女王様
俺は純子さんの部屋のパソコンをいじっていた。
いろいろと必要な情報を集めるためだ。あるフォルダの中に妙な名前のフォルダを見つけ、その中の隠しフォルダの中に隠しファイルを見つけた。
それは日記だった。机の中にある日記はダミーでpc内の日記が純子さんの本当の姿を映し出していた。俺は驚愕した。なんと純子さんはアルバイトでSM倶楽部で働いている事が分かった。ボンテージファッションの事や、色々な鞭の種類、お客さんとのプレイ内容など・・・
俺が1番気になったのは最近はブルウイップを使っているという事だ。
ブルウイップとはもともとカウボーイが牛追いに使ってた鞭で、長さは3メートル程で馴れてる人が使うとソニックブームを発生させる。ソニックブームとは物体が音速を超える時に発生する衝撃波だ。あの鞭のバチッ!って音がそれだ。
武器オタクの俺はもちろんブルウイップ使いだ。
部屋のクローゼットの中を探したところボンテージ衣装とブルウイップを見つけた。長さ2メートルちょっとで純子さんの体型と腕力に合わせたオーダーメイドと思われる。鞭を振ってみた。小気味よいバチッという音が鳴った。これは護身用に使える。本気で打てば皮が裂け血まみれになる。もちろん純子さんは手加減して使っていたと思われる。
もう一度隠し日記を読んでいた所、明日がSM倶楽部にバイトに行く日だと気付いた。俺はワクワクした。1度人間相手に鞭打ちしてみたいと思っていたのさ。
鞭の練習では空き缶とか木材だったので明日が楽しみ。
俺はソワソワしながら眠りに落ちた。
翌日、大学の講義は午前中でおしまいで午後からはバイトだった。
鞭で打ったり蝋燭を垂らしたりハイヒールで踏ん付けるだけの簡単なお仕事です。バイトが終わり渋谷のセンター街の裏路地を歩いていると、女の子の助けを呼ぶ声が!!急いで駆けつけるとそこには由美と3人の不良がいた。この前痛めつけた奴らだ。由美に復讐しようというつもりだろう。一人の手にはナイフが握られていた。大変だ!俺は路地裏に入りボンテージ衣装に着替えた。顔には頭からすっぽり被るマスク。純子さんの素顔を晒さないためだ。俺は急いで由美のもとに駆けつけた。
「おやめなさい!!」俺は裏声で叫んだ。
右手にナイフを持ってる不良が近付いてきた。
「なんだお前。変な格好しやがって」
「お前ではない。女王様とお呼び!!」
俺は不良の右手に鞭を振り落とした。ビシッ!!いい音が鳴り響き不良はナイフを落とした。呻きながら左手で右手をさすっている。俺は左手に鞭を振り落とした。ビシッ!!いい音が鳴り響き不良は悲鳴を上げながら地面を転げ回った。
のこりの不良にもビシッバシッビシッバシッあっと言うまに終わった。
「お嬢さん、さぁもうおうちにお帰りなさい。私も去るわ」
俺は裏声で由美に話しかけた。
「お待ちください!助けて下さって有り難うございました。お名前をお聞かせください!」
由美はウルウルした瞳で俺の事をじっと見つめている。
「私の名は・・・女王様仮面よ!オーホッホッホ!」
俺は走り去った。