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第三十八回リバラルティア最優秀テイマー決定戦 準々決勝

「これより準々決勝第一試合を行いますっ! 北側から登場するのは、期待の新生――カイル・ルースター選手っ!」


 先を歩くカイルの後を付いていき、通路を抜ける。

 その瞬間、観客席中からドッと歓声が溢れた。


「対しますのは、本大会の優勝候補っ! リバラルティア王国が誇る最強のテイマーにして、警護団の副団長を務める――ゼイナス・フィランデル選手っ!」


 名前が呼ばれた瞬間、これまでで最も大きな歓声が湧き起こる。


「――ゼイナス様!?」

『警護団っ!?』

『副団長だと!?』


 同時にカイル、エリノア、フィルは一斉に驚きの声を上げた。


 の、乗り遅れた……。俺もびっくりしたのに……。

 まあいいや。それでどんな人が出てくるんだろう。


 反対側の通路をジッと眺めていると、姿を現したのは、銀色の鎧に身を包んだ金髪ショートのイケメンだった。

 一目で良い人だと確信出来てしまうほどの好青年で、爽やかという言葉がそのままピッタリ当てはまる。


 その背後からは翼を持った純白の馬と、鹿のような角を生やしたウサギがこちらに向かって歩いてくる。


 ペガサスとジャッカロープか……。

 スライムとかケルベロスとか見てきたから今さら驚きはしないけどさ……。


 ――って、あれ? 二匹だけ?


 そう思った瞬間、二匹の後ろから深紅に染まったドラゴンが現れた。


『ヴァ、ヴァルムさん!?』


 その姿を見た俺は、先ほどのカイル達よりも大きく声を上げてしまっていた。

 俺の声に気付いたヴァルムさんは歩くスピードを上げ、イケメン達を追い抜いてこちらに近づいてくる。


『おお、久方ぶりじゃな! まさかこんなところで再会するとは!』

『ヴァルムさん、従魔だったんですか!?』

『ん? そうじゃが……言ってなかったかの?』

『は、はい!』


 前に会った時には気付かなかったけど、よくよく見れば足の指のところに銀色のリングが付いている。

 いやー、まさかヴァルムさんと戦うことになるなんて。


 そんなことを考えていると、一歩遅れて中央まで歩いてきたイケメンがカイルに向かって口を開いた。


「大袈裟な紹介だなぁ……。あっ、僕はゼイナス。よろしくね、えーっと、」

「カイルです! ぜ、ゼイナスさんっ! あの、僕、ゼイナスさんに憧れてテイマーになったんです! よかったら握手してください!」

「そうなのかい? それは嬉しいな。うん、よろしくね」


 そう言って、イケメンはカイルに手を差し出した。

 その手をカイルは両手で握り、ぶんぶんと縦に振っている。


 へえ、カイルの憧れの人だったのか。それはさぞかし嬉しいだろうな。


『爺、お知り合い?』


 今度はさらに遅れてやってきたペガサスが、俺とヴァルムさんを交互に見ながら声を掛けてきた。


『ああ。ほら、前に面白いドラゴンと会ったって話したじゃろう。その子じゃ』

『そういえば、そんなこと前に言ってたわね。よろしくね、可愛いドラゴンさん』

『よろしくー! あっ、爺の知り合いだからって手を抜くつもりは一切ないから、そこんとこ覚悟しておいてね』

『は、はい! こちらこそ!』

『おい、アイズ。ちょっと……』


 ペガサスとジャッカロープに挨拶を返していると、フィルが背後から小声で俺を呼んできた。


『どうした?』

『どうしたもこうしたもない。相手はあの副団長のチームだ。何か策を練らなければ……』

『そ、そうですね。何たって、あの副団長のチームですもんね……』

『あの副団長ってそんなに強いのか?』

『強いなんてもんじゃない。はっきり言って奴らは化け物だ。レパルドなんて比べ物にならないほどな』


 そうなのか。確かに副団長ってことは、三回戦で戦った人と猫達の上司なんだもんな。

 彼女らより強いってことはかなりの強敵であることに違いない。


 ――でも!


『大丈夫、俺達なら勝てる。確かに一匹あたりの実力なら負けてるかもしれないけど、何たって俺達は最高のチームなんだから』

『そういう問題では……いや、確かにそうだな。我としたことが後ろ向きに考えてしまっていたようだ。お前達とならきっと』

『アイズさん、フィルさん……。はいっ! 私達なら、たとえ相手が神様でも目じゃありません!』

『ああ! 絶対に勝つぞ!』


「それでは、準々決勝第一試合っ! 開始っ!」


 よし、行くぞっ――

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