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両雄の旅人  作者: 錦祇 樹
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語彙力もなく文章力もない自分は設定だけで勝負しようと思っています。この清々しい程の残念文章で完結に繋げられるのか不安だなぁ。と思いつつも結局は書かねば文章力も上がらないということで開き直ってます。ですので、これを完結させるまでにはある程度は読める文章力を身に着けますので、それまで生き残る読者さんを一人でも多く確保したいのが今の願望です。

『カドクの村』を出国して次の日の朝。俺と師匠は早くに目を覚ましていた。師匠は道具箱を漁り縫い糸と針を取り出して荷台の修理を行う。俺は特にすることがなかった為、昨日の出来事を振り返る。何かに呪われているのではないかと疑う程に昨日は酷い一日だった。村の男共の態度や生活ぶりにイラっとさせられ、食料を補充する為に寄ったのに飯だけ食って保存食の確保が出来なかったこと。そして、鬼娘を連れてきたのは良い。だが、その夜に六匹の狼による襲撃を喰らったのだ。別に、狼くらいなら寝込みを襲われても素早く対処できるだろう。しかし、荷台の一部を破損させられたのだ。屋根を担うテント部分を爪で引き裂かれ、隙間から綺麗に星が見えてしまう。晴れの日ならまだ良い。でも、雨の日が大変なことになる。怒りの募りに積もった感情が6匹の狼を一匹残さず絶命させていた。そんな昨日の事を振り返り溜息を吐くと、鬼娘が目を覚ました。鬼娘は、目を擦りながらうとうとしている。が、俺と目が合った瞬間飛び起きてペコペコと頭を下げながらに言った。

「す、すいません。昨日はそ、その……お礼も言わずに寝てしまって」

そして一間置いて、

「昨日は本当にありがとうございました」

と続けた。

「別に気にしなくていいよ。あんな状況なら誰だって助けてただろうし」

俺は何て返せばいいか分からずにそんな事を口にする。鬼娘は複雑な表情で「そっか……」と呟く。

「お前の名前は何て言うの?」

引き裂かれたテントの隙間を少しでもなくそうと、師匠は縫い糸で繋ぎ合わせながらに聞いた。

「ルリナ……ルリナ・ノイセス」

師匠をどこか恐れているのか俯きながらに答える。その微妙な雰囲気を掻き消すように、

「俺はレノウス・ケライトス。んで、こっちが師匠のルークス・フォルトレア」 

「レノウスさんにルークスさん……」

「俺のことはレノでいいよ。それに師匠にさん付けなんてしなくていいよ」

師匠と今まで旅をしているが、言動や思想がさん付けするまでの人間ではないと語っている。いや、商人としてはかなりの腕をしているし、この人以上に何かを秘めているそんな人は見たことはない。でも、これとそれとでは別の話だ。

「お前俺の弟子だよな、弟子になってるんだよな。師匠にその口はないぜ。まぁ、さん付けなんて信用されてないみたいで嫌だし好きなように呼びな」

「それじゃあ、レノに師匠さん……じゃなくて師匠ありがとう」

再度礼を言ったルリナのお腹から『ぐぅ』と鳴った。俺と師匠は笑いながらに「とりあえず飯にするか」と俺は提案する。「はいっ」と頬を赤らめ恥ずかしがるルリナ。しかし、ここで肝心な事を思い出す。

「し、師匠。保存食買い忘れてます」

「あ……」

ルリナと話をしている内に昨日買い忘れていた保存食の事を思い出す。やってしまった。あの時後からでいいやとベットインしなければよかったと後悔する。

「師匠、あれの調理って出来ます?」

夜中に殺した狼を指さしながらに聞く。

「う~ん、そのまま放り投げてたからなぁ。でも、食わなきゃ飢え死にするし焼いてみるか」

そういって師匠は狼の下処理を始め、俺とルリナは火種の調達に森の中に行くことになった。


「やっぱり自然の中っていいよね」

「うん……」

ルリナを連れて俺は枯葉、枝を見つけに森の中に来ている。

「ルリナに1つ聞きたいことがあるんだけどいいかな」

「ん?」

「どうしてルリナはここにいるの?」

ルリナはピタッとその足を止め、先程までの笑顔は消えさり俯く。(さっそく聞き間違えた……)鬼族が普通に考えればこんなところまで来るはずがないのだ。しかも子供一人で。あの怪我の状態から師匠にも深く聞くなよとは忠告されていた。でも、聞かずにはいられなかった。ルリナはニコニコと笑顔を見せるが時々目を虚ろにさせて、どこか無理やりに演じているようなそんな違和感がしていたからだ。

「ごめん。その、今のは忘れて。ルリナが言いたくない事なら言わなくていいから」

ルリナはコクリと頷く。それに「それじゃあ行こうか」とだらんと下がったルリナの手を引いて火種集めに戻った。


『バッタン!サァー。バッタン!サァー……』

ルークスは刃渡り四十センチ程の両刃刀で、六匹の狼の顔と胴体を次々に真っ二つに切断していく。飛び散る血が顔に飛んでくるのを服で拭っていく。血まみれになる服を見て「あちゃー。やっちまったな」と落ち込む。そのあと、はらわたを裂き内臓を取り出し、水タンクで綺麗に血を洗い流した。狼の毛が邪魔なので今の内に肉ごと厚めに削いでいく。火を起こし、水が沸騰そして毛を毟る。それが一般的なのだろうが、そんな事の為に何時間もかけてはいられない。朝食を通り超して昼飯になっては、いつになっても目的地には着けやしないからだ。

「一通りの作業は終わったけどこっからどうするか。から揚げ?焼肉?」

(朝からから揚げは中々に溜まるものがある。ならば、焼肉は?いや、同じか……)と考えることを止め四股を斬り落としてあばら骨に沿って一個一個分けていく。すべての作業が終わり、服や顔に付いた血を洗い流していく。ぎゅっぎゅと洗った服を絞り、その水で濡らした服を着る。

「こりゃ、つめてぇ」

一人子供の様にはしゃぐルークス。近くには血まみれの両刃刀。四股とあばら骨が無雑作斬り落とされている。この光景を見た者は中々に恐怖を感じるだろう。


その頃、飛竜に乗る二人の男が昨日取り逃がした鬼娘を見つけていた。

「おい、おの娘男と歩いてるぞ」

「ほんとだ、なんだあの男村人か?」

「籠背負ってるし、ここらの集落の人間だろう。武器も持ってないし、今なら捕らえれるぜ」

「そうだな。そんじゃあ行くぞ、兄貴」

二人の男は刃と大槌を装備して飛竜を飛ばさせた。


火種になりそうなモノを集め終えた俺とルリナは帰るところだった。結局あの後、ルリナとはあまり会話は無く、本当に何聞いてんだよと自分を攻めていた。重くないはずの籠がやけに重く感じる。そして溜息一つ。飯食ったら少しは元気になってくれるといいなと思いながらに、ルリナの手を引いた。

すると、目の前に何かが木々を薙ぎ倒し現れた。砂ぼこりが舞う。

「ルリナ後ろに!」

俺はルリナの手を後に引く。砂埃も収まり敵の姿が見え始める。

「そこの村人さん、お願いがあるのですがその子を渡しては貰えないだろうか」

刃を片手に近寄る男。後ろには、もう一人男と商人の移動手段として使われる飛竜が一匹いる。(こりゃ、奴隷商か……)即座に敵との力量を図る。武器無しで武器を持つ二人、しかも相手は奴隷商。足りないね。

「渡すと何かあります?それにそんな物騒な物は閉まってくださいよ、危ないですよ」

「俺の聞き方が悪かったか。渡して欲しいんじゃなくて渡せ」

男の態度が一変し、腰にぶら下げた刃も抜き二本刀をカチカチと鳴らし始める。しかし、その真似事をするように言い返す。

「すみませんが俺も聞き方が悪かったみたいですね。その武器しまえ。奴隷商風情が!」

男は青筋を見せて怒鳴った。

「村人のくせに生意気なんだよ!トートこの男殺すぞ!」

怒声にリリアはビクッと身震いさせ、その場に座り込んだ。トートと呼ばれた男は大槌を軽々と振り回して「あいよ、兄さん」と二人並ぶ。俺はリリアに「動くなよ」と伝え籠から太めの枝を一本取り出す。

「まぁ素手でもいいんだけどやっぱりここは同じ条件で戦わなきゃだよね」と挑発する。二人は、憤怒して「なめてんじゃねーぞ」

二人は一斉に飛び出した。刃を持つ男が先に仕掛けてくる。右の刃を横に薙いでくるのを屈んで避けると、一回転してさらに二連打を撃ち込んでくる。一本目は右手で刀の柄を跳ね上げ、二本目を左手に持つ木の枝で物打の部位を突き上げる。体制を崩し驚いた顔をする男に一発蹴り込んだ。十メートル程先まで地面に擦られながら飛んでいく。そこに、「今だ、トート!」蹴り飛ばされた男がそういうと、右側から音もなく現れたトートと呼ばれる男がる大槌を真横思いっきりフルスイングする。回避が間に合わずにルリナの居る方に飛ばされた。かなりの衝撃に襲われる。が、マナと呼ばれる魔法を使役する為の元素を手平に集め思いっきり地面にぶつける。マナがクッションの役割を果たし勢いを殺しつつ、空中で一回転して着地する。

「今のは流石にビビったぞ」

俺は大槌の男を誉めるつもりで言ったが、その男には呷りに聞こえたらしい。

「クソガキが調子乗ってんじゃねーぞ!」

挑発に兄が蹴り飛ばされ、さらには呷りを受けたトートは激昂し大槌を構えながらに突っ込んでくる。後ろにはリリアが居る為避ける事は出来ず、俺も構えた。木の枝を。勢いを付け手前で上に飛ぶトート。力一杯に振り翳される大槌を喰らったら流石に一溜まりもない。左手に構える木の枝に力を溜め、振り下ろされた大槌の側面にぶち当てる。顔のギリギリで起動の変わる大槌。しかし、それだけでは止まらずに、俺は大槌の側面に当てている木の枝を中心にクルッと左周りに体を浮かせた。大槌は地面を揺らし轟音を靡かせた。その轟音に俺は顔を引き攣らせながらにその大槌の上に飛び乗る。トートは今の回避方法に引き攣った笑みを浮かばせ、言葉を失っていた。俺はニコッと笑みを見せ右足で迫りくる二刀流の兄へと蹴り飛ばす。それにわかっていたかのように右に避け、接近してくる。(弟キャッチしてやれよ)と思いつつ、大槌から降りる。木に激突し気を失っているトートが置いていった大槌を持ち上げ、実感する。この武器かなり重いなと。片手では安定して持てないこの武器を、片手で軽々と振り回していたあの男を一人称賛する。奴隷商の男は鬼子を連れ出すのを忘れ確実に俺を殺しに来ている。そう目が訴えていた。久々の実践に俺は喜びを感じさせつつ、大槌で交戦する。

「お前大槌使ってんじゃねーぞ!」

訳の分からない事を言い始める男に、「しょうがない」とその男に向かって横に一回転して勢いの乗った大槌を投げ込む。蒼白な表情で地面にうつ伏せに頭を押さえて回避する男を見て笑ってしまう。

「お前ほんとに奴隷商かよ。なんでそんなに弱っちいんだよ」

故意に呷りを入れると、男は「うるせぇ、ぜってぇお前殺してやる」とさらに顔を赤くし飛び掛かってくる。木を集めに出てから三十分は経過しているだろうか。師匠を待たせる訳にはいかないと次で決めようと思っていると、俺の目の前に奴が現れる。

「おいおい、お前だけずるいぞ。俺もまぜろよ」

そこに師匠が来たのだ。

「なんでここにいるんですか!」

「あんなでっけぇ音聞こえたらくるだろ」

そんな事を言いながら、戦闘のやる気満々な師匠に呆れつつ

「好きにしてください。ただし彼は落ちても人ですからね。殺すのは無しですから」

俺はそう言い残してルリナの方に向かった。


「やっぱ戦闘してるなぁ」

ルリナとレノの帰りを待っていると近場で轟音が鳴り響く。その方角に向かうとやはりといった感じで、レノと男二人が戦闘をしていた。ルリナはレノの後方で身を震わせていた。(こいつらがルリナをここまで追い詰めたのか?)と疑問に思いながらにルリナの頭をクシャクシャに撫でる。

「なにそんな怯えてんだ。あんなのに怯えてたら鬼の名が廃っちまうだろうが」

鬼族とは魔王とも人間とも異なる種族で特に人間からは恐れられた存在だ。魔王とも引けを取らないほどの力量で、現代の人間が束になっても倒せないのではないかと言われるほどに。そんな鬼族が奴隷商如きに怯えててどうするんだよと。

「まぁ見とけ。しばき倒してくっからよ」

ルリアは顔を上げる。俺は、胸ポケットから札を三枚取り出す。

「焔鳥よ来たれ」詠唱をして宙に投じると小さな火を纏った鳥が三匹現れる。その鳥はルリナの近くをうろちょろと飛びまわる。ルリナはなんの反応もせずただその鳥を見つめている。身震いの治まったルリナを見て言う。

「鳥ばっか見てお前の為の報復を見逃すんじゃねーぞ。わかったか?」

「うん……」

ルリナは頷いて応えた。レノも丁度大槌を持った男を蹴り飛ばしたところだった。選手交代だと言わんばかりに、レノの前に入り込む。

「お前だけずるいぞ。俺もまぜろよ」

「なんでここにいるんですか!」

「あんなでっけぇ音聞こえたらくるだろ」

そんな事を言いながら、俺はまた胸ポケットから札を取り出す。レノも止めても無駄だと察したのか

「好きにしてください。ただし彼は落ちても人ですからね。殺すのは無しですから」

と言い残してルリナの下に向かった。


「てめぇもあいつの仲間か?糞がぁぁあああ」

二刀の刃を持つ男が接近してくる。体中はボロボロだが正気はまだまだありそうだ。

「雷鳥よ来たれ」先程と同様に札を宙に投じる。札は三匹の雷鳥へと変わり、俺の周りを飛びまわる。さらに詠唱をする。「氷槍よ出でよ」

すると、両手に長い氷槍が生成された。

「一体お前らは何者なんだよ!」

激昂する男は二本の刃を無闇矢鱈と振り回す。そんな生ぬるい攻撃を氷槍で軽々と弾きながらに雷鳥に命令する。「奴の刃を弾き飛ばせ」と。雷鳥は男の手首に向かって一直線に狙い飛んでいく。危険を悟ったのか男は距離を取る。しかし、雷鳥は何処までも狙い続ける。男は、刃で雷鳥を切り裂こうとするが阻止される。二匹の雷鳥が刃に噛み付いたのだ。その隙に残りの一匹が両手首に噛み付き電撃を流し込む。

「ッ!!」

男は刃を離しその場に膝を付く。雷鳥は二本の刃を俺の下に持ってくる。

「さて、ここからは質問だ。よ~く考えて答えろよ」

そういうと男はふっと笑って見せるが、瞬間顔を顰めて右太腿を抑える。氷槍が腿を射貫いていたのだ。生成した氷槍を風魔法で吹き飛ばしたのだ。

「それじゃあ最初の質問。鬼子をどうやって村から連れ出した?」

「連れ出してなんかいねーよ。そこら辺の森をウロチョロとしてたんだよ」

さらにもう一本の氷槍が左太腿へと突き刺さる。

「そうか。なら次の質問だ。お前らは何故この子が鬼娘だと知っている?」

「見つけた時にここに角生やしていやがったんだよ!なぁ、もういいだろ。それ以上は知らないんだ」

それでも男は知らないと主張する。見るからに恐らく本当に知らないのだろう。しかし、状況をもっと詳しく知りたくなる。

「悪いな。俺はそこら辺の生易しい人間とは違うんでな。これが最後の質問だ。心して答えろ」

氷槍をさらに五本を宙に生成し、その内の一発を撃ち放つ。それは男の頬を掠め少量の血が垂れ流れる。男は生唾を呑み、コクンと頷いた。

「お前らが森で見た場所は何処だ」

「鬼狭を降りた南の森の中です。ほんとです。信じてくだせぇ」

「そうか。良く分かった。それはそれとして四本も余っちゃったな」

俺は男の腕をちらちらと見ながらに言う。顔を引き攣りながら「勘弁してくだせぇ」と男は涙目で訴える。「それじゃあな」

そうして俺は残りの四本の氷槍を撃ち放つのだった。

ストーリーの進まない2話目でした。キリの悪い終わり方で申し訳ありません。

次回は22日の投稿です。それ以降から投稿頻度を少し早めていこうかなと、二話目の投稿直前は思っています。それでは、ここらであとがきは終わります。

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