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 「利益さんの馬、無茶苦茶大きいよね?」と僕。

 「元は俺の馬『谷風』の弟なんだ」と利家(ロリコン)

 「『谷風』?」

 「俺、身体が大きいだろ?

 だから俺の父親『前田利春』が蝦夷(えぞ)から野生の馬の兄弟『谷風』と『松風』を連れて来たんだ。

 その兄弟馬の弟の方を利益は勝手に乗り回してるのさ」

 蝦夷の馬・・・ばんえい競馬のクソデカい馬の原種だろうか?

 「その割りには利家(ロリコン)、小さな馬に乗ってるよね?」

 「『谷風』は気性が激しいんだ。

 舟旅には向かん。

 舟の中で暴れたらいかんからな。

 だから桶狭間にも連れていかなかった。

 それに養観院を後ろに乗せるなら『谷風』は有り得ん。

 おそらく養観院(おまえ)を振り落とすだろうからな。

 『松風』は『谷風』と比べものにならないほど気性が苛烈だ。

 認めた者しか背に乗せん。

 俺も『松風』には認められていない。

 『松風』が認めたのは利益だけだ」

 なるほど。

 「しかし利家(ロリコン)と利益さんの関係性がイマイチわからん」と僕。

 「俺と利益の養父『利久』は兄弟なんだよ。

 だから俺は歳下なのに『叔父上』な訳だ」と利家(ロリコン)は面倒臭そうに説明する。

 「そう邪険にしないでくれ。

 「お・じ・う・え」」と隣で話を聞いていた利益。

 利家(ロリコン)は震え上がる。

 全身に鳥肌が立っているようだ。

 利益は利家(ロリコン)の事を叔父なんて全く思っていないが、『叔父上』と呼ぶと利家(ロリコン)が凄い勢いで嫌がるんで、それを楽しんでいるようだ。


 利益の馬は『松風』もしくは『谷風』と呼ばれている。

 『元は利家の馬だった』と言われているが明確な記述はない。


 伊勢で群雄割拠していた理由の一つとして『公家大名北畠氏』の影響がある。

 名目上、武士は公家に従わなくてはならない。

 征夷大将軍ですら、朝廷に指名される物で、公家から武家が役職をもらうことは珍しくなかった。

 そういう意味で言うと『北畠氏』は鎌倉時代に後嵯峨天皇をサポートしていた名家だ。

 落ちぶれたとはいえ、伊勢国司の『北畠氏』に武家はおいそれと手は出せない。

 武家が手を出せないのを良い事に、海賊や一向衆が伊勢では勢力を伸ばしてしまっていた。

 そんな難しい状況の中で、着実に勢力を広げていったのが『滝川氏』なのだ。

 だから、信長は滝川一益を非常に高く評価している・・・が、一益は出世に全く興味を示さない。


 信長は『北畠氏』とは手は結べない。

 何故なら信長に下った『九鬼嘉隆』の兄『九鬼浄隆』の首を斬ったのは『北畠具教』だからだ。

 ここら辺がヤンキーの喧嘩と似ている。

 「テメー『俺の味方だ』とか言っておきながらアイツと仲良くするのかよ!?

 俺とアイツは『ゼッテー』なんだよ!?」と。

 九鬼は僕と違い『カンチョー』一発で因縁を流してはくれない。

 だから信長は小規模ながらも軍勢を引き連れて、伊勢に来たのだ。

 しかし信長は楽観していた。

 『我が軍と北畠軍では規模が違いすぎる。

 手を出すなら出せ。

 それを開戦の切欠に出来る』と。

 現に信長は公家に手が出しにくいだけで、一度手を出したら1576年『三瀬の変』で北畠軍を蹂躙、北畠具教を簡単に討ち取っている。

 そんな危険がある場所だと思うなら、養観院を連れては来ない。

 信長にとって養観院は"その程度には"大切な存在なのだった。


 地図を見る。

 「伊賀と甲賀って近いじゃん!」と僕。

 「養観院は甲賀を知っているのか?」と信長。

 「そりゃ知ってるよ!

 『くノ一』と言えば甲賀だよね!」

 「『くのいち』?

 何だ?それは?」と利家(ロリコン)


 『くノ一』とは小説家『山田風太郎』が『甲賀忍法帖』の中で生み出した創作物だと僕は知らない。

 女の忍者はいたかも知れない。

 ただそれは『くノ一』とは言われていないし、おそらく存在していない。

 『くノ一』がいない・・・何とも夢のない話だ。

 僕は「弟子にしてよ!」と五右衛門に何度もいっていた。

 『忍者になりたい』というか『分身の術』使いたいじゃん?

 「ふ、どこを見ている?

 それは残像だ」って言いたいじゃん?

 って事は僕が女である限り忍者にはなれない・・・って事か。

 「『くのいち』はよくわからんが、甲賀には足利義秋と朝倉義景を手引きした者が潜んでいる可能性がある。

 『北畠具教』以上に注意が必要だ」と信長。


 「では伊賀へ向かうぞ!」

 信長の号令で軍勢が動き出す。


 「父上、織田信長が津の港に到着したようです」

 声の主は松永久通。

 「そうか・・・」声をかけられたのが松永久秀だ。

 松永親子は三好三人衆と対立する。

 それだけではない。

 三好三人衆に言いくるめられた、三好義継は松永親子を『悪』と断じたのだ。

 この時間軸では松永親子は『足利義輝』を殺していない。

 いないのに三好三人衆に『義輝殺し』を擦り付けられている。

 『やっていない!』なんて話を信じてくれる人間は少ない。

 果たして『足利義昭』や『明智光秀』も信じてくれているんだろうか?

 「数少ない味方だ。言わせておけ」と思われているだけだろう。

 織田信長が足利義昭の心強い味方になったら『お前は信用ならん、用なしだ』と切り捨てられるんじゃないか?

 我らが生き残る方法は一つのみ。

 『織田信長に取り入ろう』

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― 新着の感想 ―
[良い点]  そのまま「くのイチと書いて“女”ってなるから女の忍びの事だよ」と得意げに解説して山田風太郎以前に“くのイチ”が戦国時代に一般化したら笑ったんだけど、めんどいからかだんまりしちゃう養観院さ…
[良い点] もう名実ともにロリコンおじさんだな
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