祭囃子~なろうでの個人企画に関して~
誰かの作品を読んだとき、『○○企画に参加しています』と書かれていることがあります。
その作者の活動報告やランキングタグで、企画の概要へのリンクがあるかもしれません。
小説を投稿するときは自分だけで投稿する以外に、公式企画や個人企画に参加するという方法もあります。
企画に参加すると楽しいですし、いろいろなメリットがあります。
あなたも企画に参加してみませんか。
ひだまりのねこ様の『集まれエッセイ企画』に参加しています。
森の中にピンク色の花を咲かせるサルスベリの木があった。
木の枝に小さなタヌキさんと、王冠のようなものを被った白いおサルさんが座っている。
彼らの膝の上に小さなお盆がのっており、その上にお茶の入った湯呑とおまんじゅうの小皿があった。
白猿さんと子狸くんは魔法の鏡を持っている、
そこには別の世界の『小説サイト』を映し出されていた。
「白猿さん。この小説サイトではジャンル別の公式企画があるよね。ホラーとか推理とか。公式以外でも、個人で主催する企画もあるの」
「そうだな、子狸くん。特定のテーマの小説が並ぶから、企画ものの小説って読んでて面白いぜ」
「んとね。小説を書く作者の人たちも、企画に参加するといろんなメリットがあるの。例えばこんなの」
1)自作品を読んでもらえやすい
2)お題が決まっていると書きやすい
3)同じ企画の作品を読みやすい
4)参加者と意見交換しやすい
5)書きたいものを無理せずに書ける
「そうだよな。『1)自作品を読んでもらえやすい』は、わかりやすいな。企画の他の参加者はもちろん、企画自体に興味を持った読者に読んでもらえるわけだ」
「企画じゃない場合は、ある程度の知名度がないと、普通に投稿しても埋もれやすいの。新着情報に出たものは、すぐにたくさんの他の投稿で最初のページからは消えるの。ものすごい力作を書いたとしても、そもそも気づかれないと読んでもらえないの」
「で、次の『2)お題が決まっていると書きやすい』は、メリットとデメリットがあるかな。テーマが決まってると書きやすいって人もいると思う。デメリットは、同じネタが被る可能性や苦手なテーマとかかな」
「んとね。どちらもデメリットにはならないと思うの。同じ企画で偶然同じネタがでても、それはそれで面白いの。苦手なテーマに挑戦するのはいいことだと思うの」
「んで、『3)同じ企画の作品を読みやすい』は、主催者や協力者が企画用バナーとか検索用タグを作ってくれてることもあるな。作品を探しやすいってことかな」
「そうなの。参加作品の後書きの下のランキングタグに検索バナーを置いたり、活動報告でリンクを置いてくれる人もいるの」
子狸くんは自分の鏡を操作して、とある個人企画のバナーを表示させた。
「それから『4)参加者と意見交換しやすい』ってのは、活動報告に書きやすいってことかな」
「んとね。それもあるけど、感想欄も使いやすくなると思うの。普段は感想を書くのが苦手な人でも、企画では書きやすいって人もいるみたいなの。感想に『〇〇企画から来ました』って書く人もいるの」
「感想もらえると次の執筆意欲が湧くから、WinWinになるな。で、『5)書きたいものを無理せずに書ける』ってのがよくわかんねぇ。これは、どういう感じかな? 書くテーマが決まってんだよな」
「んとね。『1)自作品を読んでもらえやすい』にも関係するの。自分だけで投稿する場合、埋もれさせない対策が別に必要になるかも。たとえばこんなの」
・いわゆるテンプレ等、人気のあるテーマで書く。
・長文のタイトルをつける
・投稿時刻や曜日の選定
・あらすじ、キーワード、前書きの工夫
・インパクトのある導入部分
「涙ぐましい努力だぜ。でなければ全く読まれないか、最後まで読まれず評価もつかないかもね」
「んとね。こういう工夫をしても、運が悪ければ読まれずに埋没するかもしれないの」
「自分だけの投稿の場合は『新着』に出る短時間で、興味を持った人に見てもらうだけだからな。人気作家じゃないと厳しいぜ」
「企画の場合は題名やあらすじは自由にかけるの。企画の他の参加者に読んでもらったり、他の作家さんのファンに読んでもらうこともあるの」
「いいことづくめに見えるけど、企画に参加することのデメリットはあるの? さっき言ったテーマが決まってること以外で」
「んとね。小説家になろうって、活動報告とかで作者同士での交流を持てるのが利点なの。でも、人によってはそれが苦手な人もいるかも」
「そりゃ、もったいない話だね。相互でお気に入りユーザーになれば、企画以外でも投稿に気付いてもらえるのに」
「あと、人によって意見は異なると思うけど……。同じ企画の他の人の作品って、どのぐらい読まないといけないんだろう?」
子狸くんが言うと、白猿さんは少し首をかしげた。
「いやいや。企画に参加したからといって、他のを読む義務はないぜ。企画内の個別ルールでもありゃ別だけどよ」
「んとね。参加したからには、全部読んだ方がいいと思うの」
「どうかな。もちろん全部読む人もいるだろうよ。全作品へ評価をつけて、さらに全作品に感想を書く人もいる。全部読む人を尊敬はするけど、参加者全員にそれを求められてはいないと思うぜ」
「でも、自分は投稿だけして他の人のは読まないのもヘンだと思うの」
「作品一覧でタイトルやあらすじを見て、読みたいものを読めばいいぜ。公式企画で考えると、秋の歴史2022は約200作、夏のホラー2022は約700作、春の推理2022は約250作、冬の童話2022は約600作だ。全部読んだらどれだけかかるか。それに極論するとだな。『小説サイトへの投稿者は、そこの全作品を読む義務がある』とかやったら騒ぎになるぞ」
「あはは……。サイトの全作品は、物理的に難しいね」
「義務と考えて読む方が、作者に失礼だと思うぞ。企画に参加する人って、テーマに興味があるんだよな。読みたいものを読むんだよ。開催期間の終了後にゆっくり読む人だっているぜ」
「難しく考えずに、気軽に参加していいんだね」
「そうそう。おいらの活躍を書いた作者も、けっこういろんな企画に参加してるよな。っていうか、投稿の9割以上が企画ものじゃねえか」
白猿さんと子狸くんは、茶菓子を食べた。
そして湯呑のお茶をすする。
「んとね。あの作者は小説を書くより、お祭りに参加すること自体を楽しんでるみたい。でも、あの作者は企画のリスクも気にしているみたいなの」
「リスクぅ? そんなもんあったっけ」
「んとね。その作者がある企画で投稿した作品が、その日のジャンル別の日間ランキングに入ったの」
「いいことじゃないか。おめでとうだな」
「でもその小説、書いた本人がイマイチかも?と思う内容だったの。同じ時間帯に投稿された別の人の作品の方が出来がいいと感じたらしいの。そっちの作品は企画に参加してなかったの。だから過大な評価だと思ったみたい」
「そう思うなら、そっちの作品には評価をつけて、自分は次はもっといい作品を書くように努力すればいいじゃん。つまりあれだ。不当なブーストで他のランキング候補者を追い出したって思ったのかな。でも企画参加者が各自の意思で評価をつけるのはルール違反じゃないぜ。示し合わせて『互いに高評価を入れ合おう』ってやったらアウトだけどよ」
「んとね。企画に参加したら、普通は他の参加者の作品にも評価をつけると思うの。ふだんは投稿数の少ないジャンルで個人企画をやったら、新着情報やランキングが企画作品だけで埋まってしまうかもしれないの」
「それ自体はルール違反じゃないぜ。個人企画の主催者さんが運営に質問したらしい。作品が多数出て盛り上がるのは歓迎されるようだ。季節ごとの公式企画だって、人気の少ないジャンルを盛り上げる意味もあるぜ」
「んとね。参加していない投稿者から見ると不公平かも」
「そのへんをどう考えるかも、主催者の手腕の1つかもな。こういうのが参考になるぞ」
・はじめて企画を立ち上げるあなたへ~一人の個人企画主催者の体験に基づいた企画立ち上げガイダンス~
https://ncode.syosetu.com/n0926fx/
作 遥彼方様
・企画に参加した!企画を主催した!
https://ncode.syosetu.com/n1468hf/
作 黒森 冬炎様
・やってみたい? いいんじゃない? じゃぁちょっとしたお手伝いをしようか ~自主企画をやってみたいあなたへ~
https://ncode.syosetu.com/n2186hx/
作 藤谷 K介(武 頼庵)様
・(3/23後書きに追記あり)『すげどう杯』という企画をやった結果の、主催者としての感想
https://ncode.syosetu.com/n7633fj/
作 あっちいけ様
「うわぁ。……き、企画の主催者さんって、いろいろ考えてるんだね。すごく苦労してるの」
「企画を立ち上げた場合、どう盛り上げるかも考えてるよな。あとは作品はもちろんだけどよ。多くの『人』と接することになるから、それなりに心労もあると思うぜ。運営する楽しさもあるだろうけどよ」
「んとね。主催者さんには頭が下がる思いなの」
「なろうでは『相互評価』と呼ばれる行為がある。Aさんの作品をBさんが読んで評価をつける。Bさんの作品をAさんが読んで評価をつけるというものだ。各自が相手の作品を読んで、自分の判断で評価をつけるなら何の問題もない。AさんとBさんが友達でもOKだ。ただし、友達だから小説の良しあしに関係なく高評価をつける、ってのはよくないな。自作品に高評価をつけてくれたお礼で、相手作品に内容にかかわらず高評価をつけるってのもダメだろう。ついでに、徒党を組んで互いに評価を入れあう集団は『相互クラスタ』とか『相互評価クラスタ』って言われることもあるな。作品の内容に関わらずに評価を入れあう集団だったら、もちろん規約違反だぜ」
「評価をつける人が作品をちゃんと読んで、それぞれの判断で評価をつけるなら問題ないのかな」
「まぁ、企画に参加して自作品への『過大な評価』を気にするなら、自作品を『評価を受け付けない』にする手もあるぞ。でも、それを他人に押し付けないこと。それに、他の参加作品に評価をつけることまでやめる必要はないぞ」
「そうだよね。でも、ランキングはいらないけど、読んだ人からの評価は知りたい場合もあるかも」
「簡単だ。『評価を非公開』に設定すればランキングには載らないぜ。企画の開催期間中は『非公開』にして期間終了後に『公開』に変更すればいいんじゃねえか?」
「なるほど。そういう方法もあるんだね」
「でも、『非公開』は自分だけでやんなよ。人に押し付けるのはタブーだぜ。ランクインを目指すのを否定するのもおかしいからよ。さっき子狸くんは企画参加のメリットをいくつか挙げたよな。あの他に『評価が入りやすい』『ランキングに乗りやすい』って考える人もいると思うぜ」
「んとね。企画の参加条件で『評価を受け付けない』とか『評価を非公開』に設定すると人が集まりにくいと思うの。そのルールにした場合でも、設定がうまくできなかった参加者がいた場合に気まずくなるの」
「そうかもな。ランキングに載せないルールは難しいとおもうぜ。評価やランキングが嫌いな作者は珍しいからな。あ、そうそう。こういう話があるんだ」
とある活動報告で『オンライン小説を書いていて怖いと思ったこと』の話題がありました。
このような意見が出たようです。
・投稿して一週間たっても総PVが0件だったこと
・誤字脱字に数か月も気づかなかったこと
・長編小説の続きが書けなくてエタること
・歌詞とか引用文を書いたらホーム画面で赤い忠告文がでた
・感想欄での厳しい指摘
・好意的じゃないレビュー
・自分の書いた小説で傷ついた人がいたこと
・投稿先とそっくりな小説がすでにあり、盗作を疑われたこと
・小説を投稿していることが家族に知られたこと
・宛先を間違えてメッセージを送信したこと
その中で、変わった意見の人がいたようです。
『僕は評価が怖い。もし自分の作品で、星が☆☆☆☆☆から★★★★★に変わっていたら恐ろしい』
と言いました。
彼の作品はいつも良作だったので、読んだ人の多くは高い評価を入れていました。
他の人は「プレッシャーかな?」「いや、冗談だろう」などと意見を書いてました。
が、彼が過去に『評価をもらって喜んでいたこと』が発覚しました。
それを知った人が「あなたは本当は何が怖いですか?」と彼に問いました。
すると彼は「僕は本当は『いいね』が怖い」と答えました。
「んとね。僕、途中で気づいたの。これって落語の『まんじゅうこわい』のパクリなの」
そう言って、子狸くんはおまんじゅうを口に運びました。
企画を主催して頂いた方、企画でご一緒させていただいた皆様に感謝。
『オンライン小説を書いていて怖いと思ったこと』のネタは追加されるかも。
この小説内で紹介した『自主企画の開催方法』や、他の『集まれエッセイ企画』参加作品はこの下の方でリンクしています。