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ダンジョン配信に憑りつかれた男の娘~何万回死んでも潜り続ける、そこにダンジョンがあるから~  作者: プラン9


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16/20

第16話:配信アーカイブ#307

「……なんてことがあってねぇ。いやあ、ただでさえ少なかった貯金がかなりヤバくなってきた! あっはっはっはっ!!」


:笑いごとじゃねえ

:なんで手首斬り飛ばされて笑ってんだこの人

:絶対笑い話で話す内容ではない

:というか蘇生費用そんなかかったのか、結構稼いでるだろうに

:ほぼ投資にぶち込み&未知の住人を蘇生検疫&納品用アイテムポーチ紛失だからなあ、馬鹿みたいに高く付いたろこれ

:一番金飛んでいったのは間違いなく納品用アイテムポーチだな。あれ無くして借金抱える冒険者の多いこと多いこと……


「という訳で新メンバーが加わる事になったよー。今後はチチェロちゃん……くん? と一緒にダンジョン探索していこうと思う」

「よろしく」


:きゃわわ

:えっなにこの獣爪!? 獣脚!? 可愛い!!

:薄い本から飛び出して来た人間の欲望の具現化か?

:灰色の異形肌に蛇の目にケモ手足って性癖の塊すぎない?

:歪む!性癖が歪む!!


「……不思議なものを考えるな、Aと同じ種族の人間は。幽霊を使役してやることがこれとは」

「不正への対策にはこれが一番良いんだって。防犯の側面もあるし」

「ふぅーん……」


:おっダンジョン探索初心者か?

:聞いた感じだと別世界から来たっぽい?

:ダンジョンで見つけた死体を蘇生させたって経緯だからそりゃ知らないわな、ダンジョン配信なんて文化

:ぶっちゃけ冒険者の死ぬ姿見たり魔物殺す姿見たりと悪趣味に分類される趣味だしなこのジャンルって


「今日は軽く肩慣らしで一層だけ潜る予定だから、そこまで緊張しなくていいよ」

「大丈夫、していない。ただ、ここは魔力が薄いから本気は出せない」


:魔力に濃いも薄いもあるんか?

:濃すぎると人間死ぬんですが

:薄い分はともかく濃いとね……前回のAみたいになるからね……

:やっぱチチェロちゃんって俺達とは別世界の人間なんだなあ

:やっぱあれ魔力の濃いところにぶち込まれたからああなったんか


「本気出せないかあ……本気出せなくて死んでも鍛えればいいだけだし、あまり気負わずいこっか」

「……死ぬのは怖いものだと思う」


:正論

:マジそれ

:こいつがおかしいんだよなマジで

:死んだ翌日にダンジョン潜るとか正気じゃないっつうの!!

:あまりに死を軽視しすぎてる…

:これで最前線で死にまくってるんだから意味がわかんねぇわ


「とりあえず……あれと闘ってみよっか」


:早速一層の魔物が出てきたか

:鹿ですね

:ダンジョン鹿呼んでる奴か

:普通の鹿より角がアイスピックみてぇになってるだけの奴

:いうて普通の鹿も結構狂暴だけどね

:基本2~3匹で行動するのが厄介なんだよなダンジョン鹿

:油断してない時は基本勝てるけど油断してたら死ぬバランスだからなベテランでも


「……何匹?」

「とりあえず二匹かなー?」

「了解」


:おっチチェロちゃんの初戦闘

:どうやって戦うんだろ、武器持ってない……いや爪があるか

:頷くの可愛い、弟にしたい

:くりっくりの目だな、おねショタじゃん

:Aは男だぞ

:基本は潜りたての武道家みたいなたた

:尻尾伸びた!?

:いやなん、えっ? なんか刃みたいなのがジャキンって出たんだけど!?

:おおーすげぇ、ミサイルみてぇに鹿の首に……

:一歩も動かず鹿を仕留めやがった……

:鹿も何が起こったか気付いてないぞ

:あっ逃げた

:鹿の首が落ちた音で気付いて逃げた

:うおっ足斬りおった

:ちゃんと二撃目で首を刎ね飛ばすの偉い


「終わった」

「とりあえず落ちている鹿の首拾って、このアイテムポーチに入れる。そうすると自動で納品されるから」

「わかった」


:普段のAならスルーする奴だよなダンジョン鹿って

:まあ今は金無いらしいからなあ。株もいくらか売ったって呟いてたし

:鹿の角はインテリアとか、あと漢方にもいいんだよな

:夜のお世話になってます

:ダンジョン鹿のは効き目かなりすごいからな


「……入るの?」

「吸い込まれるように入るから大丈夫だよー」


:両手で鹿の生首持ってるの可愛いけど怖い

:そうだよね最初は入ると思えないよねアイテムポーチに

:初心者あるある~アイテムポーチの口に合わせて魔物の素材を斬りがち

:正直ギルド職員がアイテムポーチの実演動画出してくれるまで細かく刻んで入れてたわ……


「おおっ」

「ねっ、入ったでしょ? ……よし、んじゃ次は解体を覚えよっか」

「了解」


:余計なことせず言われたことだけするの優秀

:あの尻尾無しでもウチのメンバーに加えたいな

:新人って余計なことしがちだからね……

:ナイフ持ちにくそうで可愛い


「爪使ってもいいよ?」

「……これは綺麗に解体するのに向かない」

「最初はみんな汚いものだって。やっていけば綺麗に解体できるようになるし、ならなかったらその時は……僕が代わりにやるから」


:いい上司

:やってみせ 言って聞かせて させてみせ ほめてやらねば 人は動かじ

:山本五十六もよう見とる

:Aって戦闘センスはともかく、解体に関しては万人が参考に出来るくらい丁寧にやるから好き

:魔物解体まとめ動画よく見てる


「あはは、ありがとねーみんなー。まず血抜きは……あの木がいいかな、あそこに吊るそう」

「血抜き……やってみたいことがある、やってみていい?」

「ん? いいよー」


:やってみたいこと?

:なんだろやってみたいことって

:しかしAの声がすっごい優しいな

:人に教えるの結構好きだからなAって


「……その尻尾どうすんの?」


:尻尾の先端からも刃が出るんだ…

:スライドするように出るのカッケーよなーいいなー

:横広がりじゃなくて貫き手みたいな形にしたけど自由に動かせるんかあの刃

:いったいなにするんだろ


「足にこれを突き刺して、圧縮した空気を送り込む。これで一気に血を噴出させる」

「……そんなことできるの!?」

「……多分」


:圧縮した空気を送り込む!?

:何そのトンデモギミック!?

:生物として上位すぎないかチチェロ!?

:うわっ足に突き刺した…

:でも空気ってどうやって…

:尻尾の刃がエアコンのフィルターみたいに展開した…器用だなあ


「後ろに」

「どうやるんだろ……気になる」


:すっごいワクワクしてるなA

:こういう状態のAを見るの久しぶりだ

:6層がソロ立ち入り禁止になってからはもうルーティーンでやってたとこあったからな

:尻尾でどうやって血抜きするんだろ

:尻尾の先端を足にぶっ刺した!?


「勢いよく空気を送り込んだら、血が全部出ていかないかな?」

「なるほど、尻にエアダスター突っ込むのと同じ原理だね」

「……尻に?」


:やめんかその例え

:すっごい怪訝な顔してる、チチェロちゃんすごい怪訝な顔してる!!

:ネットの非常識に毒されていて気付かないが、一般的にケツに何かぶち込むのは異常性癖なのである

:エアダスターを人間のお尻に突っ込むのは……やめようね!!

:毒されていても普通に気付け


「よくわかんないけど……とりあえず、やってみる」


:おおっ!先端以外の尻尾が羽根みたいに広がった!!

:可変式の尻尾いいなあ、カッケェ

:……もしかしてチチェロちゃんの尻尾って、魚のエラみたいに空気を取り込めるのか?

:普通に鼻で呼吸している様子だったし空気以外の何か取り込んでるのかもな


「……はっ!!」

「おお」


:何がおおだ

:首の断面からところてんみてぇに血が噴き出た!

:水鉄砲みたいに血が弧を描いてる…こんなのできるんだ

:これ首の断面のところに瓶置いておいたら自動で血が貯められるから便利だな

:なんとか魔法で再現できねぇかなこれ

:もう血が噴き出なくなった

:すげぇ!あっという間じゃん!!

:三十秒くらいで血抜き完璧に終わらせるって革命じゃんね


「……上手くいけた」

「凄い凄い! へぇー、あんなのできるんだ……もう一頭のもお願いしていい?」

「了解」

「……ヤバいなあ、駄目になりそう」


:便利の味を知ってしまったか

:得意げなチチェロちゃん可愛い

:いや本当便利だなチチェロちゃん

:ウチにも一人欲しいなあ

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