第3話
感想、ブクマ、評価よろしくお願いします。
いつの間にか場所が真っ白な空間から、灰色の格納庫に変わった。金髪の女性の隣には全長10メートルのロボット、SACが眠っているよう佇んでいた。初期パーツで構成された灰色の巨大ロボットはもうそれだけでカッコいい。
自分で組み立てなくても良いくらいには最初から造形がいいぞ。開発者の素晴らしいこだわりが見える。
だが、俺はロボットに乗りたいだけではなく、自分で組み立てたいのだ。悪いが、初期機体には退場願おう。
目の前に表示されたアセンブル画面に思わずニヤつく。
まだ最初だから選べるパーツは少ないが、それでも楽しい。むしろ制限があるほうが燃えないか、こういうのは。
とりあえず武器は、右腕に杭打ち機を装備させた。
つまりは、パイルバンカーである。
巨大な金属製の杭を火薬で高速射出、これで敵の装甲を撃ち抜く、近接格闘用装備だ。射出用の火薬は15発。
左腕には警棒を装備させた。ナイフや剣などもあったが、ロボット相手には打撃系の武装が有効だろう。
アセンブルに費やした時間はおよそ4時間半。
機体を黒く塗って、ようやく完成だ。
「うおぉおー!」
俺の目の前にあるそれは、まさしく俺好みのロボット。
全体的に丸いフォルム、頭部は戦闘機パイロットのヘルメットみたいだ、二つ目は赤く光っていた。こめかみには内臓型30mm機関砲が装備されている。背中には2つのブースターを取り付けた。大きく丸みのある強靭な肩から伸びる両腕は細いが、指の先まで鋭く、簡単に装甲を引き裂いてしまいそうだった。右腕の前腕には杭打ち機が接続されている。左手には警棒だ。そして特徴的なのが足だ、一見普通の脚部だが、コイツはローラーダッシュができるのである。足裏に車輪を内蔵させ、滑走走行するのだ。機体の色は真っ黒だ。まさしく、この機体は俺の愛機だ。
「機体名は、そうだな」
名前というのは大事だ。とてもつもなく大事だ。
特にロボットの名前は非常に大事だ。
自分の愛機なのだからイカした名前をつけてあげたい。
アセンブル中にも何度か考えたりしたが、どうにもパッと思い付くものがなかった。だが、こうして完成した愛機を前にすると何か思いつくかもしれない、気分はさながら子供に名前をつける親の気持ちである。
「黒い、黒い、暗黒、闇、ブラック、ブラック……」
機体の色は黒。そこから連想させていく。
黒くて、近接戦闘スタイルの機体。
相手の懐に飛び込んで、ぶっ飛ばす。吹き飛ばす。
パイルバンカーで撃ち抜く。撃つ? 弾……弾丸。
「決めたよ。お前の名前は──」
そう言って俺は、愛機を指差して叫んだ。
「ブラックバレット!」