41話:伝説的な大きな木の下で告白すると結ばれるのって本当なのかな?
美しく輝く大樹の桜の花が散りゆく。
明るく照らす三つの月と空を架ける満天の星空は灯の少ないこの世界を美しく彩って魅せていた。
「ごめんね、待たせちゃったかな?」
「いえ、きっと来てくださると待っていました」
離れの塔の空中庭園。その中のベンチにサクラちゃんは腰かけて俺が来るのを待っていてくれた。
待ってるってアリステラさんに言付けされてたから急いで来ようと思ったんだけどね?うん、ロベリアちゃんとビオラちゃんにジトからのオコだったのを何とかなだめて来たんだよ?服もボロボロだったし、着替えてきたのはここだけの話。というか見たらバレるかな?困ったなー。
「サクラちゃん。ううん、オウカ姫。そのアイマスク的なの?外しちゃっていいかな?」
「そうですね。サクラと構わず呼んでくれたらいいですよ?」
あー、もしかして怒ってる?オコなのかなサクラちゃん?激オコじゃないといいな!そういえばまだ俺ってばまだ本名言ってなかったんだよ……。好きな子に偽名で騙ってたってやばいな!やばいよ!?
「その代わりに私は、そうですね……真人さんでしたから……ま、まーくんとお呼びしますのでっ!」
でっ!と腰に手を当てて鼻息荒くサクラちゃんはいう。うん、可愛いな?ちょっと照れてるんだよ?すっごくかわいいな!抱きしめたいけど、まだ我慢なんだよ!
「わかったよサクラちゃん。改めまして。――俺の名前は水無瀬真人です。そして貴女の事を愛しています」
「はい、知ってます。私の名前はオウカ・L・アビスニアと申します。私も貴方の事を愛しています」
邪魔な布切れを取り去ってじっと綺麗なサクラちゃんの目を見つめる。こんなにも澄んで綺麗な目を独り占めできるなんて俺はちょっと幸せ者なのかもしれないって言ったらポスと胸を叩かれた。あ、耳まで赤いよ!抱きしめるけど、答えは聞いてないんだよ?
<――喚んだか?>
だから喚んでないよ!?聖剣さん寂しがり屋さん過ぎだよ!?後で精いっぱいかまってあげるから今はちょっと待っててね?
ふぅとため息を吐いて。サクラちゃんの顔を見る。うるんだ瞳には涙の痕。ああ、心配かけちゃったんだな。ごめんね?
謝ったら抱きしめられた。頭を撫でたら泣かれちゃったんだよ。だから、大好きなこの子の涙をもう流さないでいいようにぬぐってあげて優しいキスをしてあげる。
なんてことの無い唇が触れる程度のキス。
「もう、こういうのは、その、もっといろんなことしてから……ですよ?」
真っ赤な顔を更に赤く染めてサクラちゃんは言う。可愛いからもう一度抱きしめる。
「うん、そうだね。だからいろんなことを沢山して、二人でいろんなものを見ていこう。きっと君を一人になんてさせないから。何があっても俺が傍にいるから」
うん、歯が浮くようなセリフだよ!でも、言ってあげないときっと伝わらない。だから言う。恥ずかしいな!俺も絶対真っ赤だよ!紅葉かな?
「はい、傍にいてください。いないと嫌です。私はもうまーくんがいない日常なんて考えたくないです」
サクラちゃんをぎゅっと抱きしめながら頭をぽんぽんとしてあげる。
満天の星空に舞う桜の花びらは優しく包み込むように光り輝く。
真央、お兄ちゃんね、好きな人ができたんだ。とっても可愛くて、とっても寂しそうで、でもとっても強い子なんだ。だから好きになっちゃって、やっとこの子と結ばれたんだよ。
でもね、うん。いろんな魔王とかに認められるまで結婚できないからそれまでは保留の保留らしい。その間はサクラちゃんの執事として頑張れとの事だった。結婚はできなかったけど就職出来ちゃったんだよ!ある意味永久就職?嬉しいな?
つまるところ、勇者だけど大魔王城で執事してます。え、チートってもらえるものなの?俺もらってないよ!
ここで、第一章が完結となります。ご愛読ありがとうございますです。
うん、失敗したんだよ……OTL
この後、挿話をいくつかはさんで第二章に入っていきます。