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『人気アイドル雀士』  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『人気アイドル雀士2 ―ふたりで追いかける夢の続きを―』
21/35

第8話「メディアと静寂、姉妹の距離」




――ある朝。

知恵が目覚めると、キッチンには理恵の置き手紙があった。


「朝イチでテレビ収録、夜はトーク番組の打ち合わせ。

ごはんは冷蔵庫に入ってるね!行ってきます」


(……最近、会話してないかも)


理恵の写真集は発売初週で5万部突破。

GRT史上初の“ソロ・ナチュラルグラビア”として話題となり、各誌から取材が殺到していた。


■Scene1:知恵に届いた“CM契約書”


その日、知恵のもとに大手食品会社から「キムチ」のCM出演オファーが届く。

テーマは“勝負めし”。彼女の強さと美しさを活かした企画だった。


「安川さん、あの勝負の後の表情がすごく反響ありまして。

“気迫の瞳”って、SNSでトレンドになったんですよ」


だが知恵は一瞬、表情を曇らせた。


「……私、麻雀以外で“映る顔”にまだ自信ないんです」


マネージャーは答える。


「その言葉すら、“芯がある”ってことです。

でも、無理にとは言いません。じっくり考えてください」


■Scene2:理恵、収録現場にて


テレビ局のバラエティ番組。


「センターとしての重圧って、ありますか?」


理恵は笑顔で答えた。


「“居場所を守る”っていうより、“意味をつくる”ことが一番大事かなって。

私がここに立ってる理由を、ちゃんと毎回見せたいんです」


共演者から拍手が起きた。


その様子が翌日、ワイドショーに取り上げられ、

『コメント力すごい』『芯の強さが顔に出てる』とSNSで話題に。


だが、理恵は帰宅後ひとり、鏡を見つめていた。


「……ちゃんと“自分”で話せてるのかな」


■Scene3:姉妹のすれ違い


夜23時すぎ。

理恵が帰宅すると、知恵は既に眠っていた。


一方、知恵が夜食を温めながら、ふとカレンダーを見る。


(……明日、理恵の新CM発表会見か)


「会いたいって思っても、忙しさに流されるんだよね、こういうのって」


言葉に出しても、返事はない。


■Scene4:静かな朝、交わらぬ時間


次の日の朝。

珍しく知恵が早起きし、朝食を用意した。


だが、理恵は収録のために早朝に家を出ていた。


テーブルの上には、理恵の走り書きメモ。


「ごはんありがとう!帰ったら食べるね!」


知恵は小さく笑い、スマホでメッセージを送る。


「一緒にごはん食べる時間、またつくろうね。

たまには、麻雀もやろ」



■ラストシーン:インタビュー記事、それぞれの言葉


その週、ふたりそれぞれのインタビュー記事が公開された。


◇知恵の記事(プロ雀士専門誌):


「勝った後こそ、静かでいい。勝負の世界は、“うるさい言葉”がないほうが冴えるから」


◇理恵の記事(エンタメ週刊誌):


「今の私は、ステージの光を借りて生きてる。

でも、いつかは“光をつくる人”になりたい」


ふたりの名前は、別々のジャンルで輝き始めていた。

交わらぬ時間のなかで、それでも確かに“つながっている”姉妹として。


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