挿話:憂鬱な大魔王のお姫様とメイド祭りな勇者な執事5
正座。それは日本人最上位の謝罪の形。
平身低頭。体を折りたたむように地べたに膝をつき、頭をも地面にこすりつける。うん、大魔王と一緒に土下座中だよ!家のリビングで!
「まったく、どこへ行ったかと思えば!いつもの部屋に私が入ってくるからってなんで真人さんのお家に朝から上がりこんでゲームしてるんですか!」
「し、仕方あるまい。アリスがいつもゲームの邪魔をするからではないか」
そう、朝部屋から出たら大魔王の間でいつものようにボコがボコでボコられて、マキシマムなドライブで全て振り切られた後、いつもの部屋でゲームでボコろうと思ったら大型テレビとゲームを抱えて俺の家へレッツゴーだった!これでいつもよりゲームができる!と意気込んでた大魔王だったのだけど、ものの三十分でバレた。うん、大体検討付きそうだし仕方ないネ!
「真人さんも真人さんです!大魔王様に付き合っていただけるのは嬉しいのですが、もう少し節度を持つようにお願いします。こう見えて大魔王様は忙しい身なんですから」
うん、ごめんねアリステラさん!でもね、悪いのは大魔王なんだよ?パワーバランスはあっちにあるからね?今日もボコられたし!ほら、俺悪くない!
「申し訳ありません、我が主がご迷惑を……」
「貴女が謝る事ではありませんよ、ロベリア。彼はこれからオウカ姫にとって必要な方です。ですので、しっかりとお仕えしてください」
ロベリアちゃんがオコだった。げんこつされちゃったよ!痛いな?
でもね?俺今日も今日とて大魔王さんに惨殺というか蹴り殺されたんだよ!絶望が俺のゴールだったんだよ!被害者さんだよ!ゲームしてたけど!二人してモンスター狩ってたけど!大剣って男の子の武器だよね!太刀でしっかりとコケさせて来る大魔王には吹っ飛んでもらったんだよ!
「なんで大魔王と朝からゲームしてるんだ、アイツ……」
「と言うか待って!?なんであっちの世界の最新ゲームを大魔王が持ってるの!?というか遊んでるの!?」
「ゲート……やっぱり、つかえるん、ですね……」
苺ちゃんが気づいたみたいだ。うん、使えるけど帰れないから糞ったれゲートさんなんだよ?このおっさんそのゲート使って普通にゲームと漫画とDVDをネット通販してるからね!異世界から!自分の持ってる膨大な魔力でゲート作って!バカかな?
「いろんな意味でツッコミどころが満載過ぎて疲れてきた……」
「というか、この世界最強の悪とか言われてる大魔王がジャージでゲームを……ジャージで、ジャージで!?」
あれ、なんだか林檎ちゃんと夏凛ちゃんが頭を抱えてるぞ!この大魔王さんはね、深く考えたら負けなんだよ?忙しいのに暇を作って暇だからって俺をボコろうとするからね?ボコられたらボコるしかないからゲームでボコるんだよ?ボコボコに?徹底的にだよ!だからゲームさんは捨てちゃダメなんですアリステラさんお願いしますモーニングスターさんはダメぇえええええ!?
「はぁ、仕方ありません。それではこれはここに置いておきましょう」
「まって、これ余のテレビとゲームだよ!?つい勢い余って最新作と携帯ゲームも持ってきちゃってるよ!?」
「しばらくはこのままです。たまになら遊びに来てもいいですが、お・し・ご・と終わらせてからでお願いしますね?」
わぁ、アリステラさんがものすごくいい笑顔だ!なんて爽やかな笑顔なんだろう!笑顔とは本来獣が獲物を捕らえようと云々……怖いな!
「そういうわけで、皆さんうちの大魔王が失礼いたしました。今日もお仕事頑張られてくださいね?」
「まって、余の!余のデータが!ああ、せっかく寝ずに頑張ったのに!余のキリン装備ぃぃ……」
ずるずると首筋を猫のように捕まれて連れていかれている大魔王。うん、ありがとう大魔王。君の事はきっと忘れないよ?ゲームはアリスちゃんたちと楽しむから!どうせ明日も逢うだろうけど!
朝の早いうちに領のお仕事さんをサクッと分身で終わらせて、お洗濯の手伝いに向かう。今日はくっころ勇者三人娘は食堂で龍のおっちゃんのお手伝いをしているのでロベリアちゃんと二人でお手伝いだ!
「んー、真人くんが来てから楽ー。今までほとんどお手伝いしてくれる人やめてくから困ってたんだよねー」
「そうなの?プニカさん美人だしこのお仕事人気だと思ってたよ?」
水々であわあわだからプニカさんのメイド服さんもうっすらと透けちゃうんだよね。あ、今日はみずい、あ、何でもないです!ふふ、お洗濯楽しいな!
「真人くんはー気にしてないみたいだけどー、魔人さん達の中でもー私みたいなー異業種ってけっこー嫌われたりするんだよねー」
「そうなの?全然気にならないけどな?ツルツルしてて綺麗な触腕さんな足だなって思うけど?」
「ふふー、なにー口説いてるー?」
ニヤニヤとプニカさんが大きな胸を寄せてこっちを見て来る。ふふ、すごくうれしいけど今は彼女とラブラブだから無駄なんだよ?うん、シャツが透けて青い肌に水色で素敵だなとか思って無いです。振り返るとロベリアちゃん、がすっごくジトだった!ありがとうございます!じゃなくて、うん、違うんだよ?男の子はね柔らかくておっきいのが寄せてあげられちゃうと視線が誘導されちゃうんだ!な、何で涙目なのかな!なんでかな!?
「ぷふふー。鈍感ーな真人くんにお話しー。その真人くんの大好きなオウカ姫様からーマッサージの依頼が来てるんだよねー」
「へ?マッサージ?」
寝耳に水なお話でちょっとびっくりだよ!というかプニカさんマッサージもやってたのか!触手で触腕でぬめぬめのツルツルでお肌も体も全身エステ出来ちゃいそうだ!すごいな?
「んふー、割と人気なんだよー。とくせーの香油ローション使ってーぬめぬめでーツルツルに仕上げちゃうのー」
まさかの全身エステ!?さ、サクラちゃんがそんなことを頼むなんて一体何が……。はっ!そういえば昨日なんだか様子がおかしかったような?ま、ままま、まさか、どこか体を!?
「いやいや、恋人さんにー綺麗になって魅せたいだけでしょー。この幸せモノさんめー」
プニカさんにほっぺたを触手な足でムニムニとされる。柔軟性もあって触られ心地がいい。ぷにぷにだよ!
「でもー。真人くんならーマッサージもできるんじゃないー?」
「え、確かにできるけど?」
「できるんですか!?」
できますとも!これでも全世界を伊達に旅させられてないよ!生きていくための生活の知恵だからね!……あれ?そういえばマッサージなんてスキル無かったよ?ま、まさか家事にスキルとしてまとめられてる?いやいやそんなまさか?はは、そんな訳ないよね?まさかね!
「それじゃー、真人くんにお願いしちゃおうかなー?」
「え、俺が?でもプニカさんが依頼されたんなら……」
「ふふ、女の子はねー。好きな人に触られると綺麗になっちゃうんだよー?」
そうなの?そうなのかな?俺にはそんな経験さんはないからわからないよ!ええ、童貞ですから!彼女とかできたことないから!お仕事のマッサージ以外なんて妹とお師匠にしかしたことないし!あれ……なんだか目に水が……。ふふ、水が飛んじゃったかな?……ぐすん。