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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第二章:古代なロボと勇者な執事。ロマンだっ!
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36話:よく考えると虫がデカくなって襲い掛かってきたら本気でヤバいよね?

 見渡す限り蟲、虫、ムシ、辺り一面に蠢く黒い影はすべて魔の虫共。あああ!絶対闘いたくないぜぇーったい!剣に触れさせたくない!というか近づきたくもない!けれども虫たちは縦横無尽に広がって、向こうからこちらへと押し寄せてくる。あああ!にゅああああああああ!!


「ああもううるせぇ!叫ぶんなら魔蟲を殺しながら叫べ!」

「だって仕方ないじゃないか!サンも知ってるだろ!ボクは昔から苦手なの!」


 何が楽しくてこのうぞうぞともぞもぞともしくはあるいはブブブブと低収音を立てて飛んで回る虫達と相対しなければならないんだよぉ!


「楽しくてあれと戦う奴がいるか!ライガ!」

「っ!」


 剣を翻し、魔物の首をは撥ねる、刎ねる!ああ、汁が!汁が!涙目になりながらそれでも切って切って切りまくる!体だけになった虫たちはギチギチとおとを立てながら木々にぶっつかって止まる。う、うひゃああ!


「小娘か!て、いやアタシも小娘だけど!ともかく全力で終わらせるぞ!虫共の進行が予想より少し早い!」

「わかってる!ああ糞、騎士に取り立てられた最初のお仕事がこれって先が思いやられすぎる!」


 全力全速、足を回して廻して舞うように走る抜ける。自身の持てる全開で走ってアイツから渡された布の付いた木札を所定の位置で投げつける。これでやっと一カ所目。もう一カ所は山の上って、どんだけ働かせるんだよ!


「あいつが一番頑張ってるんだからアタシらが気張らなくてどうすんだ!というか、マジで何者だよアレ?勇者として普通に召喚されてたら普通の魔王の国だったら、あいつ単独で滅ぼされまくってるぞ!?」

「それはボクが知りたいくらいだ!っ!正面!」


 目の前に立ちふさがる魔物、それは巨大な体をもぞもぞと動かしながらそれでも高速でそいつらは接近する。平たく、黒光りし、ガサガサと動くその姿は、ま、ま、ま、まさしく!


「い、いひっ!?」

「叫ぶ前にぶっ飛ばす!おらぁ!」


 サンが飛び出し、そいつらの頭を拳で砕いていく。砕かれたそいつらはそれでも動きを止めることなく、木々にぶつかってうごうごと蠢いている。きもいよ!きもすぎるよぉ!


「ああくそ、なんて数だ!ライガ、ふざけてる暇はねぇ!本気で行くぞ!こちとら数が圧倒的に絶望的に足りねーんだ!」

「っ!わかってる。帰ったらぜえええええええったい一番高い洗剤で体を洗うんだから!」


 剣を鞘にしまい、眼前の虫共を蹴り潰す。全員分の洗剤の請求は真人に持たせてやる!!


「「獣身・開放!!」」


 メキメキと体が変化し、ボクとサンはその姿を変貌させる。体毛が湧き上がるように生えそろい、腕が足が体が膨れ上がり、爪と牙がその鋭さをさらに増す。


 ――この姿は太古の祖先の姿。ボクらが人の姿に近づく遥か昔、獣と、魔物と言われていた姿。


「「があああああああああああああああ!!!」」


 圧倒的なまでの勢力で虫共を蹴散らしながら先ほどよりもスピードを上げて突き進む。風の力をも纏ったその力はすさまじいもの。魔力を伴ったその爪は、拳は鋼鉄程の硬さの虫共の甲殻をいともたやすく切り裂き、潰していく。

 この姿は長く持たない。無理やり太古の姿に戻っているのだ。体の魔力が尽きてしまえば身も心も疲弊して元の姿に戻ってしまう。

 けれどもなってしまったのならもう止まる術は無い。戻ったら喰われて殺されるか、喰われなくても苗床にされちゃうんだよ!どっちも嫌だから全力で目的地へとひた走る。


『ぎちち、貴様らが姫騎士か!よくぞ虫共の群れを抜けてきた!我こそは――』

「「邪魔!!!」」


 げひ、と何か大きなカブトムシのような何かの頭と胴、下半身を砕いて割いて更にひた走る。何かいたかな?


「知るか!」


 兎も角虫汁がやばい。匂いもヤバい!カメムシとかマジで来ないで。来ないでくださいおねがいします!


「言うな!絶対近づいてくる!あ、うああああ!」

「匂う、匂うよ!鼻がっ!にゃあああああああああ!!」


 涙目で泣きながら叫びながら人面甲(カメムシ)共を叩き伏せて行く。これしきなんの!そう、思い出せ!あの時の真人の匂い玉に比べたら何倍もマシだ!でも臭いよおおお!


 目的地、山の中腹にようやっと到着する。体中、擦り傷に噛み傷の傷だらけ。開放した力も既に解け、木札を刺して二人して力なく倒れた。


「ボクらはやり遂げたぞ、真人。あとは全部丸投げするからなー」

「ああ、自慢の毛並みがボロボロだ。せっかく伸ばしていたんだがなぁ」

「乙女か!」

「これでも乙女だよ!男の格好してるお前に言われたか無いね」


 ははは、とサンと笑いながら眼下を見つめる。押し寄せる魔蟲たちの群れ。とめどなくあふれるように押し寄せる虫共の群れは、ボクらを見つけると悦びに満ちたキチキチという音を立てながら迫ってくる。

 足腰はもう動かない。手も、力が入らない。ボクとサンはなす術もなく、抵抗することなく、

奴らの腹に収まる運命だった。

 ああ、虫達に喰われるのは嫌だなぁ。またアイツと、僕は――


 

 

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