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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第二章:古代なロボと勇者な執事。ロマンだっ!
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26話:アイデンテテーとか言われても横文字じゃ意味が分かりづらいよね?

 私は私が何者かを知るために生きている。


 私が私として目を覚ましたのは今から二十年程前。古びれた、古代の遺跡の中枢部で覚醒した。錆コケで、風化してボロボロになった自らの体。その体で大魔王グリムと戦い、破れマスター権限を彼に譲渡した。


 なんでも、奥さんと新婚旅行して回ってたら偶然遺跡を見つけて偶然起動させたとのこと。無茶苦茶でハチャメチャな出会いだったが、彼と彼女との出会いは私が私としての人格形成において大いに影響を与えられた。

 もちろん、参考にしなかった部分も多くあるけれども大魔王夫妻の人となりが無ければ今日の私はいなかっただろう。

 けれども私は未だに私が何者かを思い出すことができていない。

 あらゆる文献を調べ、時に情報を求め人の国に潜り込み、時には異世界のデータベースを漁ったりもした

。新しい体を作るのに大いに参考にはなったが、残念ながら私が何者であるかという答えは全く見つけることができなかった。


 けれども、先日その問いに波紋を投げかける者が現れた。

 それが魔王バアル。蟲の魔王であり、私の眠っていた地であるアークル領をオウカ姫に代わって管理運営している男だった。

 彼の話によると、私の精神の基幹部分に重要な役割を持つ機器を私の眠っていた遺跡で発見したらしい。

 以前調べたときには見つからなかったはずなのであるが、百聞は一見に如かず。機械である私ですら映像データをも満足に遅れないこの世界ならばこの言葉はまさしくだ。

 だから、オウカ姫の護衛という名目を置いて彼に逢うためにわざわざこの地に再び足を踏み入れたのだ。

 しかし、この地に来てから耳にするのは魔王バアルの悪評に次ぐ悪評。何かを求めて行動をしているようだがまるでその答えが見えない。しかし、悪辣な彼の評判は私にとってはどうでもよかった。彼が今後、勇者でオウカ姫の婚約者であり執事である真人さんに捕らわれ裁かれようと、殺されようと関係が無い。私はただ、自分が、何者か、それを知りたい。


 ――それだけ。ただそれだけが私の願いだ。


 文明が滅びゆく様を幾度もデータとして、意識なく眺めてきた私が、初めて意志を持てたあの日。

 その日から抱き続けていた疑問をようやっと果たすことができる。


 言いようも無い高揚感と胸の駆動音の高鳴りを隠しつつ、私はこの地を訪問した最初の夜に魔王バアルが指定した故郷の遺跡へと足を踏み入れ――そこで、私の意識は唐突に、何の前触れもなく、ブツリと途切れた。






「――くくく、気分はどうかな?機械侯爵グルンガスト……いや、サテラ・グルンガストよ。それが本当の長年探し求めていた答えですぞ?」


 光を久しぶりに(数千年ぶりに)浴びた目はまだまぶしい。ふらふらと体を起こし、何も服を着ていないせいか肌寒さを感じる。そういえばまだ春先、温かくなるのはこれからだったか……。ああ、そうかやっと理解した。理解できた。


「わた、しは……ひと?」

「ああ、そうです。貴女は人なのです!人だったのですよ!機械でも魔物でもなく!間違いなく、まごうこと無き人間だったのです!数千年も遥か昔、滅びた文明の生き残り!ナノマシンにより永遠の命を得た古代人の末裔!それが……君、サテラ・グルンガストの正体なのです!」


 息を、吸う。唾を、呑む。いまだに光に慣れない目を閉じる。


 ああ、そうか。だから私は私足りえなかったのだ。

 体を動かすときに感じていた僅かなラグも、別機に意識を移すときにどちらかに容量を割かなければならなかった理由もそれ。私の心と体が別々の場所にあったから、私は私足りえなかったわけだ。

 私の中にあった疑問が次々に氷解していく。だが、まだ答えはでない。出ていない。


「じゃあ、私は、なん……だ?けほ、機械でなく、この地を見守る守護者でも無かった。私はなんだ?何者だ――?」

「貴女が誰か?ふふふ、まだ思い出せないのですか?サテラ!思い出すのだ!お前の主は……誰です?そして、お前は何です?」


 主?そんなのは決まっている。今までだってそうだったようにこれからもそうだ。


「わたしの主は、あ、あがああ、あな、貴方……デす。ま、まま、マスターバアル。私は貴方の、モノ――で、ス」


 その瞬間、バアル様は嬉しそうに高らかに笑った。


 私の周りに敷き詰められた大量の魔石が更に煌々と光り輝く。きらきらと美しくその光は私の本当の体のナノマシン全てがマスターのモノへと変化させていっているらしい。

 私の生身の肉体も、今まで纏っていた機械の体も、生み出してきた機械兵たちも、私と接続されたこの遺跡の総ての機能も、私の持つ何もかもがマスターのモノになってゆく……。


 ――ああ、なんて、シアワセナノダロウカ!


 ガリガリとゴリゴリと頭と体のすべてを今まで感じたことのないほどの多好感を感じさせらレながら書き換えラレてイく。イ、く!


 ああ!ワタシは、私の生きている意味をやっと見つけられたの、ダ!


 ちが、そんなワけ、な!がっ!



 





 ――タスk

遅くなりました

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