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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第二章:古代なロボと勇者な執事。ロマンだっ!
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11話:この界隈で最強の界隈って割と範囲狭かったりするよね?

 パーフェクトもハーモニーも無いんだよ……。どうせ俺なんか……。


「なんでこんなに落ち込んでるんだ、こいつ」

「気にしないでください。そっとしておくのも優しさです」


 そうは言いつつもロベリアちゃんがジトだった!うん、可愛いな!なでなでして傷心を癒そう。


「それで、これからどうするんですか?一応市内の調査は終わりましたが……」

「そうだね、わんわんさんも放置すると悪いし、市内に拠点を置いておきたいなー」

「だから!ヴォルフって言ってるだろ!?」


 しかしながら拠点を作るにしてもさっきの酒場は使い勝手が悪い。魔王と対立しているという点は良いんだけどね!他の勇者とばったりなんてことになると、俺は良くても後ろの姫騎士二人の都合が悪いんだよ。そういう訳で拠点が欲しいなって!いいとこないかな、ワンコの兄さん!


「せめて、兄さんだけにしてくれよ……。はぁ、そうだな。廃墟なら山ほどあるが、大きめのところなら表の通りを挟んで反対側の詰め所跡がいいんじゃねーか?」

「……いま聞きたくない言葉が聞こえたなー。え、詰め所跡?」

「ああ、そうだ。あの魔王になって取り潰されて今は廃墟になってるな」


 番所とは、つまるところこの世界の警察署なわけだ。取り潰されちゃってるよ!この市内というか領の治安どうなってるのさ!というか、経費として計上されてたよ!?


「軍代わりはあの魔王の部下共さ。町中に潜んでいていつ襲い掛かってくるかわからねーからな」


 ああ、なんかいたな?さっき飛び出てきたから潰して下水に落としておいたんだよ。Gだったからね!Gだったからね!!G滅ぶべし!慈悲は無い!


「い、いつの間に……」

「女の子たちが騒ぎ出す前に?女の子ってほら、虫が苦手じゃない?」

「にゃ?私はそうでも無いですよ?」

「ええそうですね。森に虫はつきものですし」

「まぁ、虫くらいは何とも」

「む、むぅ……りぃ……」


 どうやら苺ちゃん以外は大丈夫なようだ。これが異世界との意識の差ってやつかな!すごいよ異世界!


「まぁ流石にワームの群れは流石にあれですけど」

「ええ、その、アレですから……」

「にょろにょろ、にょろにょろは!!」


 うん、にょろにょろが苦手なのは同じかー。苺ちゃんが眼鏡が飛びそうなくらい振ってるよ!あ、じゃあやっぱり触手とか苦手なの?あ、ジトだ!ふふ、可愛いな!おらぁ、幸せだぁ……。ありがとうございます!


 今いた東側を抜けて西側の裏通りへと向かう。うん、ワンコのお兄さんを背負っててもあんまりじろじろ見られてない。というか表通りも活気があるようでないんだよ!みんなよそよそしいし、影に蠢く何か()をチラチラと気にしている。犯罪率は低そうだな?


「それでここがその詰め所だ」

「んー、消防署くらいの広さと大きさかな?割と広いな!」

「この領の兵の詰め所ですから、広さはそれなりにありますよ。――と、人がいますね」


 クロエさんがぴくぴくと猫耳を揺らして聞き耳を立てている。ううん、触りたい。ダメかなー。だめ?


「あ、あとにしてください。人数は十人ほど、これは……」

「てやああああああ!」

「そぉい!」

「ひやああああ!?」


 小さな影が上から飛び出してきたので思わず空高く放り投げてしまったんだよ!たかいたかーい?………………あ、お帰り?


「し、しんだ!いま、し、しんら!」


 小さい影はどうやら女の子だった。あ、うさ耳さんだ!かわいいよ、ねぇうさ耳さんだよ!


「やはり、そういう趣味が……」

「だから苺ちゃんとロベリアちゃんを傍に……」


 姫騎士の二人がジトだ!いやね、だから違うんだよ?そうじゃないんだ!俺ロリコンじゃないよ!カワイイは正義だけど、違うんだよ!


「こ、このぉ!は、はなせ!ミウは子供じゃないんだから!」


 腕の中のうさ耳っ娘が暴れている。子供じゃないっていう子供ほどかわいいよね!うん、だからロリコンじゃないよ?大事なことだからもう一度言うけどロリコンじゃないからね!動物を愛でる方の可愛いだからね!


「それで、なんで襲い掛かってきたのかな?」

「だ、だって。貴方たち、私たちをここから追い出しに来たんでしょ?」

「んー、そんなことをするつもりはないけど、どうしてそう思ったの?」

「……だって、足音がふつーの人じゃなかったし……」


 これは驚いた。足音だけで普通じゃないって聞き分けたのか!小さいのにすごい子だよ!


「だ、だから子ども扱いしないでっ!ミウはこれでも立派なオトナなんだから!せーじんしたんだから!」

「ちなみにドワーフラビット族は十歳で成人なので間違ってません」

「かわ……いい……」


 どうやら年齢は十歳ということ。中にいる子は同い年かそれ以下の可能性が高い。ドワーフみたいなラビット族ってことかー。ちっこ可愛いね!苺ちゃんに同意なんだよ!


「ねぇ、ミウちゃん。君のご両親は?」

「……虫に食べられた。ウサギはあいつらにとってご馳走だって」

「それじゃあ、ミウさんだけ逃げきれたんですか?」

「まだ食べごろじゃないって、見逃されたの」


 つまり育ち切るまで待っているらしい。成人が十歳ということはそろそろ危ないって事だよね?やばいな!


「中の子たちも私と同じ。食べごろじゃないから見逃されたの。でも、いつかは私たちも……」


 しゅんとミウちゃんが(こうべ)を垂れる。耳までなんだか悲しそうなんだよ。


「どうにかしてあげたいですが、今の我々ではなんとも……」

「そうですね。ここにこうしているのも隠密で来ている訳ですから」

「そういう訳だからよろしく頼んだよワンコの兄ちゃん」

「……え、俺!?」


 そうだよ!ここを拠点にしたいしね!あとの事は全部任せた!なんだか情報通みたいだし?片足でもワンコの兄ちゃんならいけるでしょ!


「ええ、片足と言う事を除いては健康体ですから」

「いやいやいや、今の俺にはどうにも……」


『それならば、片足で亡くなればいいわけですね?』


 声の方に振り向くとバイクがいた。……バイクがいた!?どう見てもバイクだ!カッコいいよ!バイクだ!


「これは、ス〇キかな?ヤマ〇かな?いやホ〇ダと言う線も……」

『真人さん、私です』

「あれ?グルンガストさん?」

『はい、私です。意識データだけを現在このバイクにコピーしている状態です。現在本体の私はオウカ姫様と共に領主室で魔王アベルと歓談中です。恐らくもう少しすればアベルが退出すると思われます』


 今の今迄話していたのねあのヒゲおっさん。それで、片足でなくなればというのはどういう事だい?


『彼に生体部品の義足を付けていただきます。本来ならば手術をして一月ほど訓練が必要なのですが……」

「いや、いい。半日……いや、一刻もあれば慣れて見せる」


 おお、言うじゃないかワンコの兄ちゃん!割とイケメンだし、むかつくから背中から落としていい?いいかな?答えは聞いて無いんだよ!


「こ、こら怖いからやめろ!というか、その子を抱えたままオレをおんぶってお前どんだけ器用なんだよ!」

「ふっ、これも人生経験って奴だよ!」

「人生語れるくらいのレベルの話じゃねー気がするが。まぁいい。兎も角、俺に足をくれるんだな!」

『ええ、ご用意しましょう。駅にある列車のラボから取り寄せますのでしばらくお待ちください』


 この様子だと今日中にワンコの兄ちゃんの足はどうにかなりそうだ!それで、兄ちゃんどれくらい強いの?


「一応この界隈では最強……とか言われてたが、まぁ過去の話だな。足がつけばそれなりには動けるだろうよ」

「ん……?魔石持ちさんかな?」

「さぁ、どうだろうな。俺の一族は魔石の無い種族だし、無いんじゃないか?」


 ニヤリとワンコの兄ちゃんが笑う。ううん、なんだかただ者じゃなさそう?まぁ、足をムカデに食べられちゃったドジっ子さんだけどね!ともあれこれで、拠点は確保だ。

 一旦帰ったらお土産持ってこようかな?お菓子とか、お菓子とか!


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