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『人気アイドル雀士』  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『人気アイドル雀士2 ―ふたりで追いかける夢の続きを―』
17/35

第4話「表紙と本戦、二人の光」



――ある朝。

理恵はいつものようにマネージャーの知恵と朝食を取っていた。

テレビには自身が出演した音楽番組の再放送が映る。


「……お姉ちゃん、実はね……今日、これが発売されるの」


そう言って理恵が差し出したのは――

週刊ガールズグラビア誌『Flash Pure』の最新号。

その表紙に写っていたのは、

鮮やかな春色の衣装に身を包んだ、妹・安川理恵。


《センター就任記念グラビア! GRT48 安川理恵 単独表紙》


知恵は数秒、黙ったまま見つめてから、ぽつりとつぶやいた。


「……あんた、本当に“センターの顔”になったんだね」


理恵は照れたように笑う。


「でも、いつも私の中には“マネージャーのお姉ちゃん”がいるから、

気が抜けないんだよ? 見られてる気がして」


知恵はコーヒーをひとくち飲んで微笑んだ。


「なら今日は、マネージャーじゃなく“ライバル”として見るわよ。

私、本戦出場かけて打ってくるから」


■Scene1:本戦ブロック決勝――対局開始


本戦進出をかけた最後の対局。

対戦相手は、昨年のベスト4に残った元女流タイトルホルダー・瀬川麻耶せがわ・まや


「また“アイドル雀士”と当たるとはね……名前だけじゃないって、証明してくれる?」


「“名前”で勝ってないから、ここにいるんです」


静かに卓に着いた知恵は、呼吸を整えた。


(勝つ。今度こそ、“実力だけ”で)


■Scene2:ファンとネットの熱狂


SNS上には、またも熱が戻る。


「えっ、姉が本戦進出かけてるって!?」

「妹は表紙で姉は麻雀、ほんとにスゴい姉妹」

「推しててよかった……安川姉妹、時代来たぞ」


麻雀配信サイトでは実況スレッドが1万コメントを超え、

ファンの間でも“この日だけは両方見たい”とトレンド入り。


■Scene3:南場、女流VSアイドル雀士


南三局。

点差はわずか――瀬川が微差でリード。


知恵はリーチ棒1本を前に置き、手牌を整える。


(この一局、決めにいく)


役は純チャン三色。

難度は高いが、場に見せ牌は少なく、勝負手になる。


ツモ――「5萬」。


その瞬間、和了。


「ツモ。満貫、3000・6000です」


逆転トップ。


瀬川が小さく肩をすくめる。


「あなた……麻雀の顔になれるかもしれないね。

見くびってごめんなさい」


知恵は一礼しながら答えた。


「いえ。そう言ってもらえるのが、一番嬉しいです」


■Scene4:姉妹の帰り道


夜、マンションの玄関。

知恵が玄関を開けると、ソファで雑誌を見ながら寝てしまった理恵の姿。


(あんた……自分の表紙、どれだけ見てるのよ)


そっと毛布をかけて、知恵も横に座る。

そしてスマホを開き、自分の対局のアーカイブ映像を再生した。


その視聴ページに、こんなコメントがついていた。


「安川知恵――ただのアイドル雀士じゃない。“魅せる雀士”だ」

「表紙の妹、卓上の姉。今、一番眩しいふたり」


知恵は、妹の寝顔を見ながら小さく笑った。


「……あんたに負けないくらい、輝いてやる」


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