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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
挿話:くっころ勇者さん達と勇者な執事
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挿話:くっころな勇者さん達と勇者な執事8

 見せつけられた。完全に見せつけられてしまった。

 私と夏凛と苺ちゃんは唖然と口を開けたまま動けなかった。

 レベルが違うとか次元が違うとかそんな問題じゃない。彼は同じ世界でどんな苦難を歩いてきたのだろう?私たちが楽しく遊んでいる間、楽しく買い食いをしている間、仲良く家族と過ごしている間に。


「あーもう、ライおっさん硬すぎだよ!ライおっさんだから雷でびりびりしたのにピリピリ位の低周波マッサージしか効いて無いよ!なんで肩こり治っちゃってるかな!便秘も治ってるんじゃないの!?頭にぶつけてアフロ目指す方向がよかったかなって?」

「もさもさはやめい!これでも毎日綺麗にしておるんだからな!きゅーてぃくるは大事なんだぞ!あと、今朝も快便だったっての!」


 うん、恐怖の大魔王の四天王さんと談笑してるし。本当に訳が分からないよ!というかなんであの一撃をぶっ飛ばして仲良く談笑できるの?!それよりもアレで訓練さんだったの!?どう見ても試合で死合いの果し合いで殺し合いだったよ!途中で目で追えないくらい早かったし!今の段階で人間やめてるよ!?


「はい、おしぼり。汗臭いです」

「ん、ありがとロベリアちゃん。朝いちのジトもありがとうございます!」


 マネージャーみたいに待機してたロベリアちゃんからおしぼりを受け取っている。うん、ジト目で見られて喜んでるけどどうなんだろう?やっぱりロリコンさんなのかな……?うーん、お姫様ってどんな人なんだろ。


 私たちは今日も又お仕事をお手伝いする。真人さんは分身しながら料理したり配膳したりしてる。忍者だよねー、と夏凛ちゃんとジトとみる。うん、どう見ても忍者だ。伊賀さんかな甲賀さんかなってお話してたらどっちも?とか言われた。うん、本当にこの人何者なのかな!?


 昨日の夜、お餅を食べながら真人さんがトイレで席を離したすきに少し話をした。真人さんの事どう思うって。


「ロリコンだろ?」

「ロリコンだよね?」

「ロリコン……だったら、いいと……思う」

「ロリコンってなんですか?」


 うん、ロベリアちゃんはまだ知らなくていいと思うけど苺ちゃんはどうしたの!?何か変なモノ食べちゃった!?ま、まさかもうすでに……。とか聞いたらフルフルと首を振られた。


「私はもう、真人さんと……一緒に居るって……決めた、から。自分の意思で、だよ?」


 にっこりと、女の子の顔で苺ちゃんは言った。

 う、うん、でもね?それは勘違いかもしれないよ?吊り橋理論とかストックなんとか的な?だから今そんな風に決めちゃったら後悔しちゃうかもしれないんだよ?


 でも、それでも、と苺ちゃんは頑なだ。


「真人さんは……私を、ね?なでて、くれたの。私たちが……どんなことされて、体がどんなふうに、なってるか、知ってる、のに。私たちは、ね?本当なら、あの冷たい……お墓の、中で……眠ってたんだよ?でも、真人さんが生きてって……言って、くれたの。だから、私は……真人さんと……生きたい。お礼、したい……。真人、さんは……好きな人が出来たら、その人に……支配の権利、渡すって……言ってた。でも、私はそれは、嫌……。だって、真人さん以上の人って……きっと、いない……から」


 ぽつりぽつりと顔を染めながらそんなこと言われた。

 う、うん、確かにその通りかもしれない。けど、もう恋人さんいるよ?婚約者だし、何より大魔王のお姫さまなんだよ?


「知って、る。でも……ここ、地球じゃないから……お妾さんとか、普通。奥さんも沢山?」


 苺ちゃんがサムズアップして言う。かーわーいーいー!じゃなくて!確かに人の国でも一夫多妻と多夫一妻とか見かけたけど!それはお金持ちさんで甲斐性さんがある人だけだよ!王様とか貴族さんとか大商人さんとかスゴイ稼いでる冒険者さんとか!真人さんにそれがあるとは……あるのかな?


「正直な話、真人様は今このお城でも上位の強さです。それにもし結婚となればオウカ姫様の領地を経営なさるのですから、それ相応のお金を得られると思いますよ?」


 ロベリアちゃんが憂いを絶ってく!あれ、もしかしてロベリアちゃんもなのかな!?いやいや危ないよ!見た目はそれなりだけど、髪はぼさぼさだし、割と悪人面だよ!いい人なのは……うん、認めざるをえないけど……。


「ま、アタシらができることなんて限られてる訳だ。あ、アイツの事好きか嫌いかって言われたら困るけど、少しくらいは認めてやるかなって感じだな。……餅なんて一年近く探したのにアタシらに見つけられなかったのに。ポンと出してきやがるしな。てか杵と臼も自分で作ってたし……。本気の馬鹿だって思っておけばいいのかもしれん」


 夏凛はぽつりと言って三つの月が昇る空を眺めていた。

 彼は私たちに取り戻してほしいって思ってる。人としての幸せを。人として当たり前の事を。だから、私たちにあんな目に合わせた怖いものは全部ぶっ壊すって、その意味も込めて今朝のあの訓練を見せた。

 わかってしまった。彼は馬鹿だ。それじゃあ、私たちはきっと彼から離れられない。


 俺が守ってやるって、怖いもの全部ぶっ飛ばすって()()じゃなくて()()で言っちゃってるんだから。


 本当にひどいと思う。だからせめてくっころ三人組って呼び方だけはやめて欲しいなって!

 メイド勇者隊とかあるじゃない!


 兎も角この日、私と夏凛も決意した。経過観察と言う名のべったりくっついて行ってやろうって。私たちだって苺ちゃんと同じくらい感謝してる。だから、お礼を言ってもごまかす彼にお礼を押し売りしてやるんだ。嫌と言っても受け取ってもらうために。


 それくらいの権利はある……よね?



これにて挿話一つ目が終わりとなります。

ご覧いただきありがとうございます。


次はいちゃらぶです。ラブラブラブしてラララコンボです?セイヤー!

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