第10話「夢の続きを、ふたりで」
――5月。
GRT48アリーナツアー・千秋楽。
8万人が詰めかけた東京ドームのセンターステージに立つのは、もちろん理恵。
そして、客席最前列。
黒い帽子を目深に被った観客が、じっとその姿を見つめていた。
「……来たよ、理恵。ちゃんと見てるから」
知恵の小さな声は、周囲の歓声に飲まれながらも確かに届いた。
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■Scene1:ライブの熱狂、ステージの輝き
理恵のラストパフォーマンス曲は、GRT48の新曲『未来の軌跡』。
センターに立ち、マイクを握る姿は、かつての妹の面影を完全に超えていた。
(私は、ただの妹じゃない。
お姉ちゃんに“見られても恥ずかしくない私”として、立ってる)
曲のラスト、理恵がマイクを外して叫んだ。
「すべての夢に、ありがとう! そして――これからも見ててください!!」
会場が揺れた。
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■Scene2:同時刻、対局後のサプライズ
ライブと同時刻、全国麻雀タイトル戦の授賞式会場。
知恵は前回大会優勝者として表彰を受け、インタビューでこう語った。
「私は、舞台には立てません。
でも、牌を通して“夢の形”を見せ続けていきたいと思います」
その直後、主催者の一人が壇上で発表を始めた。
「ここで、もうひとつ発表があります。
来年度の麻雀×エンタメ融合プロジェクト『Dream Stage』――
その、初代メインキャストに就任するのは……
安川知恵さん、そしてGRT48・安川理恵さんです!」
会場がざわめく。
知恵は驚いた表情で一度後ろを向き、深く息を吐いてから振り返った。
「……私たち、ふたりで?」
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■Scene3:再会の控室にて
ライブ終演後の控室。
理恵がステージ衣装のままドアを開けると、そこに立っていたのは知恵。
「来てくれてたんだ……!」
「ライブの終わりくらい、ちゃんと見届けるよ。
……あんたの“勝負服”、見たことなかったし」
理恵は涙をこらえながら笑った。
「……ねぇ、“Dream Stage”の話、聞いた?」
「うん。まさか一緒にって言われるとは思わなかったけどね」
「やってみる? 初めて“同じ舞台”で、同じ時間、同じ景色」
「やってみよう。……理恵となら、怖くない」
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■Scene4:プロジェクト発表会見
後日、記者会見。
知恵は淡いグレーのスーツ、理恵はステージ衣装に身を包み、ふたりで並んで登壇。
記者:
「異色のコラボですね。“プロ雀士とセンターアイドル”という」
知恵:
「異色かもしれません。でも、私たちにとっては自然な流れです。
理恵となら、牌の世界もステージの世界もつなげられる気がして」
理恵:
「夢って、いつもひとつじゃなくていいと思うんです。
お姉ちゃんが歩んできた道、私が立ってきた場所――
その両方を、見せていきたいです」
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■ラストシーン:夜の帰り道
会見を終え、姉妹で歩く帰り道。
街灯の下、ふたりの影がひとつに重なる。
「……なんか、私たち、ここから“また始まる”って感じだね」
「うん。でも今度は、並んでいける。
“あんたのマネージャー”でも、“センターの妹”でもない。
ふたりでひとつの“物語”として」
ふたりは顔を見合わせ、微笑んだ。
その目の先には、まだ見ぬ新しい“舞台”が広がっていた。
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■エピローグ
SNSではふたりの会見の様子が話題沸騰。
「ついに姉妹ユニット誕生!?」
「安川姉妹、泣ける…」
「夢の続きをふたりで追いかけるって、最高のエンディングじゃん」
エンディングは、次の始まり。
安川知恵と理恵――ふたりの“物語”は、これからも続いていく。
『人気アイドル雀士2 ―ふたりで追いかける夢の続きを―』完
次はシーズン3『Dream Stage編』をお送りします。
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