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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第二章:古代なロボと勇者な執事。ロマンだっ!
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7話:山は登るためにあるらしいけど降りるまでが登山だよね?

 書類の山パートツー!

 執務室に入ったら大量にして膨大な量の書類さんが積まれていたよ!

 山盛りのもりもりの盛りだくさんだ!辛いな!……ぐすん。


「こちらが今期における決済です」

「こちらが現在進行中の公共事業の資料になります」

「こちらは勇者進行における被害です」

「こちらは裁判の判決結果です」


 案内してくれた二人のメイドさんが交互に山の説明をしてくれる。

 うんうん、なるほどよーくわかった。


「そういう訳でちょっとだけごめんね?」

「え?」

「へ?」


 パン、と手を叩き二人のメイドさんの意識を落とす。催眠術……的な?あ、シマパンだ!色違いのお揃いなんて可愛いのはいて――いえ、見てないです!見えただけです!その場のみんなからジトだった。ありがとうございます!


「それで、催眠術的な?って、なんでそんなことまでできるんですか?」

「んー、向こうの世界ではね。神や精霊、亡霊なんかと交信するのにトランス状態になる必要があるーという事で催眠状態になることもあるんだよ。まぁ俺は必要なかったんだけど、技術としては一応覚えてた、みたいな?」

「けど……。普通……あそこまで、一瞬で……おとせ、ない。もう、掛けられて……た?」


 その通りだよ苺ちゃん!このメイドさんたちは元から催眠に掛けられていた。恐らくというか間違いなくあのヒゲのおっさん(バアル)に。だから俺はその催眠にちょこっと干渉して入り込んでもぐりこんだって訳。


「つまり変態さん?」

「俺じゃなくてあのおっさんがね!」


 危うく風評被害さんを受けるところだったよ!許すまじヒゲおっさん!!

 とりあえず、メイドさん二人はソファで寝てもらって、山のような書類を分身で分散してガリごりもりもりと処理して照会して結論をだす。うん、真っ黒だ!改ざんしてわかりづらくしてはあるけど、真っ黒だよ!


「これ……計算……ちがう……」

「こちらは同じ項目が二重で決済されてますね」


 苺ちゃんとサラさん(ルナエルフさん)が書類とにらめっこしてため息をついてる。うん、わかる人だとよくわかる事ばかりだよね。不正を不正だとは思っているけれど、隠すつもりが無いというか見せつけているというか、ふざけてるの?というレベルで積み上げられている。頭痛いな!


「あと、もっと頭の痛くなるお話です」


 クロエさん(猫耳のお姉さん)に手渡された書類に目を落とす。ため息を落とす。


「どうかしたんですか?」

「うん、この領にはいくつか鉱石の採掘場があるんだけどね、鉱夫さんたちのお給料がゼロになった年から採掘量が上がってるんだよ」

「それがどう問題なんです?」

「その代わりにその近隣の村の人口が激減して行っているんです。そして陳情書に魔物が鉱山に巣食ってるから排除して欲しいというものがいくつもあるんです。しかし、全部棄却されております」


 つまるところあのヒゲおっさんは鉱山に魔物を巣食わせて採掘量を増やし、その代わりに魔物が村を襲うのを見逃しているようだ。


「な、なんですか、それ。じゃ、じゃあ村人さんたちは犠牲になれって言ってるようなものじゃないですか!」

「そういう事だね。あとは……うん、勇者進行における被害?これどう考えても奴隷狩りだよ」


 襲われた村々はことごとく物資が無くなり、人々もいなくなっている。死体は老人ばかりで根こそぎ持っていかれていたよ!これ、人の国ともつながりあるね!勇者が魔王の国でケモミミさん狩りしてる?


「お金になる……から。クエストに……出ることも、あった……し」


 してたよ!しかも国ぐるみだった!

 うん、奴隷は貴重な労働力だからね!獣族の人々は力も強いし動きも普通の人より俊敏だから、労働力としては最強なんだよね!ふざけてるなぁ……。


「だけど、どうしてこんなにしてまでお金を稼いでいるんでしょう?算術はよくわからないですが、工場は結構儲かっているんですよね?」

「ええ、確かに収支は黒字ですね。それでも利益が中抜きされているようですが」


 相当儲かってるね!まぁ、グルンガストさんの協力でできたサクラちゃん開発の魔石家電のライン工場だからね!そりゃあ儲かるよ!俺も欲しいし!

 それで、その資金はどこに流れているのか?書類をひっくり返してもヒゲおっさんの領地や別の領地に流れていった気配はない。そうなると、流れる先は……。


「人の国……もしくは勇者に金を渡してる?」

「い、いったい何が目的で……」


 そこまでは書類だけではわからない。ううん、領地をめぐって調べるのが一番だけれども、サクラちゃんと一緒に新婚さん気分で廻っちゃうと、綺麗なところだけ見せられて終わってしまう。

 だから、別れて行動する。ついてきてもらうのは今のメンツだよ!俺とロベリアちゃんと苺ちゃんに加えサラさんにクロエさんの総勢五人で領内を駆け巡ることにする。うん、大変だな!


「このメンバーはどういう選抜なんですか?」

「魔法使いの子苺ちゃんとサラさんには魔術的観点から見てもらう必要が出てきたときに意見が欲しいんだよ。ロベリアちゃんとクロエさんは村を巡るときに警戒心を解いてもらう役目なわけ。俺だけじゃ何というか信用してもらえそうにないしね!」


 本当はサクラちゃんとラブラブ婚前旅行したいんだよ!したいけど、今後の事を考えて血の涙を呑んで、このチームで隠密行脚なんだよ!許すまじ、ヒゲおっさん!おのれディケイドおおおおおおおおおおお!


 え、違う?……違った!

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