閑話 大人
夜中に布団の中で女神の言葉を思い出す。
『肉体を再構成する』
『肉体は元には戻せない』
この肉体は一から再構成されたモノだ。
何故、僕はこの肉体の『肉体年齢』が元の肉体と同じだと決め付けたのだろう?
魚屋でも丁稚奉公の女の子達に『妹扱い』された。
僕はそれを『子供ならではの"お姉ちゃんムーブ"』だと思って微笑ましく受け入れてきた。
今回の『まつ様』の行動を見て感じた。
『まつ様』はお姉ちゃんぶらなくても実際母親だ。
夕飯の時、娘のおかずの魚の小骨を取ってあげていた。
『お母さんだなあ』と僕はほっこりとそれを見ていた。
そこまでは良い。
娘の魚の小骨を取り終えた『まつ様』が僕の魚の小骨を取ってくれようとした。
この時に思った。
『僕は自分が思っている10倍、肉体年齢がガキンチョなんじゃないか?』と。
だとしたらショックだぞ。
待て待て、田中は転移してきた時に僕を『女として』扱ってたぞ。
田中は僕を子供じゃなくて大人として見ていたという事だよね?
でも田中はその後、僕に茶を入れてくれながら「仕事の付き合いでたまに連れて行かれる遊郭で見る、大人と同じように化粧した大人ぶった少女を見るのが何より嫌いだ。
痛々しい。
子供はありのままで良い」と言っていたな。
あれはどういう意味だろう?
何でわざわざあれを僕に聞かせたんだろう?
色々考えていたら眠くなってきた。
今度こそ僕は深い眠りについた。