表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

私なりの計画

「ええ。ベルガモットには物事を解き明かし、順調に運ぶための助けをしてくれると言われています。今の状況にぴったりでしょう?」


「本当ね。早く手がかりを掴んで、こんな忌々しい呪い解いてしまいたいわ」



ありがとう、と笑ってデイルにお礼を言う私の側で、レジャ様は本当に悲しそうに顔を歪めた。



「本当に……こんな呪い、早く解ければいいのに」


「大丈夫よ、任せておいて!」


「またもー! まだ解ける目処もたってないのに、お嬢はそうやってすぐ安請け合いするんだから!」



せっかくレジャ様を慰めようと思ったのに、可愛らしい声が私を咎める。声の方へ顔をあげたら、案の定デイルの後ろの使用人専用隠し扉から、ぴょこんとイルマが顔を出した。


その頭を軽くデイルが小突く。



「こら、言葉遣い!」


「はぁい」


「すみません、なかなか子供時代の癖が抜けなくて」



妹のイルマの代わりに兄であるデイルが謝るのはいつものこと。淡い紫の髪と瞳が特徴的なこの兄妹は、私専属の執事と侍女だ。子供の時から一緒に育って、いまだに幼馴染みたいに仲良くしてくれている。


もちろん前世の記憶もちの私からみたら、幼い頃は特に可愛い甥っ子、姪っ子のようにも思えていたのだけれど、今となってはこの二人の協力なくしては呪いの調査だってままならない。


今は控えているけれど、レジャ様がいないところでは、この二人が調査の主戦力。本当に頼もしい二人なのだ。


私は彼女の疑念を解くようにイルマに微笑みかける。



「安請け合いばかりでもないのよ。レジャ様が手伝ってくださったおかげで今週中にもこの書庫の書物は全て確認が済むでしょう? そうすれば次のフェーズに進めるわ」



まだまだやる気がありそうなレジャ様には書庫の本を読み込んで関係がありそうな部分を抜粋するという大切なところをお願いして、私は別な事に時間を割くつもりだ。


今もそのままに残してあるテールミオン様のお部屋。子供の頃にだいぶ真剣に探索してはいたけれど、今ならもっと違うところに気づけるかも知れない。


そして、テールミオン様が生涯を過ごしたといわれる公爵家所有の僻地の邸にも、足を伸ばしてみようと思っている。今は忌み地のように扱われて、管理する人すらいないらしいけれど、もしかしたら何か手がかりが残っているかも知れないもの。


まずは身近で調べられることから……と思ってやってきたけれど、レジャ様が書籍をあたってくれるなら、私は別の事を調べた方が効率的だ。


それに……これ以上、レジャ様と共に過ごすべきではないとも思っていた。


一緒にいる時間が長くなればなるほど、秘密を隠し通すのは難しくなる。私が前世の記憶をそっくりそのまま持っているだなんて、レジャ王子に知られたら、きっと彼は罪悪感を持ってしまうだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【作者の他作品】さっき完結したこっちも読んでみてねー♪

【書籍化&コミカライズ】地味姫と黒猫の、円満な婚約破棄

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ