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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第二章:古代なロボと勇者な執事。ロマンだっ!
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28話:ボスめいた奴って初めとラストだけしか顔見せてくれないこともあるから割と印象が薄いよね?

 目が覚めると裸で拘束されてた。


 な、なんでだ!?いや、うーん……?いやいやいや!?なんで、どうして!?なんでボクは裸なんだぁ!?


 横を見るとボクと同じように姫騎士のサンもマネッチアも椿もミラさんもエルゥーシーすらもガラスの筒に裸でつるされている。どうやら同じく捕らえられているらしい。全くもって趣味が悪い。ご丁寧に手足を上下で広げるように吊り下げられている。これじゃあ全部丸見えじゃないか!


 しかしながら頭の中がまだふるふるなグルグルでシャッキリとまとまらない。一体全体どうしてこんなことに?……そう、確かボクらはオウカ姫と共に坑道を視察して、その後……の記憶が、無い。


 回らない頭を回して思い出す。魔王バアルがオウカ姫様が興味を持たれていたグルンガスト様の目覚められたという古代遺跡に案内したときの事だ。ここを通らなければ中に入れないという小部屋に姫様と一緒に入って、そして……目覚めたらここだ。あ、あああっ!最悪だ!完全にたばかられた!本気で真人に合わせる顔がない。おそらく真人が最終手段として口に仕込んでおいてくれと言っていた木札のおかげで目を覚ますことができたのだろう。けれど、ここから抜け出そうにも体に力が入らない。というか固定が割と頑丈だし!口にも何か嵌って……あれ?おしりにもう一本何か生えて……というか刺さって?いやいや、ふふ?気のせい?気のせいだったらいいなぁ、気のせいじゃないなー。うわああ!乙女の尊厳が!尊厳がぁ!!


「ほう、姫騎士とは名ばかりだとは思っていましたがまさか目が覚めるとはな」


 鋼の扉が開き、一人の男が入ってきた。隣には一人の少女……姫様ではない。


「もごご、もが!もごがぁ!」


 ああくそ、文句を言いたいのに口にチューブのような何かを嵌められているせいでしゃべることもままならない!ここから出せ!というかお尻の外せ!姫様はどこだ!


「くく、あのライオネルの娘もこうなれば形無しですねぇ。私が直々に手足をもいでやりたかったのですが、残念ながらそれはまたの機会にさせていただきましょう。もぎ取るだけなら数十分もあればできるようですが……じっくりとゆっくりとワインをたしなみながら楽しみたいですしねぇ!」


 ニヤニヤと無様な私たちの飾られた円柱のガラスケースの前を、魔王はゆっくりと見て回る。

 くそう、体さえ動けばこんなやつぶっ飛ばしてやれるのにっ!


「おお怖い怖い!まぁ、そんな眼をしても無駄無駄っ!薬は体に巡っていますし、助けももう来ません。あの魔王殺しの黒髪男もお似合いの黒猫が始末しているでしょうしね」


 黒猫……?クロエ?クロエのことか?なんであの子の名前がこいつから……。


「ああ、気づいていませんでしたか!くくく、滑稽だ!ああ、本当に滑稽だ!仲良しこよしの幼馴染!実は身も心も私に捧げた女だったのですよ!あの娘は命令一つで私の足を喜んで舐める可愛い愛猫なのですよ!」


 そんな、馬鹿な!あの子はそんなそぶり、今まで……催眠?まさか催眠でクロエを操っていたのか!


「まぁ、もうそれも過ぎたこと。あの猫も、この領も、あの城も、もう必要ありません。――サテラ。この子がいれば私は!この世界を支配できるのですから!」


 サテラと呼ばれる灰色の髪の薄紫色の目をしたメイド服を着せられた少女は、大笑いする魔王をよそに無表情で虚空を見つめている。この子は誰だ?


「ん?サテラが気になるのですか?ふふふ、美しいでしょう?かわいらしいでしょう?それはそうです、彼女は愛でられる人形として生み出された存在なのですから!」


 いったい、何を、言って――?


「この子はいわばアイドル(偶像)なのですよ。人類の守護者にして、愛すべき人形。そのために生み出された傀儡なのです。しかし、ああ!何たることか!長く永く、悠久の時の果てにあろうことか人ではなく、魔王を超えた大魔王と契約を交わし、護るべき人類を脅かす大魔王四天王へとなり果てたのです!これを悲劇――いや、喜劇と呼ばずして何と呼ぶか!」


 まて、じゃあこの子は。この人は……。


「気づいたか?そう、彼女は四天王の一人――サテラ・グルンガストだ。すでに大魔王との契約は破棄され、私の従順で忠実な人形になり果てているのだがな!だから貴様らに助けなど来ない!くく、来たとしてもすべからく蹂躙され、私の可愛いいとし子たちの餌になり果てるのだからな!」


 そんな、馬鹿な。グルンガスト様が女の子で、人類の守護者……だった?いや、そうじゃないなんでこいつはグルンガスト様を使役できているんだ?


「なんでこいつを私のモノにできたか気になるのでしょう?気になりますよね?だけど教えてあげませぇん!ははは!ライオネルの娘よ!お前はそこで姫と一緒にサテラの部品の一部となるのです!ああ、楽しみですねぇ……。あの尊大な男がお前のその情けない姿を見てどう思うか!いや、ふふふ。もっと弄んでからあいつに見せてあげましょう。時間をかけて後ほどそこに並ぶ姫騎士どもと姫を交えてじっくりと遊んであげましょう。まずはこの領を平らげてから、ですねぇ!ああ、楽しみでなりません!指の先から削っていってあげましょうか、それとも女に生まれたことを全力で後悔させてあげましょうか!ああ、ああ!考えるだけでよだれが垂れてきそうです!」


 恍惚とした勝ち誇った顔でバアルは独りごちる。

 くそ、くそう……!こんな!こんな奴にやられるだなんて!真人、ごめん。ボクは君との約束を果たせなかった!姫様を護れなかった!君と、もう、逢う事すら――。





 その瞬間、ぐらりと世界が揺れた。




「な、何だ!?何が起きた!」

「敵襲です」


 慌てるバアルをよそに鈴のような声で少女が言う。


「そんなことは分かっている!一体誰が――」


 空中に映し出された映像には一台の車。

 流線形で銀色のその車……の隣にはなんでか大きな水の蛇がにょろろっとついて来ている!なんだよこの光景!いや、このめちゃくちゃなハチャメチャは一目で誰かわかる。真人――!


『あー、テステス?糞ったれなバールのようなモノとか呼ばれそうな珍妙で奇妙な名前の髭面の変なおっさん?だったかな?聞こえてますかー!だー!ふはははは!今からそっちに行くから髭剃って待っててね!はーと?あ、駄目だ!髭剃られたら誰かわかんないし?あいでんててーが崩壊しちゃうんだよ!あんまり絡んでないから髭しか印象が無いんだよ!とりあえず俺が毟ってあげるからおとなしく待っててね!虫だけに毟るから!ぷくく、上手いこと言えたんだよ!あれ?なんでジトなのかな、ロベリアちゃん?ありがとうございます!』


 いつもの調子でいつもの如く、のんきで平和で狂気に満ちた彼が、笑いながらやってきた。うん、いつも通りの莫迦だ!

遅くなりました。

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