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第10話

更新が遅くなり、申し訳ございません。

 これは、翌日の結音の話……。


 僅か一日ぶりの自身のベッドに、結音は仰向けで寝て、ぼぉぉっと天井を見つめた。上手く言い表せないけれど、何処までも身体が沈んでいく様な感覚におちいった。


 あぁぁ、やはり自宅のベッドの寝心地は心地いい。そんな事を考えながら、結音はおもむろに右手を天井に向かって上げた。


(まほろちゃんの髪。とってもキレイだったなぁ)


 指に絡まった時、もっともキレイだと感じた。とってもさらさらしていて長い時間触っていたかった。

 あの時は夢中にブラシを使って髪をといていた気がする。文字とおり、時間を忘れるくらいに。


(というか。みんなの前でちょっぴり恥ずかしい事、しちゃったかも)


 やってた時は思わなかったけど。いま思うとやはり恥ずくなった。部員のみんなに部活動に集中するように言ったけど、視線をビンビンに感じたから。


 実は部員達は、チラチラと2人を見ていたことを結音は気付いている。また注意すれば良かったんだけど。そんな気になれなかった、だってまほろの髪があまりにも触り心地が良かったから。


 上げた手を下ろした結音は、その手を触りつつ。あの時後ろで見たまほろの表情(かお)を思い出す。


(嵐の時と同じだった。とっても気持ちよさそうな顔をしていたわ)


 心から安心している様な、甘えた子猫のような愛らしい顔。可笑しい、どうして? 心から何かを求めてる、あの時の感覚を欲しがってるのだろうか?


 こうして寝ている時でも思い返すくらい深く刻まれた。世話焼きな自分の欲求がそうさせるのだろうか?


(可愛い子猫って感じ、かなぁ。撫でれば撫でるほど何処までも身を寄せてきて、もっとしてって言ってきてるみたいだったなぁ)


 あの時のまほろを思い出すと、心から落ち着いた顔をしていた。まるで待ちに待った何かを実感しているみたい。

 あの夜の弱いまほろを見たから、より感じられる。……いけない、こんな事を考え出すと結音の胸の内が訴えかけてくる。


「胸のあたりがほわほわしちゃって、変な気分だわ」


 妙に暖かい、暖かいけど疼きもしている。顔が熱くなるのを感じ、部屋に結音1人しかいないのに、恥ずかしくなって毛布を頭まで被ってしまう。


 まほろの顔が頭から離れない、感触も温もりも吐息も、そして匂いも。意識すればする程心がトクントクンって高鳴ってくる。


(どうしよう、一旦落ち着かなきゃ。私ってば変な事を考えちゃってるよ)


 その高鳴りは、結音にとある事を考えさせた。その中で彼女は思う。

まほろは完璧で、なんでも出来るように見えても、とても弱い人だと。他の人と同じで泣きもするし弱音も吐くんだろう。

 夜嵐の時のアレを見てしまったら、放ってはおけない。結音の世話焼きスイッチが押されてしまう。


(あぁぁぁ。ドキドキが止まらないー、落ち着きなさいってばーっ)


 胸をトントンと叩く結音。こんな事をしても気は休まらない。ソレに、そんな確証はないのに、いま考えてる事があまりにも自分本位? 過ぎて可笑しくて堪らない。


 これでは幾ら時間が経とうが眠れない。まほろさんは寮母だ、生徒ならまだしも寮母に世話を焼くのはどうなのだろう?

 結音の中でグルグルと悩み出す。悩んでいるのは立場上の問題……では無く、世話を焼く事意外の感情が目覚めているという事。


(この気持ちって、間違いなくアレ……だよね。こんな事ってあるのね)


 まほろと会ったのは数回程度で、あった時間は長くはない。なのに結音の抱いたこの感情は紛れもなく……。


(い、いやいやいや。たぶんアレ!! 吊り橋効果的なやつよ。まだソレって決まった訳じゃない……筈)


 と、その考えを決定付ける前に結音は留まった。その場の気分で想っている部分も無きにしもあらずだろう。


(というか、こんなに悩むなんて私らしくないっ!!)


 普段、悩みとは無縁の結音。うじうじ考えるのなんて性にあわない


(悩むくらいなら行動あるのみよっ。この気持ちを確かめるために、またまほろちゃんに会いに行くっ)


 それで何かが分かるはず。会いにいって何をする訳じゃないけれど、会えばなにか思いつくだろう。


 人一倍行動力のある結音は、やるぞっ!! と気持ちを高ぶらせ眠りについた。夢の中ではたくさんシュミレーションをしている事だろう。本番で、ドジらないと良いのだが。

 それは彼女次第だろう……。


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