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第1話

感想、ブクマ、評価よろしくお願いします。


「ハイクオリティなフルダイブ型ロボットタクティカルゲーム! ワールド・ロボット・オンライン!(WRO)好評発売中!」


 煽り文句の終わりにテレビ画面に映るロボット、(スペシャル)(アーマード)(コート)が鈍重なライフルを振り回して連射する。そしてコマーシャルからニュース番組に切り替わったので、俺─神代狼(じんだいろう)─はテレビを消した。テーブルに並べられた夕飯の残骸は既に冷え切っており、半分も食べてもらえなかったパスタはもうパサパサで、口に入れたくもない代物に変わっている。今日を含めて98連勤、土日祝日も仕事、仕事、仕事の連続で頭がおかしくなりそうだった。下らないミスをこちらに擦りつけて文句を言う上司や、指示を飛ばしても動けない部下を思うと憎しみが募る。だが、だがしかしだ、明日は久しぶりの休日。しかも嬉しいことに、俺の手元にはこれがある。


「WRO! 俺はお前を待ってたぜ!」


 先程コマーシャルで流れた新作のVRロボットゲームを買えたのだ。仕事で潰されなかったのも、このゲームを予約していたからである。店で受け取って帰宅途中に嬉しさのあまりスキップしていたら、それを女子大生の集団に見られてコソコソ悪口を言われたが気にならなかった。


 WRO─ワールド・ロボット・オンライン。

 広大なフィールド、自由なキャラメイク。

 そんなものはどうでもいい、よくある要素だ。

 このゲーム最大の特徴は、自身で組み立てた自分好みのロボットを操縦できるところにあった。よくあるFPS系のゲームのようにコントローラーやマウスで動かすわけではない。それこそ本物の戦闘機さながらの複雑な手順を踏んで、まるで自分が本当に操縦しているかのようにロボットを操れる、臨場感のあるロボット同士の戦闘を楽しめるのだ。


「やっぱリアル! リアルさが大事なんだよなぁ」

 

 俺は大のロボットマニアである。

 そんなこの俺がWROに惹かれないわけがない。

 ということで予約したのは半年前の話だ。

 この日が来るのをずっと待っていた。

 仕事疲れで少しばかり体調が悪いものの、この胸のトキメキは止まらない。


 箱からWROのディスクを取り出す。

 取扱説明書は同封されていない、悲しいかな、昨今のパッケージゲームに説明書はほとんど入っていないのだ。

 幼少の頃は、ゲームの楽しみとは他に説明書を読む楽しみもあったが、どうやらもうそういう時代ではないらしい。

 思わずセンチメンタルな気分になってしまった。

 気を取り直し、WROのディスクをVR機器のディーヴァギアに差し込む。


「よし、よしよし、よし!」

 気合を入れる為に頬を両手で叩いた。パンパン。

 そして、敷きっぱなしの布団に寝転んで、ディーヴァギアを被った。眼前に映るのはダウンロードしたゲームとエッチな映像のアイコン、それは、いまはいい。視線を動かしてWROのアイコンをタッチ。タイトル画面が映る。


「転送、スタート」


 その一言で、抗えない眠気が襲ってきて、目の前が真っ暗になった。


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