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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第二章:古代なロボと勇者な執事。ロマンだっ!
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34話:虫の大群を見たときに感じるゾクゾク感はわくわく感とは絶対に違う何かだよね?

 上部のハッチを開けて走る車体の上に出る。風が強いな!


 闇夜に浮かぶ三つの月。その光りすべてを覆う影、影、影、影、影、そのすべての影が敵だった。

 下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるっていうけど石を投げたら絶対に一匹には当たりそうだよ!なしの礫で一匹位じゃ何の意味もなさそうだけど?一、十、百、千、万、うーん、無量大数かな?元の世界の八百万の神様もびっくりだよ!いやいや、多すぎないかな!?多すぎるよ!


『魔蟲は繁殖力が高い魔物です。故にその魔物を操るバアルの戦術として基本としまして』

「物量かー。うん、戦いは物量だよね!やばいな!」


 スピーカーから聞こえるサテラさんの言葉に頭を抱える。予想通りの想定内だけど、目の前に見るとやっぱり辛いんだよ。目の前の闇、あれ全部敵だよ!しかもご丁寧に道中で道草以上に道木喰ってるよ!あれ通った後荒野になってる感じがする!


「獣族でもないのによく見えますね。にゃあ……。私でも目を凝らしてやっとなのに」

「ふっ、影に生きる男は闇夜に強いのさ」

「どうでもいいんですが、どうするんですか?」


 くぅ、クロエさんに軽く流されたんだよ!


「簡単な話だよ。ブッパでぶっ飛ばして一網打尽で殲滅?」

「うん、意味が分かりません。ロベリアちゃん解説を」

「私にもわからないのでパスです」


 おかしい、伝わってないよ!さっきも説明したよね!サテラさん?サテラさんは分かるよね?


『問題ありません。現着後、変形し、チャージを開始します。支援衛星は既に定位置についておりますので』


 それは心強いな!衛星かー。メテオレディかな?アウェイティングかな?空から降りる光で判断しよう!青かなー赤かなー?わくわくするんだよ!


「ねぇ、夏凛。月は出ているか?じゃないの?」

「ごめん林檎、アタシにはどれもわかんない」


 トラクターが止まり、みんなが外に出たあと、追随してきた車ブラスティとサテラさんが接続合体(コネクト)し、ブラスティアーへと変形する。そこから更にトレーラー……ルクスカイザーと更に機人合体を行い、グランブラスティアへと至る。うん、やっぱり格好いいよ!ハッチはまだ壊れたままだけど、それでもやっぱりカッコいい!どう見ても勇者側のロボだけど!ネーミングからして製作者絶対意識してるよね!絶対そっちじゃないかな!そこのところどうなのサテラさん?


『申し訳ありません、その記録は残されていません。ログに残されている言葉は――勇気こそが力だ、と』


 なるほど、後は勇気で補うんですね!わかる人にしかわからないよ、製作者さん!でも流石に魔石を頭にはめ込まなかっただけ、色々と?各所方面に?気を使ってくれたのかなって思っておこう。こうGとかJとか無いし……?うん、危ういな!


「兎も角作戦開始だよ。サクラちゃん、俺頑張ってくる!サクラちゃんも頑張ってね?」

「はい、やれるだけ頑張ります」


 サクラちゃんのおでこに軽くだけキスをして一人正面に走り出す。周りの目が痛かったから明日に向かって走り出す!

 正面突破は俺の仕事。右側面はライガとサンスベリアさん、左側面は椿さんとクロエが走り抜け、後方支援にミラさんとサラさんにエルちゃんが構える。ドワーフのマネちゃんとくっころ勇者三人娘にロベリアちゃんは後方支援組の護衛だ。うん、完璧な布陣だな!


『完璧と言うならもっと人数を増やしてから言うんだな!』

「いないからいるだけでやらないとね!この人数じゃ包囲もできやしないし!ライガー今度面接頼んだよ!」


 ライガーに全部丸投げしつつ森を走って奔って駆け抜ける。

 本当なら大魔王の応援が来てから動きたいんだけど、そんな暇もないし、正直動いてくれるかも怪しい。サテラさんの部下であるロボたちを支援に呼んでいるけれども、それでも到着は一時間後程。うん、サテラさんの領もここから離れてるらしいから仕方ないんだよね!古代遺跡にいたロボは俺が大体壊しちゃってたんだよ……。てへぺろ?


 だから圧倒的に絶対的に足りない数はこの際諦めて、総括してぶっ飛ばせるように囲いを作る。その役目は側面に二手に分かれた四人だ。俺?ああ、俺はね?


「――こうして直接言葉を交わすのは三度目になりますかねぇ、執事殿。……いや、勇者真人よ」

「さぁ、何度目かも思い出したくないかな?髭のおっさんとの思いでなんてあんまり嬉しくないんだよ」


 目の前で二枚の薄い大きな羽根を細かくはためかせる髭面の男、魔王バアル。その相手をするんだよ?うん、ひとりで?やばいな!


「たった一人で私の前に出てきたことは、ええ、褒めて差し上げましょう。喝采ですね!喝采です。ですが、ああ、貴方の手管は既に分かっております」

「だろうね。外に向けて中継されてたし?どうやって魔王を倒してたかも知ってるんでしょ?」

「ええもちろん。魔力弾なぞ使えばあなたの力に変えられてしまうでしょう。ですので」


 メキメキと、バアルの体が膨れ上がり、甲殻の肌が姿を現す、目は赤く複眼となり、その姿は三階建てのビルをも超える蠅の化け物――というより、蠅の竜だよこれ!無駄に格好いいよ!なんで蠅なのに流線形なのさ!


『あなたには、魔力など使わずに勝利してみせましょう!圧倒的な力と、数の前に!!』

「……え、あんだって?」


 格好つけているところ悪いけどね?うん、よく聞こえないんだよ!蠅の羽音が何倍ににもなっているからね!ヘリの爆音なんて目じゃない爆音だよ!まぁ、本当のところは聞こえてはいるんだけどね?


『ふざけた奴めが!我が力の元、ひれ伏すがいいのです!』


 蠅の魔王が空へと舞い上がり、無量大数にも見える虫たちがキチキチと笑うように音を立て始めた。あれ?魔王だけじゃなくてこの魔蟲たちも相手なのかな?……ふふ、ヤバいな!

3/9ミスのため変更。サンスベリアと椿が言った方向が変更になっております。

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