風塵
ところどころ
凍りついた川を流れて
ぬけがらの天使の肉体がたどり着く
人が人を、疑い、怖がる、
荒野の街の夕間暮れ
ぬけがらを横目にみて、走り去り
僕は駆け足で急な坂道を登りきる
君との約束の、丘の上の公園に行く着く
待てど来ない君の、吹く風にも似た
かすれた声だけが頭の中に聴こえる
そうなのか?
さきほど流れていた
天使のぬけがらが
君の奪い尽くされたあとの
今の姿だったのか
丘の上の公園の、
樹々の枝を揺らす冷たい風、
吹き止まず、
ただ茫々たる眼下の荒野の街へ
吹きおろす、
風、吹きおろす、
風、吹き止まず、
砂塵のなか、もはや挑む心もなく、
けれど、なぜか、
僕はこの街を、すてない、
風塵のなか、目を伏せ、ひとりでも………