第4話
感想、ブクマ、評価よろしくお願いします。
視界が開けた、目の前にあるのは数え切れないほどのスイッチ、左右には4つの操縦桿、足元には2つのペダル。
間違いない、ここは、SACのコックピットだ。
この機体に名付けた瞬間にチュートリアルが終わって、気が付けばこんなところにいる。モニタに映るのは、砂漠、荒れ果てた大地、空は快晴だ。
モニタに反射する自分の顔は見慣れたものだ、オールバックの黒髪、疲れ気味の顔、眠そうな目、目の下には隈。服装は早期購入特典だというパイロットスーツだが、見た目は戦闘機のパイロットが着るようなものに見える。
「初っ端こんなとこからスタートかよ!」
愚痴を言いながらも動作確認、操縦方法はゲームを起動した時点で頭の中に流れ込んできたので、特に問題はない。
火器管制システム良し、各部バランサ良し。
不安なのが、実際に動かすときに、ミスなく操縦できるのか、というところだ。まあ、これに関しては慣れていくしかない。早速操縦桿を前に倒し、ペダルを踏むとブラックバレットの右足が一歩前に進んだ。
「動いた!」
自分で作り上げたロボット、そしてそれに搭乗する自分の新たなる一歩。その感動に酔いしれている。
「お次はローラーダッシュ──なにっ!」
突如鳴り響いた警告音に思わず肩が跳ねた。
不快な音が頭上で鳴り続けている。
これは、敵が接近している?
自分のレベル的にPKバトルにはならないので、これはNPCか。モニタにマップを表示させると、こちらに近付くSACが2機確認できた。プレイヤーはマップに表示されないが、NPCはがっつり映る仕様らしい。この大地に降り立ってまだ5分も経っていないのにコレか。自分の中の闘争心が湧き上がってくる。WROは機体のアセンブルは勿論、メインの部分は戦闘だという。つまりはその洗礼か、初心者相手だろうが関係なく襲いかかってくるとは、恐ろしいものだ。
「いいぜ。初戦を白星で飾ってやる」
ロボットモノなら戦ってなんぼだ。
俄然、やる気が満ち満ちと沸いてきた。
幸い、周りには巨大な岩やらが散乱しているので隠れるにはうってつけだ。物陰に隠れて様子を伺う。すると茶色で人型のSACがノコノコと2機現れた。見た目は先程格納庫で見た初期機体そのままだ。違うところをあげるなら、両機とも左手にはライフル、右手には警棒を持っていることだ。
向こうはどうやら俺を探しているようだった。
「2機同時に相手するのはキツいか。いや、だが離れないだろうなアイツら」
敵機はツーマンセルだ。お互いの死角を無くすように移動している。かなり賢いNPCだ、気に入った。ロボットゲームでイージーモードなんて萎えるだけだ。
「そういえば、デスペナルティってあったんだっけ」
早くロボットに乗りたくてあまり話を聞いていなかったのだ。我ながら馬鹿みたいだなと笑って、ステータス画面を経由してヘルプを開く。上から順に見ていって、下の方に記載されてあった。
「レベル20まではデスペナルティ無し。パイロット死亡時はリスポーンに3分かかると……」
デスペナルティは所持金の半減、レベルが1低下、1時間のステータス半減、かなり重いなと思う。所持金に関しては自分の口座に入れてさえいれば引かれることはないようだ、これは救済処置かな。レベルに関しては、高レベルになるにつれてかなり重いものになると予想する、どうやらスキルポイントも没収されるそうで、低レベルなのにスキルだけは豊富、という都合の良いことにはならないようだ。ステータスは、まぁ、問題ないだろう。1時間安全な場所で待機しておけばいいのだ。
「まあ、まあ、いまの俺ならデスペナルティの心配はなさそうだな。なら、やっちまうか」
覚悟を決めろ、俺。初実戦を初勝利で飾るのだ。
「行くぜ。ブラックバレット!」