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23話 不可能です

「弱いって、私のことですか?」


 あまりに予想外の発言だったので、私は思わず聞き返してしまった。

 言ったあとで、それは悪手だということに気づく。


「君以外誰がいるんだよ」


 ほら、こうなるから。

 明らかな敵意の目線がこちらを向く。ため息が漏れた。

 嫌でも二人組になれと言われた以上はペアにならなければならないので、彼の近くに寄ってみる。

 彼は近寄ってくる私を、絵にかいたような上から目線で見ていた。


「すみません、弱くて」その視線に対して、そんなことを言ってみた。

「なにそれ、自覚しているアピール? 自覚したところで強くはならないぞ」

「え、そうなんですか? じゃあ、つまり強くなればいいってことですよね?」

「は……?」


 彼の目が点になっているが、今は気にしている場合じゃない。

 彼の発言で、私は気づきというか、新たな疑問というべきものを奇しくも得たのだった。

 私は自分が弱いということを重々承知しているのだが、例えば、アンロックしていない状態で鍛錬などを積み、普段の私の実力を上げようとした場合、順当に強くなることができるのだろうか。

 もしできるのであれば、だ。やるべきだろう。この合同訓練の機会だって存分に活かして、


(不可能です。あなたの本来の戦闘力は、制約されていない状態のものです。ゆえに、鍛錬によって制約が変化することはありません)


 ……ご回答どうもありがとうございます。

 私は一人でうなだれた。


「あはは! さすが、もうロイドを困らせるだなんて、レアちゃんは大物だなあ」


 ホワイト指導官が言った。どうやらいろいろと勘違いをしているらしい。困らせた覚えも、大物になった覚えもない。ちょっと制服を忘れただけだ。

 ロイド、というのは、彼の名前だろう。

 彼、確かに人が寄り付かなそうな性格をしているけど、残り物になった大きな理由はおそらく別にある。それは彼の体から大量に漏れ出している魔力だ。あまり魔力適正のない人間であっても、彼の魔力ははっきりと察知できるだろう。それほどに圧倒的な量と力だが、漏れているということは、それを制御しきれていないということでもある。だから私もまた、彼を見ると、少し緊張を覚えてしまう。それは、何が起こるかわからないが故の怖さ。例えるなら、アツアツになった蒸気機関が目の前にあるような怖さだ。


「うん、いい感じになったね」ホワイト指導官が、訓練生を見回しながら言う。

「じゃあ今度は、私が決めよう」


 指導官は、「君たちは、彼らと」などと言いながら、二人一組のペア同士をさらにつなげていく。つまり四人二組だ。


「じゃあ君たちは、あの二人と」


 私とロイドの前に連れられてきたのは、女の子二人組だった。

 どちらも、それとなく嫌そうな顔をこちらに向けている。


「これから、君たちには二対二の模擬戦をしてもらう」


 指導官はにっこり笑ってそう言った。

 皆なんとなく察してはいたらしく、しばし気まずい静寂が訪れた。

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