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魔王に巻き込まれた大賢者、今世こそ隠遁生活を送りたい(願望)  作者: 白ゐ眠子
第二章・転生した魔王は問い掛けたい。
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第26話 元大賢者は、油断大敵を思い知る。


「大丈夫よ。見られた後に室内透視という条件付き発動の幻惑魔術を施して記憶書換魔術で私じゃなくアシッド教授の裸体に置き換えて筋肉ダルマな男性教授の裸体を忘れる事が出来ないよう完全に焼き付けてあげたから」

「そ、そうか。まぁお主がそれで良いなら。我は許そう」

「私も婚姻するまでは誰にも見せるつもりはないから安心していいわよ?」

「う、うむ。判った」


 イチャイチャ感を出すつもりはないけど下手に魔力放出されて面倒な者を呼び寄せるよりは私の身体は貴方の物とした方が安心するしね。

 私も殿下になら見られても良いとは思うけどそれを言うとリンスから説教されました。

 淑女としてダメダメらしい。


「それと国内の機密情報がどの程度まで漏れてるか、よね?」

「そうだな。現状では殆どが抜かれているらしいが、その中でも大賢者に関する情報が多いそうだ」

「あー、亡くなる直前まで国内に居たからね。どの程度の黒歴史が漏れているのか頭の痛い問題だわ」

「お主の功績が黒歴史とか」

「黒歴史そのものよ。今でこそ昔以上に改良しているから盗られる心配はないけど、それ以外の残留物はズタボロでしょうね?」


 それは大賢者の黒歴史。

 亡くなる直前まで居たこの国では殆どが黒歴史と言っていい程、碌でもない物しか残っていない。だって口伝をする前に亡くなったのだから記録と呼べる物など残っていないもの。

 唯一はゴライアスに伝授した魔術回路の施術法だけどバカに教えた施術法も単一の紋様しか施せないため、転生してから改良した【多段積層常待型魔術回路】の現状と比べたら出力面で雲泥の差が現れるの。お陰で今は全解放せずとも複合魔術が行使出来るからね?

 普段は表層だけを使っているけど。


「ズタボロか…」


 殿下は私の「ズタボロ」をオウム返ししたので率直な感想を述べた。


「ズタボロの黒歴史ね。正直許されるのなら燃やし尽くしたい位だわ」


 まぁそれを聞いた瞬間、


「それはダメだな。それをするとアレが黙っていない」


 殿下は大慌てで警告したけどね?


「流石にやらないわよ。宗主国を相手にして面倒を自ら引き寄せたくないわ」

「判っているならそれでいいが、本人が漏れても問題ないとするなら、当面は放置一択か…」

「放置でいいわね。一番漏れたら不味いのは、その大賢者が転生してきて今この国に居る事だから。それは貴方も同じでしょう?」

「うむ。魔族に知られるわけにはいかないな。先日はサキュバス。否、インキュバスにバレたが」

「それは、一時的な誤認って事としたわよ? そういう風に記憶を書き換えたから」

「!? い、いつの間に。いや、第三王子の件といい、護る事には全力を出すのであったな」

「当然! そうでもしないと落ち着いて暮らせないもの」


 そうして殿下との尋問相談会は終わり。

 私は殿下を寮の外まで見送った。

 まぁ体よく見れば第一位階の男性が元無印と懇意にしている風にも見えるけど周囲に見咎める者は誰一人と居ないので殿下が他の寮に戻るまで私は入口で待機した。

 それは一応、お互いに存在希薄魔術を行使しているから周囲でバカする者達に気付かれないともいうけれど。


  ◆◇◆


 そして翌日。

 今日はリンスの元に泊まる日である。

 私はJクラスの授業が終わると同時に自室へと戻り、身形を整えて人目の着かない場所へと転移した。

 Aクラスの者が居る寮裏へと転移したのだけど、何時も通りの独り言を呟きながら段取りを考えていると何かが背後から付いてくる。


「はぁ〜。憂鬱だわ〜」

「そこのお嬢さん? 何かお困りですか?」

「判ってるけどね? でもこれが最善手だから」

「お嬢さん? 気付いておいでですよね?」

「とりあえず、好みとしては似てるのか微妙よね? 似てるの? なら問題ないかしら?」

「お嬢さん? 気付いておいでですよね?」


 私はソレを完全に無視してリンスの部屋の前へと訪れた。だが、流石にしつこいので私は振り返りながら相手を諭す一言を告げる。


「ワザとらしい。その言い回し止めて貰えるかしら?」

「失礼。ですが、お困りのようでしたので、お声掛けさせて戴きました」

「結構よ。それに余りしつこいとうちの護衛が黙ってないわよ?」


 それは何故か、私の一言を待って居たかのように話し始めたので、お断りと同時に命じた。


「護衛ですか? 何処に?」


 声掛け主が周囲を見回す直後、


「!?」


 彼の死角から短剣が現れ首に突きつけた。

 お尻の大きなリーナさん半端ねぇ〜。


「ね? 暗殺が得意な護衛だから迂闊な真似は止した方が宜しいですよ?」


 実は最近のリンス部屋への行き来に於いては途中までをリーナが護衛してくれているのだ。

 それも今までならスキルで行使していた隠蔽を存在希薄魔術という例外中の例外を身につけた事で護衛という体裁上、最強の者となってしまった。


「ひぃぃぃぃ〜」


 彼は腰を抜かせ後退るように逃げていった。


「それくらいで怯えるとか宗主国の間諜の質も落ちましたね?」

「間諜だったんだ。まぁ何でここに居たのか謎だけどね」

「それはアレではないですか? 殿下の婚約者兼姫殿下の控えが現れたとなれば、その者を亡き者として、という話です」

「あー、交代要員を消す目的なのね。相変わらず小狡いというか」

「相変わらず? いえ、それでは翌日にお迎えにあがります」

「ご苦労様」


 そんなこんなでリーナはその場を颯爽と離れ私はリンスの部屋へと入る。

 まぁ私の部屋でもあるけれど入ったら最後、


「お待ちしておりましたわ。お義姉様♡」

「お、お手柔らかに、お願い致します」


 再教育という名の王族教育が待っていた。


(というかリンスが何かイキイキとしてるのは気のせいじゃないよね?)


 この関係が始まってから特に今回が顕著な気がする。そして、部屋の奥に入ると何か居た。


「アリス、すまない。バレた」

「え? 何がバレたのですか? 殿下?」

「アリサについてだが?」

「!?」


数年ぶりの改稿で申し訳ございません。

改稿を行いつつ続編を書いていきます。

〈改稿日:2022年12月17日〉

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