19話:流星って煌いて瞬いてすぐに消えるけど消えないと色々と諸々と地球がヤバいよね?
カモン!レッドスネーク?
坑道と言う名の洞窟からまたもや水でできた巨大な蛇が鎌首をもたげた。お、今回も大量だ!はっはっは!こんばんはお大臣様だよ!
「これで三つ目……」
「常識……常識が!」
姫騎士の二人が頭を抱えている。うん、常識なんて俺の非常識だよ!何せ異世界だからね!仕方ないね!
「どの世界から見ても非常識だと思われますが、どうですか苺ちゃん?」
「うん……。ひじょーしき、というか……じょーしき、はずれ?」
うん、苺ちゃん?ロベリアちゃんには本当の事言ってもいいだよ?俺常識から外れてないよ!なんたって俺は常識人さんだから!あれ、なんでみんなジトなの?おかしいな!常識的に考えておかしいよ!
兎も角さてはて、これでサクラちゃんが行った坑道以外は全部潰したことになる。
その最後の一つも潰しに行きたいけれど、その前に地獄の番犬の兄ちゃんの村がこの近くなのでそこに行くことにする。話だけでも聞いておきたいし、被害の状態も気になるからね!
何せここは人の国に近い地域にある村だ。疲弊しすぎているとその国の兵が攻め入ってくる可能性もある訳で、ここら辺の村々がしっかりとしてくれていればこの領の安定にもつながるって訳だよ!わかるかい、翔太郎!
「誰ですかしょうたろうさんって?」
「おっきなロボ……さんを……こう、がちゃがちゃって……操る、人?」
うん、それは違うしょうたろうさんかな!というかよく知ってるね苺ちゃん!彼がたぶん日本で一番か二番目に有名なしょうたろうさんだしね!もちろん一位二位を争うのはきっと石〇森さんが入ると個人的には思うけどね!
『検索データなし。やはり異世界の事柄には私は無力ですね』
バイクなグルンガストさんがなんだか物悲しそうにつぶやく。
いやいやいや!流石に異世界な元の世界の事を、まさしく異世界のグルンガストさんが知ってたらびっくりだよ!はっまさかこの世界にもライダーが!?おのれディケイド!この世界もまたディケイドによって破壊されてしまった!え、違うの?違うよねー。
「……真人様、火のにおいがいたします」
「うん、俺も感じた。野焼き……だったらいいんだけど、違うだろうなー」
この時期は農作物の種まきの時期。詰まる所、野焼きの時節は過ぎ去って幾ヶ月は立っている。あー、これ襲われてるかな?襲われてるね!どうしてこうタイミングがいいかな!
『全力で飛ばします。真人さん、しっかりと捕まられていてください』
「うん、大丈夫!ヘルメットも付けたし、マスクも付けたしマントも付けたんだよ!」
「いや、待ってください。マスクにマントって、なんでその装備をしっかりと付けてるんですか!?」
いいかい、サラさん。物事はまず形から入らないといけないんだよ。もちろん高いものを買ってそろえて形だけそろえるのもありだけど、適当なものでって、うぉおおあああはやいいいいいいいぃぃい……。
「あっという間で……」
「私たちも行きましょう。この車ならグルンガスト様に追いつけるはずですし」
高速で最速で最短に到着する。のろしが上がっていたのはここかな!ここだよ!
と、奔ってくる人影を視認。これは……犬耳、犬耳だ!犬耳娘だ!保護らないと……。
大きく弧を描いて急ブレーキ。ふふ、ものすごく重圧酷いぃ!げふっ。
「ふひ、こ、こんにちはお嬢ちゃん。ど、どうしたのかな?こんなところで」
『真人さん、なんだか怪しい人になってますよ?』
うん、仕方ないんだよ!急ブレーキで肺から息が一気に抜けたからね!息が持たないんだよ!
「お、おねがい!みんなを!おばばさまを!たすけて!」
息を切らせて少女が嘆く。
彼女の服はボロボロ、血がべっとりとついてはいるけど、膝小僧の擦り傷以外はどうやら大きな怪我はなさそうだ!誰かがこの子を助けて逃がしたのだろう。だからこの子は逃げきれた。だからこの子は俺のもとにたどり着いた。
「ん、分かった。あとは任せて。グルンガストさんそういう訳で後はお願い」
『承知いたしました。ここから村まで直線距離五百メートル程です』
こっちの方角だね。アイサー!そういう訳だから名も知らぬ犬耳美少女よ、安心して待っていたまえ!
「で、でも、あの、村には沢山、ゆ、勇者が!」
「ああ、大丈夫俺も勇者だからね。君を助ける君の勇者さ!」
木札を切って風を纏い空へと駆け上がる。
方角よーし!距離よーし!……目視!糞ったれ野郎ども!
「んじゃ、行くぜ行くぜ行くぜええええええええええ!!」
高速にて最速にて全力で空を駆ける!俺は星!星になるのだ!流星のごとく駆けてマックス大変身で颯爽登場!ふざけた攻撃をすべて風で弾き飛ばし水で切り刻み、巨大な剣を少女に振り下ろさんとするおっさんに勢いそのままに蹴りをかます!お、上手いこと勢いも殺せたんだよ!おっさんも上半身吹っ飛んだかな!
「な、なんだ貴様は!」
なんだか知らない黒髪の奴らがこっちをにらんでいる。ああ、こいつらは全員ユウシャと呼ばれる奴ららしい。だから俺もこう名乗る。名乗ってやらないと気が済まない。
「俺か?俺は通りすがりの――勇者だ!」
燃える村の中、ぎらつく複数の目が俺に殺意の視線を向けた。