かに高所得ではある、あるんだけど……俺達でもやれなくはない程度ではある
:装備とかがっつり安いのを揃えてでもそんくらいしか手元に残らねぇんか
:割と夢がねぇな300~600万って
:ほら、Aって装備はともかく死亡率がね……
:装備に金かけまくってる蛇山より手元に残るの少ないんだ…
:ぶっちゃけ高い装備揃えるより何十回と死んだ方が高く付くからな
:案外儲からないの悲しい
「案外世知辛い世界だからねぇ」
「いや普通に冒険している分だとそこまで蘇生費高く付かないわよ?」
「A、他の冒険者の三倍のペースで死んでる」
:そりゃ貯まらねぇわ!!
:三倍ってお前…死亡率高いチカちゃんとこでも1.5倍くらいだぞ蘇生費…
:普通ここまで死ねないからな
:つうかそれでも三百万稼げるのかよやっぱ夢のある仕事じゃねえか
:死ぬのに慣れないとキツいからなあ、私は遠慮しておきます
:Aのペースでってなると…死亡して半日後にはダンジョンに潜る感じ?
「流石に装備の買い直しとかあるからもうちょいかな、一日くらい?」
「丸飲みとか、装備が無事な状態だと生き返って即潜り直してた」
「Aのその精神スタミナどうなってるのよ……」
:無理
:そういやあったなあ、死んだと思ったら1時間後に配信再開したの
:雑談配信でもするんかなーって思って開いたらがっつりダンジョン探索してて恐怖した
:何なの、この人。。。
「Aはおかしいのよ」
「……まあまあ。それよりもさ、ぼちぼち疲れも取れたし次の階層行こうよ」
「……そうね。いつまでも雑談枠ばかりやってても仕方ないし。行きましょ」
「やっとか」
:話逸らしたな
:実際否定できないからな
:Aもどことなく自分の事異常だと認知している節があるからなあ
:同類も後継者も全く出てこないからなあ、Aの
:Aの再来!言われてた冒険者が死亡後2日であきらかトラウマ克服できてない様子なのにダンジョン潜ってるのは何度か見た
:何度もエグい殺され方してて普通の人間が平常心で潜れる訳ねぇもん
「ウルタールは何度か来たことあるのか? 十層以降」
「ええ。十三階層までは潜った事あるわ。そこであなたと一緒に潜っているAを見て急いで抜けてきたって訳」
「そういう経緯だったの!? 申し訳ないことしたなあ、魔女の一撃さんには」
:そう!マジでそう!!でも背中を押すしかなかったのよね
:ぶっちゃけかなり痛手だったけどあんな青春魅せられたら
:魔女の一撃さんも見てるのかこの配信
:結構上位勢もチェックしてるからな
:多分チカちゃんも見てる。怖いから
:……A、気のせいかすごいワクワクしてる
「あっわかる? 始めてダンジョンに潜った時みたいに、今すっごいドキドキしてる……!!」
「……これを生で見られたってだけで、魔女の一撃抜けた価値あったわ」
「まだまだ序盤も序盤」
:全然マップ埋めしてくれなくなったのは辛いけど、こんな子供みたいな笑顔見せられたら責められん
:ずーっと六層でくすぶってばかりだったものねぇ、A
:それでも腐らず今日まで活動続けてくれて……あたし泣きそうだよ
:ようやく二桁層か、長かったなあ…初期の頃から追ってるから感慨深い
:まさかここまで大きなチャンネルなるとはなあ
:6階層までのダンジョン探索だけでチャンネル登録者4000人突破してるもんなA
:同時視聴者数はともかく再生数の伸びも凄いからなA、ぶっちゃけ下手な万登録者の探索者より再生数持ってるのあるし
「まあ長い分どうしてもねえ……っと、出た……うわあ。うわあ……すっごい! 凄いすっごいすっごい!!」
「何の反応……可愛いわね……」
「こうなってたか」
:ぴょんぴょん跳ねて喜ぶんじゃねえよ可愛いなあ!!
:でもわかるよ、テンション上がるよね十階層の景色
:ぶっちゃけ何度来てもここは最高にテンション上がる
:いいよね、目の前に広がる星空と浮島、足元に流れる雲の海
:石製の橋がかかってるのがこう、分かってるなあってなる
:チチェロちゃんはクールだね
:ウルタールさんの目が怖いんですがそれは
:高所恐怖症だから見ているだけで怖いんだが
「いやあネタバレ踏まずに配信見るの我慢したかいがあったよ! すっごい綺麗!! あははっ、いいねぇ!! 最高!!」
「ヤバいAの過剰摂取でちょっと精神ヤバい何の反応無理、ヤバい死ぬ」
「ここも外道はあるんだろうか」
:すげぇな誰一人同じ方向見てねぇ
:Aはダンジョンを、ウルタールさんはAを、チチェロちゃんは……冷静に横道探そうとしてる
:魔女の一撃にいた頃はまともだったのにねえこの子
:ショタコン?いやAは成人男性だからショタではないですかね
:あたしも気持ちはわかる
「よっしそれじゃあ行こっか!!」
「A、ちょっと待て」
「どうしたのチチェロ? 折角新天地なんだよ? 早く行かなきゃ!! ねえ!!」
「……ウルタールが落ち着くのを待ってやれ」
「ごめんすぐ興奮抑えるからちょっと待って……ふう、はあ、スゥー……うん、よし。行きましょう、A」
:キリッとしても遅いんだよなあ何もかもが
:どこで教育間違えたのかしら…
:戦闘技術だけ教え込んだ結果がこちらです
:最初はウルタールさんのが心配だったけど今はAのが心配になってきたぞ




