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閑話
白く美しい何かは、何かをつぶやいた。
曰く――あなたがあなたで本当に良かったと。
曰く――あなたがあなたのままで本当に良かったと。
曰く――あなたのあなたらしさで救われたのだと。
どこか懐かしく、儚げで、美しい何かはただ優し気に微笑む。
手を伸ばしても届かない。声を出そうも届かない。もどかしくもむつかしく、ただ笑うしかない。
何かもまたこちらを見つめてほほ笑んだ。
ああ、いつかきっとその意味が分かる――。
そんな予感だけ残して、白くて朧気でキレイな夢はそっと暗幕を閉じた――