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小牧山城

 朝倉義景は元『朝倉延景』と名乗っていた。

 では『義』の字はどこから持ってきたのか?

 『足利義輝』からもらったのだ。

 朝倉義景は忠実な幕臣だ。

 そんな幕臣が『義輝様の和睦仲介を断ったばかりか、和睦の最中に砦を建造していたという・・・信長、許すまじ!』という心境になるのは当然だ。

 しかも義景は信長とほぼ同年代。

 義景の信長に対するライバル意識は激しい。

 信長と同盟を結んだ浅井長政に対して良い感情はない。

 浅井長政は朝倉義景と織田信長の間で板挟みになりこれから胃に穴があくような時を過ごす事になる。


 朝倉義景は文化人でもある。

 『連歌の達人』と名高い明智光秀を茶会に連れて来て欲しい、と足利義輝に言ったのは義景だ。

 つまり養観院と彦太郎を引き合わせたのは朝倉義景だ。

 だが、養観院と松永久秀を引き合わせたのも朝倉義景だ。

 三好長慶に「天下に名高い茶釜『平蜘蛛』の所持者、松永久秀殿を呼んでもらえまいか?」と依頼したのもまた朝倉義景なのだ。

 茶会で『平蜘蛛』を見れなかった織田信長は以降『平蜘蛛』に異常な執着心を見せる。

 元は養観院が落として潰した普段使いの茶釜なのだが。


 朝倉義景も浅井家と斎藤家の因縁は知っている。

 だから浅井家に対して『斎藤と手を結べ』とは言えない。

 だから朝倉は斎藤龍興と単独で手を結ぶ。

 この判断が朝倉義景の最大の失策になるのだが、それは後の話だ。

ーーーーーーーーーーーー

 僕は小牧山城に行く事になった。

 何でまた?

 わからん。

 清洲城の様子を見に帰って来た木下藤吉郎(ハムスター)が信長に『養観院を連れて来い』と命令されたらしい。

 「信長様が・・・」

 「断る」

 「何で!?」

 「だって行きたくねーもん。

 清洲から離れたくないんだよ」

 「それは信長様本人に言ってくれ」

 「うん、わかった。

 で、信長様はどこにいるの?」

 「小牧山城だ」

 「じゃあ行こうか」

 で今に至るのだが・・・。

 何か僕、騙されてない!?

 何かいつの間にか小牧山城に行く事になってない!?

 その晩、藤吉郎(ハムスター)は『養観院殿を説得する前に何か勝手に騙されてくれた。意味がわからん』とねねに言ったという。

 「流石藤吉郎(ハムスター)、いつの間に騙されたかわからなかったよ・・・」

 「・・・・・」

 (何故『はむすたー』と呼ばれるかも含めて訳がわからない。

 人の心理を読む事には多少の自信はあったが、ここまで全く心理が読めない人間も初めてだ)

 藤吉郎(ハムスター)は勝手に僕への警戒を強めた。


 「疲れた・・・」

 利家(ロリコン)の馬の後ろに乗るのは安心感があるんだよ、利家(ロリコン)は身体がデカいし巨木にしがみついてるみたいで。

 でも、藤吉郎(ハムスター)の後ろに乗るのは・・・一緒に馬から落ちそうで身体に力が入って疲れた。

 「養観院殿、横に曲がる時に身体を傾けるのは何の意味があるのだ?」と藤吉郎(ハムスター)

 「そんな事も知らないの?

 あれは『ハングオン』って言って、カーブを曲がる技術だよ」

 「聞いた事がない。

 そもそも『かーぶ』とは何だ?」

 重秀と五右衛門に挟まれていた時は身動きが取れなかった。

 利家(ロリコン)は僕が後ろで多少暴れても微動だにしなかった。

 藤吉郎(ハムスター)は僕と一緒に馬から落ちそうになる。


 小牧山城に着いた。

 僕以上に藤吉郎(ハムスター)がヘトヘトに疲れている。

 「馬に乗っていて、これだけ疲れたのは初めてだ」と藤吉郎(ハムスター)は呟いている。

 小牧山城に到着してすぐ信長のところに連れていかれる。

 ったく、少しぐらい休ませろよ。

 こっちはお尻が痛いんだから。


 部屋に入ると信長が座っている。

 偉いんだから高い所に座れば良いのに。

 信長が座らないなら僕が座ろうかな?

 「養観院、何でいきなり床の間に座るのだ?」と信長。

 どうやら僕が座ったのは床の間だったらしい。

 時代劇なんかで偉い人、一段上に座ってるじゃん。

 あれ、ここの城はそういう構造じゃないみたいだ。

 つーか何で僕は『信長が座らないなら僕が上座に座ろう』と思ったのか?

 いかん、疲れてて自分でも自分の行動が理解出来ない。


 「よく小牧山城に来たな」

 僕は『テメーが無理矢理連れて来させたんだろうが!』という言葉を飲み込む。

 「どうだ?ここは?」

 信長は聞くけど本音は『どうもこうもない』だよね。

 しょうがない、オブラートに包んで感想を言おうか。

 「クソショボい」と僕。

 どうやらオブラートは品切れだったようだ。

 「ここの何がいけない?」

 「町がない。

 大通りがない。

 大通りがないから店もない。

 大通りの周りに繁華街って出来るモノだよね?」

 僕の言い草に藤吉郎(ハムスター)がたまらず口を挟む。

 「大手道は城の防衛上、最前線に設ける物ではない!」

 「良い、養観院は『大手道がこの小牧山城に必要だ』と申すのだな?」と信長。

 「の、信長様!」と藤吉郎(ハムスター)

 「小牧山城が美濃攻めの最前線であるから大手道があるのが問題になるのだ。

 犬山城を落として最前線にすれば問題はない」と信長は無茶な事を言った。


 小牧山城は信長が作り美濃攻略時の四年間しか使われていないのだが何故か大手道があり、町が作られ清洲から人が移動した形跡がある。

 小牧山城に大手道が作られたのは養観院の鶴の一声があった事が理由だとは知られていない。

 そして、犬山城攻略のきっかけが『小牧山城に大通りを作れ』という養観院の言葉だとは(以下同文)。 

 

 

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― 新着の感想 ―
[気になる点]  んんんんんんん!?何故か歴史の流れがほぼ僕らの世界と同じ方向に収束してく?(´⊙ω⊙`)義元さん生きてたあたりから「いろいろ変わっちゃうぞー♪」と読んでてウキウキしてたんだけど??い…
[気になる点] 「木下藤吉郎ハムスターが信長に『養観院を連れて来い』と命令したらしい。」 信長が命令したのでは?
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