29話:古代遺跡に眠るロボってどう考えてもロマンとミステリーの塊で男の子って感じだよね?
さぁ、やってまいりました古代遺跡!一体どんな出会いが待っているのか!おおっと出迎えに現れたのは古代兵器の小型ロボたちだ!人型ではなくドラム缶みたいな形で四足は車輪で動いているぞ!うほほ!近未来だ!近未来だよ玲君!
「うわああ!そんなこと言わずに前!前!頑丈なのは分かってますけどあああ!なんで銃弾の雨の中に突っ込むんですか!?馬鹿ですか!バカなんですか!うわあああ!」
知ってるかい玲君、要は当たっても効かなければ問題ないんだよ!まぁ当たればハチの巣なんだけどね!ちゃんと水でガードしてるから大丈夫だよ大丈夫!はい、ドーン!
「ひいちゃった!?ええ、ロボひきましたよ!?というか、水で攻撃できるんですから攻撃しましょうよ!!」
「いやいや、ここは正面突破!一点突破で突っ切らないと!それがきっと男の子なんだよ!」
「訳が分からないよおおお!うわああん、ロベリアさんこの人止めてー!」
「うぷ、無理です。放置安定なのでがんばってくら、ぷ、ふぅ……!」
おおっと出すならエチケット袋にお願いしますね!袋なら沢山あるんだよ!
「さぁてそんなことより見えて来たんだよ!うわぁ!すごいよ!完全に機械要塞だよ!あれかな、あの要塞も変形するのかな!しちゃうのかな!?」
「なんで敵の戦力なのに嬉しそうなんですかこの人……」
「真人様ですからしかたないんです」
「訳が分からないよぅ!」
褒められても何も出ないよ!宣戦布告も終わったことだからそろそろ相手さんも本気を出してくる頃かな?とりあえず隔壁さんに突っ込むよ!本日二度目のドーン!!
「うあああああああ!なんで隔壁に突っ込むんですか!!」
「男ならぶち破らないと!まぁ蛟な水蛇さんで切り裂いてたから安全は安全なんだよ!破片は知らないけど!適当だな?」
「じ、自分でてきとうっていってる……にゃ……うぷっ」
「よ、酔い止めじゃ、ダメでした、ね、けぷ……っ」
「真人様の、ば、莫迦……」
「うぷ……ぷっ」
ううん、なんでか敵と戦う前にグロッキーだ。なんでかな?はっこれもまさか全て……!おのれクライシス!違うかな?あ、はい。ごめんなさい。
『まさか、まさかとは思いましたがここまで大馬鹿モノだとは思いませんでしたよ執事どの』
車から降りるとどこかからかあのヒゲのおっさんの声が響く。姿を現さないなんてなんて卑劣な奴なんだ!とりあえず、バールのようなものさんこんにちは?そろそろこんばんわかな?とりあえずちーっす!
『ふん、品性の欠片もない糞ガキめが!貴様たちが今から何をしようと全て無駄なのですよ!サテラ・グルンガストはすでに我が手中!お前たちがいようといまいと我が計画に狂いはないのです!』
サテラさんって言うのかー。グルンガストさん意外と可愛い名前だった!とりあえず出てこないとぶん殴れないから出て来てくれないのかな?俺の気持ちは怒りの王子なんだよ!ゲル化はできないけど!
『訳の分からない事をごちゃごちゃと……!くく、まぁ良いでしょう。あなた方にはサテラのいい練習台になっていただきましょう。さぁ、行きなさい可愛いサテラ!私にその力を示せ!!』
「――はい、マスター」
奥の扉が開き、メイド服の少女が姿を現す。髪の長さは床につくほど。切れ長のアメジスト色の目は光宿すことなく敵である俺たちを見やる。
え、この子がグルンガストさん?ロボは?ロボじゃなかったの!?AIじゃなかったんだ!?
「だから、そうだって言ってたじゃないですかぁ……!」
玲君が絞り出すような声でそう言ってくる。うん、でもね?信じられなかったというか信じたくなかったというか、それにしてもまつ毛長くて美人さんだな!ちゃーっす!
「我がマスターの障害となる者よ。その肉と魂を捧げて償いなさい」
ガコン、と巨大な扉が開き、俺たちの乗ってきたのと同型の車が現れる。え、まさか……まさか!?
「――コネクト」
車に彼女が飛び乗った瞬間、バリアが展開され、少女を取り入れて巨大な人型へと変形していく。こう来るかーこう来たかー!くそう、カッコいい!いいギミックしてやがるよ!
「いや、関心する前に変形途中で止めないとダメじゃないですか!」
「何を言ってるんだ玲君!合体途中で攻撃なんて邪道で外道だよ!ああでも最初の合体を妨害されるのもまた乙な……」
ゴウン、更に大きな音が鳴り響く。後ろに現れたのは巨大な、そう巨大なトレーラーだった。まさか……まさか!!
『――機人合体』
澄んだ声と共に今一度バリアが展開し、トレーラーとロボが合体して更に巨大なロボへと変形していく。ぐ、グレート合体だとう!?
「だから!なんで攻撃しないんですか!」
「だから!したら駄目なんだって!礼儀だよ!変形ロボへの礼儀だよ!?」
まぁ、実際のところ変形のたびにバリア張ってるからしても無駄だろうと言う所がある。あのバリアは水じゃ破れそうにないんだよ!弾かれるかあたった瞬間に蒸発しそうなんだよ!けれどもみるところはそうではない。胸のクリスタルの部分には姫騎士の面々が円柱状のガラスケースに収納されており、頭のクリスタルにまるでエンブレムのように掲げられているのは――
「サクラちゃん……」
俺の愛する彼女だった。