14話:異世界で知識チートを夢を見てみたけど現実は非常だよね?
なるほどなー。グルンガストさんの話ならばワンコの兄ちゃんは大丈夫そうだ。
「はい、こちらの想定よりも動けています。しかしよく彼を見つけられましたね?」
「うん、裏道を歩いていたら拾った?というか、話しかけてきたしね」
上手いタイミングで狙ったようにいたよ。運が良かったのかな?
「おそらく私たちの事を知っていて話しかけていたのでしょう。私は姫騎士としてパレードで歩いていましたし、真人さんは仮面を付けたままお立ち台で手を振ってましたから」
「確かに目立ってました」
うん、あれ分身だったんだけどね?本体はロベリアちゃんをなでなでしていたんだよ!可愛かったなー!
「だから変質者か!」
「本気で危ない人じゃ……」
「むぅ……ずるい」
可愛いものは愛でることが大事なんです。可愛いは正義なの!だから俺は悪くない?そう思うよね?
『のーこめんと?』
部屋の隅っこに体育座りしてたエルちゃんに振ったら振られたよ!悲しいな!あと、パンツ見えてるよ!可愛い白だ……いえ、見えただけです!見てません!見てないよ!?
「ギルティです」
「あいたぁ!足の小指踏むのはダメだよ!流石の俺も痛いよ!?」
うう、だって目をやったら見えるだから仕方ないじゃない。なんでかエルちゃん頬を染めてるのに隠す気ないし!恥じらうんなら隠そうね!
「んで、その男は信頼できんのか?」
「うん、できるよ。たぶん、もともとここの軍にいた人だしね」
「――はい、その通りです。彼は元ここの街の防衛と治安を護る軍の所属でした。データベースに記録があります」
えっと言うかおでサラさんとロベリアちゃんが驚いている。どうやら苺ちゃんは気づいていたみたいだけど。
「ん、あの人……詰め所……中の事……よく……知ってた、から」
「あとはは筋肉の付き方が普通のワンコじゃなかったんだよ。何というか剣を使ってた感じ?俺の知ってるワンワン系の人って足の筋肉ばっかり発達してるんだけど、あの兄ちゃんいい上腕二頭筋してたなって?」
「いや、そこでわかる奴はいないんじゃないか!?」
うんうんとみんなうなずいている。わかるもんだよ?ペンだこならぬ剣だこができてたしね!きっと、勤める場所が無くなろうと、足をムカデに喰われようと、剣を振る事だけはやめなかったんだろう。だから俺たちが裏道に来たときに誰よりも早く話しかけてきた。来ることを予見していたから。
ここの本当の領主であるサクラちゃんの部下の誰かが必ず来ると信じていた。信じて、今の現状を伝えてくれたんだ。それならちゃんと答えないと嘘だよね?
「肯定、私の生まれたこの地を穢した罪を贖っていただきます」
「……え、グルンガストさんここ出身だったの!?」
「はい、正確には製造された施設がここより北西に二十三キロほど行った山奥にあるのです」
つまり秘密基地!秘密基地があるんだってよサクラちゃん!
「ええ、お話にはお聞きしています。まーくんも気になりますよね?」
「ああ、とっても気になるよサクラちゃん!!どう考えてもオーバーテクノロジーのグルンガストさんが開発された施設だよ!気にならないわけが無いじゃない!」
「ですが、申し訳ありません。その施設は建造より数千年の時が流れていますので、まともに動いているブロックはほとんど……」
古代遺跡だよ!オーバーテクノロジーの古代遺跡だってよ!これは見に行かないと!面倒くさいこと全部終わらせたら一緒に観光だよ!絶対に見に行くよ!!
「そんな暇はないぞー。明日は工場の視察したあと、近場の鉱山に視察、そのあと役人たちと会食がある。翌日は――」
「あーいいよライガー。どうせ俺行かないし?というか行けないし?書類要求して書類の山を崩すふりしてお出かけして偵察してくる?」
「偵察してどうするんだ?」
「んーとりあえず明日は村巡りの跡鉱山巡りかな?特産品とか探してくるよ!」
「まて、遊びに来てるんじゃないからな!?お前も仕事しろよ!」
うん、するよ?書類の山を崩した後お出かけするんだしね!観光しながら偵察してくるよ!ほらお仕事だ!あれ?なんだかジトだ。ライガーのジトはあんまり嬉しくないんだよ!
あ、そういえば足が欲しいなー。
「もちろんご用意しましょう。あちらの方の私もひと段落しているようですし」
「流石グルンガストさん!ふふふ、さっきの話で出てた変形をじっくりと見せてもらうんだよ!」
「明日は車もご用意しましょう」
まさか……まさかそれとも合体を!みたいな!とっても見たいな!するんだよね?するつもりだよね?
「機会があればお見せいたしましょう」
うん、とっても楽しみだな!観光しながらロボ祭りだよ!変形と合体と戦闘を見られるんだよ!
「いやいやいや、それより突っ込むところがあるんだよ!なんで!異世界に!普通に!車とバイクがあるの!?」
「それを言っちゃうとグルンガストさんがどうしているんだって事になっちゃうから、深いことは考えたら負けなんじゃないかな?俺らの常識、非常識!」
「そうだけど!そうなんだろうけど!というか今日の列車の時点でアレだったんだけど!人の国とかけ離れ過ぎてて私もうついてけないの!夏凛ー」
「泣くな林檎。アタシだって割といっぱいいっぱいだ!」
勇者二人が頭を抱えているよ!
うん、どう見てもどう聞いてもファンタジーな世界なのにロボがいるのって確かにおかしいよね!でもね、俺らが勇者として召喚されてる時点で、そんな世界観に当てはめて考えたら負けなんだよ?異世界から来たら文化侵略したくなっちゃうんだから仕方ないネ!特にご飯は。醤油とみそと米は本当にありがたかったんだよ!先人に感謝!感謝なんだよ!
遅くなりました OTL