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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
挿話:憂鬱な大魔王のお姫様とメイド祭りな勇者な執事
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挿話:憂鬱な大魔王のお姫様とメイド祭りな勇者な執事9

 真人様がオウカ様と恋仲になられてからというもの、いつもより帰るのが少し遅くなってきたように思えます。前ならもっと早く帰ってきて私を構って……コホン、木札を削ったり勉強の復習なんかをされたりしているのに……。


 新しくお友達になった苺ちゃんも真人様にべったりであんまり離れようとしてくれない。つまる所、私との時間が少なくなっている気がするんです!いえ、別にその、減ったという所で胴という事はないのですが!林檎さんや夏凛さんも優しくしてくれますし、色々と向こうの世界のお話なんかを暇なときに聞かせてくれたりもしますので。その中で、真人様はニンジャなんじゃないか?とか言われてました。ニンジャってなんでしょう?すごいんでしょうか?とりあえず人気はあるよと林檎さんは言ってました。真人様って人気者だったのでしょうか?謎が謎を呼びます……。にんにん?


 時間は夜を回り、夕食も済んで真人様はいつものようにオウカ様のところへと向かわれ、しばらくは帰ってこないとのこと。林檎さん達もお仕事でまだお家に戻ってきておらず、久々の一人です。


 ぽつん、と広いお家の中でいるのはとても寂しい……じゃなくて居心地が悪いので真人様の部屋でのんびりとすごします。真人様は普段寝られないのでベッドでは本を読まれるか考え事をされるとき、もしくは瞑想をされるときくらいで実際のところは私や苺ちゃんばかりが使っています。


 前から自分の部屋をもらったのですが、お洋服や小物だけをそこにおいて、真人様を襲ったあの日から自分の部屋で寝ずに真人様の部屋で寝てばかりいます。


 監視ですからね?別に変な意味とかありません。私は真人様が変なことをしでかさないか監視するためにずーっとお傍にいるんです。大魔王城の中に勇者がいるだなんて異質すぎますから!林檎さん達は真人様の部下ですので除外です。はい。


 ベッドで寝転がりながら真人様の帰りを待つ。


 寮の頃よりも少し広くなって物寂しさも増えた気もしますが、前より少しずつ真人様の私物が増えてきた気もします。作られた木札はストックが増えてきて、明日の分までもう用意されています。……木札を使っている時点で真人様ってオーバーワークじゃないでしょうか?分身してお仕事って普通に考えて普通じゃありません。


 なんとか私もお手伝いできればいいのですが、私は数術があまり得意ではないので、最近苦心されている領経営にはあまりお役に立てなさそうで、とても悲しい所だったりします。


 実のところ文字もそこそこなので最年少にて魔法学院を卒業されたという実はかなりの才女の苺ちゃんに教えを乞うているのはここだけの話。お料理やお洗濯のお手伝いなんか以上の事が出来ればきっともっと真人様のお傍に居れるはずですから!……もちろん、監視として。監視としてですから!


 それにしてもお昼ごろにオウカ様のところから持ってこられたタペストリーと言うものは何ともものすごいデザインでした。幾人もの翼人が空を飛び、その前を仮面をつけた二人が人々を連れて歩く絵。


 何かをモチーフにした絵らしいのですが、これって神様とかを描いている絵のようにも思えます。ううん、大魔王のお姫様なのにこんなものを作って大魔王様は怒ったりされないのでしょうか……?まぁ、私には大魔王様もオウカ姫様の気持ちをも図る術はないので、真人様をベッドで寝転がって待ちながら壁に掛けられたその絵をボーっと眺めるしかないのですが。


 くんくん。うん、枕からは真人様のにおいが……あれ?今何か絵が動いた?絵が動いた気がします。ううん、違う。この絵に魔力が通り、動いたように見えただけのようでした。いやいやいや!


 ななな、何が起きるというんです?ま、まさか、オウカ姫様は真人様との婚約を本当はあまり良く思ってはいなくて、あ、暗殺を!?このタペストリーはそのための魔法陣で……つ、つまり攻撃魔法が!?


 身構えて防御を敷く。く、来るならくればいいです!こう見えて私も暗部の一員。ちょっとやそっとの魔法なんてなんてことないんですから!


 濃い闇の気配が辺りを包み込み、思わずごくりと唾をのみます。相手はオウカ姫いったいどんな攻撃を――



 ――首。そう、現れたのは人の首でした。それも……オウカ姫様の。


「ぴぃやああああああああああああああ!!!????」


 ……あ、だめら?


 私はカクンと膝から崩れ落ちて意識を失いました。ダメなんです。怖いのとか、無理なんです!!






 まーくんの部屋で、まーくんおかえりなさい大作戦!


 私が立てた作戦はそんな作戦でした。


 まーくんがお部屋に帰ったら私がまーくんのお部屋でお出迎えというちょっと単純だけど割とすごい魔法を使った大作戦です。


 ふふふ、タペストリーに魔法陣を仕込むのには苦労したんです!細工は流々後は仕上げを御覧じろと準備は万端!まーくんが自分の部屋に飾っちゃったよ!と言ってくれていたので間違いなく出るのはまーくんのお部屋です。


 ふふふ、いざ出陣!と意気揚々と私はゲートを……っと、もしお部屋にメイドさんも一緒に入ってこられた時のために封印帯を付けてっと。よし準備完了です!


 今度こそ……手、からは怖いので顔だけ入れてまずは様子見を……。え、あれ、女の子!?


「ぴぃやああああああああああああああ!!!????」


 あ、まって、え?なんで意識を!?わわ、私目隠ししてますよ?魔眼発動してないですよ!?お、起きてください!ごめんなさい、ちっちゃい子なのに!ああ、なんてこと!なんでこんな事にぃ!!???ふぇぇ……。

次回、修羅場?

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