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婿養子

 足利義昭とは養観院が元いた未来の時間軸では足利義秋が後に改名した名前だ。

 つまり、明智光秀は足利義秋に仕えるはずだった・・・何も余計な事をしなければ。

 でも、暗殺を恐れた光秀は『何としてでも新しい足利将軍を立てなくては!』と勇み足をする。

 結果『足利義昭と足利義秋』の2人が存在する時間軸が産まれてしまった。

 明智光秀は本人が気付かないところで『時代を多少は変えた』のだった。

 それが後の世の中を大きく変える事になるか、変える前と同じ結果に収束するかはまだわからない。

 とにかく今の状態を『時代のズレ』と表現しよう。

 この状態で多大な影響を受けている一人が浅井長政である。

 何故なら『浅井長政』が頭が上がらない『朝倉義景』がかついでいるのは『足利義秋』なのだ。

 浅井長政は時間軸がズレる前より早くに『朝倉義景に付くのか、織田信長に付くのか』判断を迫られそうな勢いだ。

 それだけ長政には朝倉義景の圧力が強い。

 明智光秀の知らないところで織田信長と朝倉義景の緊張は高まっていた。

 『織田信長も足利義秋を担げは良いじゃん』その通りだ。

 信長にとって本来『誰が将軍になるか?』など知った事じゃない。

 ただ、真っ先に足利義秋を担いだ者の中に『朝倉義景』がいるのだ。

 「だったらやーめた」と信長は足利義秋を担ぐのを止めた。

 選択肢がないなら仕方なく『朝倉義景』と同じ御輿を担ぐしかない。

 しかし、光秀が余計な事をして陣営は『義昭』と『義秋』に分かれている。

 だったら朝倉義景と一緒に『義秋を担ぐ』のではなく『義昭を担ぐ』という選択肢を選んだのだ。

 わかり辛い話かも知れない。

 こんな例え話ならわかるのではないだろうか?

 雨続きだ。

 洗濯物が乾いていない。

 乾いているのはユニクロの長袖Tシャツだ。

 「こんなん安っぽい!着て出掛けたくない!アイツも着てるし!」と言っても着れる服がユニクロの長袖Tシャツだけだったら朝倉義景(きらいなやつ)と同じ服でも着るしかないだろう。

 でももう一枚服が乾いていたら?

 朝倉義景(きらいなやつ)が着ている服とは違う服を選ぶのは必然だろう。

 結局、信長が義昭を選んだ理由なんてその程度のモノなのだ。


 『朝倉義景』は斎藤龍興と密接だ。

 つまり『反織田』だ。

 養観院が元いた時間軸でも斎藤龍興を後押ししたのは朝倉義景だ。

 義昭(この時間軸で言う義秋)を共に担いだ信長と義景は衝突を先延ばしにしていた、『同じ陣営で争うのもよくない』と。

 違う御輿を担ぐなら争わない理由などない。

 浅井長政が『兄上、ちょっと待ってくれ!』と言うから仕方なく朝倉とは合戦になっていない。

 まあ、朝倉からこちらに仕掛けてくるなら『いつでも相手になるぞ』という状態だ。


 そんな話は養観院の知るところじゃない。

 清洲に義昭を招待する事が朝倉義景の逆鱗に触れる事になるとも知らないで義昭に「ウチにおいでよ!」と言ったのだ。

 信長とて『清洲に義昭を呼ぶ』のは下策だと思っていた。

 「滝川一益の城へ義昭様を一時的に避難していただく事にしようか?」などと思案している最中に「清洲に義昭様を呼んだから」と養観院に言われたのだ。

 信長としたら訳がわからない。

 「お、おう」と玉虫色の返事をするしかない。

 一度『招待する』という話になったのに『やっぱりダメ、くんな!』とも言えない。

 しかし信長は養観院の勘を高く買っていた。

 桶狭間での奇跡の勝利、アレは養観院が描いたシナリオなのだ。

 信長は口にしないが『養観院の勘』がなかったら今の自分はないかも知れない、とまで考えている。

 養観院が何を考えて足利義昭を清洲に招待したかは不明だ。

 だが『養観院の勘に賭けよう!』と思う自分も確かにいた。

 養観院は確かに掴み所がない。

 だが、我々と違う何かが見えているはずだ!


 「清洲の留守は誰が守ってるの?

 あの婿養子ともう一人?

 イソノマスオとフグ田マスオだっけ?」と養観院。

 「木下藤吉郎と柴田勝家だ。

 豪快な間違え方だな」と利家(ロリコン)

 考えてるんだよな?

 賭けても良いんだよな?

 

 

言われて気付きました。

50万回も見ていただいたんですね。

ありがたい事です。

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